2015年7月25日 東芝「不適切会計」処理の第三者委員会の「不十分?報告」

一部のマスコミや識者、特に郷原弁護士等は、第三者委員会の不適切性について指摘しているが、まだ多くの論調は、報告書の結論通りの、「短期利益至上主義で上司に逆らえない悪い社風、コンプラ軽視」などが中心だ。

私は、50歳を超え、内外の大手証券会社の調査部長も務め、運用会社の社長も務めたのに、アナリストを長くやってきたので、ついつい、大人気なく青臭い書生くさい議論をしてしまうが、マスコミや識者は、本当の背景は分かった上で、予定調和的な議論をしているのか、全く背景を知らず、よく考えもせず、そういう話をしているのかわからない。もし、前者であれば、御容赦願いたい。

しかし、多くの経営幹部からは、「第三者委員会の報告は不十分でマスコミ等の論調も必ずしも妥当ではない」との御意見が多く、私の近因や遠因の指摘にも100%賛成ではないが評価を頂いている。企業文化や風土について、なぜトップがプレッシャをかけた真因については、第三者委員会やマスコミ等とは異なる、多くの貴重な意見を頂いている。

 

第三者委員会とマスコミの自己矛盾

やはり、最大の第三者委員会が、風土が問題、等といったことは、いわば、全否定に近いのに、「その否定した東芝が指定した限定された期間と範囲、提出した資料とPCデータだけから、結論をだすこと」が自己矛盾であろう。本来は、最初はその範囲であっても、風土まで否定した段階で、期間や範囲を、監査法人の責任も含め、広げるとか、結論を急がず、再調査が必要とするという結論ならわかるが、そうはなっていない。

また、引き出された結論も、前提となり調査対象や期間が限定的である以上、いわば「極大値であっても、最大値ではない」のは明らかである。また、その自己矛盾はマスコミも同様である。コンプラ体制の強化は当然でも、そうして引き出された「利益至上主義が悪い社風が悪い」などを強調しても、同じことを繰り返すだけである。本当の原因に迫らず、横並びの予定調和的な結論は、いつものパターンである。