2016年1月1日 初夢は超高齢化時代を豊かに

 

新年あけましておめでとうございます。昨年は、多くの出来事があり、発言する機会も多く多忙ながらアナリストにとっては、やり甲斐の多い年でもありました。その中で、大変お世話になり、ご指導ご支援をいただいたことを感謝します。また今年も、一層、精進して励みますので、宜しくお願いします。

 

さて、昨年は、電機業界にとって大変な1年でした。その中に、必然的なものも偶発的なものもありますが、それらが巧みに合わさって次の10年を決めていくように思います。今年は、その流れを再確認する年になると思います。これについては、別途、「201611日~2016年の電機精密業界を展望する(http://www.circle-cross.com/2016/01/01/201611-2016年の電機精密業界を展望する/」やNewsPicks( https://newspicks.com/user/9267/)の12日号をご覧ください。

 

ここでは、少し違った視点から問題提起をしたいと思います。

 

これまで日本人特に男性の社会人会社人間は、60定年まで役員なら70歳くらいまで全力投球、あとは少しフェードアウトして趣味に生き、80歳くらいまでを考えていたと思います。先輩がそうであり、日本の年金や社会制度も、それを前提としてきました。しかし、皆様の中にも多いと思いますが、80歳以上でなお元気かつ頭もシャープな方がいらっしゃいます。

 

少し前、昔の7掛け、90歳で昔の63歳、80歳なら昔の56歳、60歳なら昔の48歳、30歳なら21歳、20歳なら14歳と言いましたが、シニアの女性の美しさ野球選手の活躍も含め、まさに実感に合っていることは賛成していただけると思います。

 

私自身も昔は、もっと頭がボケてくると思ってました。もちろん名前が出てこない、とかはありますが、考察力や洞察力は30代や40代と比べものにならないほどアップし仕事が面白いように思います。このことをある方にお話しすると、その方も60歳からが頭が冴え、面白かったとおっしゃいました。若い頃は、シニアになると、頭が劣化し色恋もなくなり、人徳だけになるように、思ってましたが、錯覚ではないでしょうか。

 

医療の発展とAI、ロボットで100歳まで元気に生きれる時代

 これが、今後、こうした傾向は増し、医療の進歩やロボットスーツなど発達で、ますますシニアで元気一杯、知的にも肉体的にも活躍できる年齢は上がり、100歳までは当たり前となるでしょう。つまり、これまでは、20歳くらいから60歳、せいぜい65歳まで働き、70代くらいまでを考えていた人生設計は、100歳まで、いきなり30年か40年、社会人となってからと同じくらいの時間が豊富にあるのです。しかも、これまでは、その多くをベッドや病院の中で暮らしていくのが、「元気に生き生きと!」です。

 

しかし、まだ多くの方が、これまでの常識にとらわれ、6065歳くらいで、仕事を離れ趣味の生活に走ります。最初は、楽しい毎日ですが、2年か3年で飽きてきます。その時に、再び仕事をしようとしても、その2-3年のブランクは大きく、人脈はなくなり、勘が鈍ってます。もはや同じ仕事を同じようにはできません。もちろん、復帰の猶予があれば可能ですが世間は厳しく、これまでの常識から周囲はボケたのだと役立たず、だと思ってしまいます。そして、やる事がなくなり、趣味も飽き、家庭の粗大ゴミとなり、本当にボケてきて、心も体も弱っていくという場合が多いようです。しかし、医療が進んだ結果、長い時間をそういう幸せではない状態で生きなければなりません。

 

100歳まで生きる場合のリスク~貯金が底をつく?

 

また、日本の人口は減りますが、若者の働く場所や機会は減り、男女ともに生涯独身比率が今の10-20%から30-40%になるかもしれません。すなわち、これまでは、60歳、70歳になった時に、子供は一人前、孫も元気というパターンが、子はまだニート、孫もニートあるいは独身、自分は90歳以上で元気だが、子供は60歳以上でニート、あるいは子も孫もニートという事態が普通に起こってくるでしょう。さらに、これまでの成功パターン、一流大を出て一流大企業になれば、安泰ということも昨今の経済情勢からはあり得ません。もはや子や孫に頼ることはできないのです。

 

さらに、よく金融や保険会社や雑誌にある60歳で何千万か1億円あれば大丈夫という常識も崩れます。そもそも、年金は危機的、日本の財政も危機的、インフレで円安になれば、資産は目減り、どんどん高齢化が進めば、年金給付は難しく、生活コストは上がります。80歳なら1億円で御釣りがきても、90歳、100歳と、60歳定年後の時間が倍になると、不足し、85歳で、夫婦ともに、元気一杯なのに貯金が底をつくという事態も起こりえます。

 

60歳で1億円以上もった元大会社のトップや金融関係などの金持ちが、余裕だと、豪遊して、90歳で破産、ホームレスということもあり得ます。元トップといっても、20年前になれば、なかなか大変です。もちろん、ボケれば、さらに家族も含め悲惨でしょう。

 

