人への投資は大賛成だが、流動性は異論

政府が、新しい資本主義の中で、人への投資や、その開示は大賛成だ。ただ、二つだけ、問題がある。大きな違和感を持ったのは、離職率である。どうも、離職率が低いことを評価するようなKPIのようだ。もう一つは、人への投資開示は人の価値をカネで測るというタブーに挑戦することにもなるが、日本社会が受け入れるかだ。

イノベーションと人材の流動性には、平均在職年数が短いほど起業率が高い等、相関関係があり、これまでも、政府やアカデミックでも、労働者の流動性を上げることを推進してきたが、これでは、逆効果だ。大企業が優秀な人財を囲い込み、宝の持ち腐れにしていることが、問題であり、大企業から起業家が生まれ、あるいは、大企業とスタートアップ、役所と民間と大学の間で、相互交流を増やすことこそ重要だと思うが、岸田内閣のスタッフは、心理的安全性を過大重視しているのだろうか。

 もちろん、平均在職年数は短ければいいというものではなく、事業や職種に応じ、最適な期間があるだろう。それは固有周期のようなものだ。ただ、日本は、戦後、世界的に見て長すぎる。イスラエルのいうに、人生で7回転もする必要はないが、3回転位はすべきだろう。

さて、人への投資結局は、人件費の時価、人の価値をカネで計算するということになる。