労組と投資家の対決が50年前を想起~西武そごうのストの水面下

西武そごう労組のストライキで、昭和の昔のストを思い出した方も多いのではないか。昨年から、拙著「デジタル列島改造論」でも指摘しているが、東西対立、インフレ、円安、など、50年前のような事象がおこり、これは偶然でなく、歴史のサイクル性、同じことを繰り返すわけではないが、韻を踏む。ストは1974が山だった。1970年代との相似形~労働紛争と東西対立 - 若林秀樹アナリスト (circle-cross.com)

1960年代から70年代の国鉄などの激しい労働争議や学生運動の背景には、高度成長下での矛盾や東西対立の中でのインテリジェンスの動きもあったかもしれない。再び、東西対立、経営環境が変わる中で、富の分配を巡り、三方良しどころか、経営側と投資家側と労働者での対立が復活するかもしれない。

経営の今後のリスクは、労働争議や学生運動である。90年代以降は、日本では、東西対立も労働争議も無かったし、80年代以前の激しさで経験知のある経営者も少ない中で、これは大きな見えざるリスクかもしれない。コロナ禍でのリアルなコミュニケーション不足、少子高齢化の中でジョブ型も含めた働き方改革、利上げ、円安とインフレ、チャットGPTなどAIによる影響など、労働者や就職を巡っては、混沌としてきている。

現在は、経団連など経営側も、インフレ対応もあり、賃上げでは労組と協調しているが、今後、不況下では、どうなるか分からない。この西武そごうのトラブルが広がるもしれない。米ITや金融では、空前のリストラも始まっている。再び、共産党や社会党系が復活するかもしれない。

 

過去の労組は、経営者との対立だったが、今回、興味深いのは、ファンドである。多様なステークホルダーが、どちらを選ぶか。例えば、東芝問題をめぐって、動きは無かったが、労組が声を上げると、どうなっただろうか。経営側とアクテティビストを中心に、一般投資家という構造から、労組が出て、従業員が絡むと、三体問題になる。