国家的見地で見ても、年金、社会保障、自衛隊や消防警察は、高度高齢化社会を想定しておらず、ひどいことになります。自衛隊は60前でリタイヤですが、定員を確保できるのでしょうか。あるいは、高齢化が進んだ地方都市で、消防や警察の仕事ができる若者が何人いるのでしょうか。

 

現在、日本全体の平均年齢は55歳くらいだそうです。20年後には75歳です。統計分布で100歳以上が増え、40歳以下が減り、歪なピラミッドになります。企業におけるピラミッドでも、現在は45歳くらいが多いですが、日本人だけだと、55歳になってしまい、これまでの年功序列はもちろん、シニアがヘッドでジュニアが部下という組織構造は破たんします。

 

このピンチをチャンスに

 

個人レベルでも、国家レベルでも、この状況を打破するには、三つしかありません。第一は、政策的人工的に強制にフェードアウトという姥捨て山ですが、そんなことは勿論あり得ません。第二は、移民ですが、これも多くの意味で非現実的でしょうし、そもそも、これまでと違って魅力的な国でもないし、あるいは下手をすれば若くて元気な移民に実行支配されるリスクもあります。

 

そこで、第三ですが、定年をなくすか、個人ベースで最低80歳、できれば90歳まで、今までの70歳までのような感覚で大半の方が働くしかありません。あるいは、今も8090歳で元気な現役トップは多いですが、そのイメージなら100歳のトップです。医療の発展、肉体的な多少の衰えはロボットスーツや人工骨や関節や補聴器や眼鏡など、さらに記憶などはAIがサポートしてくれます。むしろシニアが得意な判断力、経験に基づく洞察力というAIが弱い部分で勝負できます。

 

さらに、幸い、高齢者化社会では、広がる市場はシニアです。シニア向け番組、シニア向けスマホ、シニア向けタッチパネル、シニア向けクルマなど、最近のイノベーションが多いのもここです。これまでは、30歳くらいが市場のコブでしたが、これからは70歳です。そこのマーケティングはシニアしかできません。シニアはシャイで発言もしないゆえ、その奥底にあるニーズはシニアしかわかりません。そうしたシニア向け市場で成功すれば、今後、高齢化する中国など海外にもビジネスは広がります。

 

シニア中心の会社でイノベーションを起こし、若者の雇用を

 

秘めている夢の一つは、60歳か65歳が新入社員の会社を、どんどん設立することです。定年はありません。給料はそれほど多くなくて良いでしょう。マイペースで、しかし真剣に働けばいいでしょう。そこでは、階級はありません。皆が株主です。

 

社長はむしろ若手の気配り上手な明るい女性でやムードメーカーのヤングでいいのです。社長は偉いわけではなく、一つの職種です。重要な決定事項は役員会ではなく、株主総会で決めればいいのです。人数が多くなく皆がプロ意識を持っており、経営の経験もあるので、それが成り立つのです。役員はあくまで執行です。シニアが不得手で健康に悪い長期海外出張や徹夜での交渉などはヤングに任せればいいのです。そういう会社が多くなり、それこそ、仕事がない若手への雇用対策や、税金を納めて国家財政に役立てば素晴らしいですが、あまり規模が拡大して、株主総会で議論できなくなったら、分社するとかすべきでしょう。もちろん、この会社では、90100歳で仕事ができなくなったりした場合の補償や互助制度は大事です。ここは制度設計を熟慮する必要はあります。現在、リストラで、シニアの技術屋が、数年だけ、数千万円もらって中国などへ行くよりは、こういう会社でやった方がよほどいいでしょう。

 

ボケないためには、仕事と趣味、家庭のバランス

 

こうした壮大な話はおいても、とにかく、何歳でも仕事、ご自分がやってこられた関係の話に興味を持ち続けることが重要です。趣味が玄人はだしになったり、定年を機に、学生時代の夢を再現しようと数学科や芸大に再入学もいいでしょうが、多くの方は、仕事が趣味、そこを生かし維持するのが一番です。

 

健康を維持するためにも、ボケないこと、ボケないためには、仕事、業界の話に関心を持ち続けることです。体なら、いろいろ治療はありますが、ボケては、心と頭がやられてはいけません(このブログが多少ボケ防止、刺激になれば幸いです)

 

江戸時代は、人生5060だかの頃、40くらいで隠居したそうですが、それが男性の楽しみで、それまでは家のため、家族のために働き、そこからは自分のために、働いたようです。もちろん趣味もありますが、平賀源内や伊能忠孝などは、隠居後に偉業を成し遂げてます。

 

シニアが、ただ隠居したり、日々を快楽的に生きるのではなく、価値ある真に充実した青春を送ることが、ジュニアやヤングのためにもなり、国家のためにもなるのです。それは、これまでの「年寄は出しゃばらず、若い者に任せて」では成り立たないからなのです。収入は細く長く、若手に分配し雇用機会を作るのです。

 

高齢化社会の日本で、シニアの中からイノベーションが生まれることを初夢に、そろそろ寝ます。