人事の成り立ちから日本の人事制度を再考する

 

理科大MOTでは、20203月で、新MOTとなって、初めての修了生を出すことで、完成年度を迎える。

 

 

HRの重要性

 

 その中で、科目として、必要だという意見が多かったのは、HR、人事制度である。確かに、人事は、少子高齢化、働き方改革、AI導入等の中で、改革が必要であり、最もホットなトピックスでもある。

 

 

奥の院で企業に固有

 

これまでは、日本企業の中では、人事部門は、奥の院であり、あまり外部との接触もなく、企業毎に独自の制度を確立しているように思われる。アナリスト時代に、人事制度の横比較をするため、総合電機については、各社の人事トップにヒヤリングし、制度全般、採用、教育研修、評価、リストラ等の面も含め、分析した。賃金面などは電機労連の関係で横並びだが、それ以外は、各社各様であり、かつ、他社との交流は少ないようであった。

 

 

内外の多様な人事制度を経験、独自制度を導入

 

 現在も、2017年以降、MOT派遣や教員採用などで、トップだけでなく、電機から機械、IT、素材、金融、官公庁まで、オーナー系/非オーナー系、伝統から新規ベンチャーまで、広く人事担当者とお会いし、ついでに、人事制度を聞くが、まさに多種多様だ。

 

 

 自身も、野村という独特の人事制度の企業で初の年俸制対象となり、その後は、英系のクラインオートベンソン、統合され、独系のドレスナー、さらに、伝統ある米系のJPモルガン、また、国内銀行系のみずほ、と多くの人事制度の対象となった。

 

また、転職が多く外国人も多い、調査部門のトップとして、人事部門(国内もグローバルも)とも議論、採用や評価、教育制度も導入してきた。起業したヘッジファンドでは、こうしたグローバル大企業の例も参考に、独自のシステムも設計した。

 

 

最新のHR理論

 

 こうした中で、専門外だが、人事に関連する書物を、アカデミックなものから、実践的なもの、トレンディなものまで読み込み、勉強し、人事担当者や経営トップと会う場合の仮説作成に使っている。

 

 その中で、実践的でもあり、アカデミックな意味でも、参考になったのが、下記の「人事の成り立ち〜誰もが階段を上れる社会の希望と葛藤」(単行本–2018/10/31 海老原 嗣生, 荻野 進介)である。