2016年7月6日 東芝、初のIRデー、ESS消化不足、ISS関心、SDS安心、INS期待

 

7月6日 13時~17時半まで東芝IRデー。マスコミも参加だが質疑はアナリストのみ。以前の記者会見時のような超満員ではなく落ち着き。最前列で質問。今回は、1人1問だった。全部のセッションで質問したが、半導体関連とICT関連は2巡目もでき2回。セッションにより、長さが異なり、また、質疑が多い場合は多少、延長と融通がついた。IRデーという形では初だが、事業説明会は、工場見学やR&D(最近ない)以外にも、半導体、原子力、医療などは数年毎に開催されていた。

 

綱川新社長より挨拶

 

冒頭、綱川氏より挨拶と簡単な説明。情報開示の充実とカンパニー自主自律経営の強化をはかるため、カンパニー自らが資本市場と対話しコミットする場として、今後、定期的(1)に開催していく方針。また、2018年度の自己資本比率10%以上が新たに開示された。全体的に、過去の事業説明会や経営説明会と比べても、事業責任者が、自らの事業を正しく投資家アナリストに理解してもらおうという意欲や緊張感にあふれたものであった。

 

ESS

 

ESS社は、2015年度実績の売上高1.58兆円、OP赤字3,463億円、FCF693億円に対し、2016年度、順同、1.7兆円、510億円、300億円、2018年度は同順に、1.94(前回)1.93兆円、750億円、690億円。コアの原子力は、2013年から2040年にかけ、設備容量が392GWから614GWに増加、2030年までに既受注分を含め45基以上の受注をインド、英に加え、中国、トルコ向けで期待45(再稼働済4、審査合格3、審査中19、未申請19)

 

不満が残る質疑

 

質疑では、2018年度のB/Sや割引率が今後どうなるのかについて聞いたが、割引率は減ることを示唆し、B/Sについては、2018年度はCB&Iはあるがオフバラであり、また燃料などが増えるなど、不確定要素が多そう。WHの持ち分が現状のままかどうかも不明。ざっくりでもいいから2018年度から2030年度にかけ、P/Lの変化だけでなく、B/Sの変化を、M&A影響、新設、燃料やサービス事業の増加、コストオーバーラン、地域変化により、割引率がどう変化するか説明がほしい。

 

ISS

 

ISS社は、2015年度、売上1.35兆円、OP赤字74億円、FCF1446億円に対し、2016年度、同順に、1.34兆円、510億円、180億円赤字、2018年度、1.42兆円、320億円、190億円の目標。20-30年と時定数の長い、製品システム導入⇒保守監視⇒管理運営⇒ユーザー業務レベルアップ⇒更新提案という循環型ライフスタイルビジネス展開の中での事業展開。

 

SDS

 

SDS社は、2015年度実績の売上高1.6兆円、OP赤字1000億円字、FCF赤字570億円の赤字に対し、2016年度は順同に、1.43兆円、320億円、100億円、2018年度、順同に1.68兆円、1,300億円、480億円である。足元NAND市況については、予想外の中華スマホの大容量化で需給がタイト化、価格下落は鈍化。ただ、その中華スマホの販売動向などを見極めるべきとし、下期についてはやや慎重の模様。円高はマイナスだが、足元の価格下落傾向の鈍化なら、7月以降を1ドル100円前提でもNAND事業の計画、売上高7466億円、OP244億円はクリアできそう。3Dの歩留まりは、改善傾向であり、AI導入がサムスン等と比べても進んでおり、キャッチアップできた背景だろう。ビットコストクロスは、2023-2025年とした。全体的にはNANDは、技術面、需給面などで、一安心の印象である。

ややポジティブサプライズは、非メモリーであり、クルマ向け画像チップ「ビスコンテイ」や、ディスクリートでのRFスイッチ展開。なお、ジャパンセミコンは、稼働70%だが、社内向けでは余る30%でファウンドリを行う。強みはアナログであり、MIXシグナル、MCUASIC、パワー以外のディスクリート。キャパ不足になった場合は、臨機応変に対応。また現在は東芝100%だが、株主構成も柔軟に対応するようだ。

 

INS

 

INS社は、2015年度実績の売上高2568億円、OP87億円、FCF120億円に対し、2016年度、同順に2300億円、170億円、170億円、2018年度、2700億円、120億円、70億円の目標。新生東芝の鍵を握る重要な組織。ただ、INS社は、他のセグメントと異なり、横串組織であり、社内消去が多いので、この数字はあまり意味がない。