組織人事論における東西差

 日本では、通常、ビジネススクールの組織人事論の科目では、欧米(特に、米)の学者による、組織論による場合が多い。確かに、「組織の経営学(理論と設計)」、「グローバル企業の組織設計」等の良書はあり、コングルエンスモデルや星形モデル等のフレームワークもある。しかし、組織や人事では、西洋と東洋の文化の差に加え、制度の差も大きく、その「理論」を、そのまま適用しても、マッチングしない場合もある。また、中国の古典には、長い歴史の教訓を踏まえ、貞観政要、六韜三略、孫子、韓非子、菜根譚などもあるが、ごく一部のビジネススクールで紹介されている程度である。

 他方、会社の研修では、こうした中国の古典を導入している場合もある。実際、松下幸之助や稲盛和夫等の有名な経営者による私塾では、リーダーシップやココロを重視してきた。

しかし、欧米的な組織人事論と東洋的な組織人事論を踏まえて、どうすればいいのか、についての議論が少ないのではないか。