技術視点の多角化でなく、文化風土視点の多角化を

企業の多角化は、アンゾフマトリックスで、技術と顧客という視点から語られる。つまり、同じ顧客に対し、既存技術から新技術を提供する。あるいは、既存技術を新顧客に提出する。

 そうした場合、失敗するのは、文化風土を変えない場合である。同じ技術であっても、その提供の仕方は、顧客が変れば、QCDなどの要求ニーズも変わる。B2Cであれば、売切りでもいいが、広告宣伝が必要になるだろう。国内と海外でも異なる。同じ顧客であっても、技術が変れば、コストの下げ方、生産、サプライチェーン構築、原価構成も異なる。重電メーカーが半導体に参入しても、同じやり方では、通用しない。まさに、これらは、経営重心論で指摘したことである。「両利効きの経営」でも、こうした視点がなく、様々なリソースの特性と事業の特性のマッチングについて、楽観的すぎる。