2020年10~12月


富士通研究所説明会(10月13日)WEB開催

富士通研究所の説明会が101313時半~15時、Web開催。プレゼンは、富士通のR&D戦略について、富士通代表取締役副社長CTOで富士通研究所会長である古田氏、デジタルトラストを実現する最先端テクノロジーについて、富士通研究所社長の原氏、また、新規発表として、デジタルアニーラによる中分子創薬に関して岩井氏から、量子コンピューティングに関し佐藤氏からプレゼンだった。

R&D戦略では、調査分析機能強化に注目

古田CTOは、富士通では、7(コンピューティング、ハイブリッドIT、データ、IoT5G、サイバーセキュリティ、AI)の重点テクノロジーに集中、それぞれ単独だけでなく、その組合せで新たな価値を想像、提供できると説明。これは特に最近の技術の本質を突いた見方だろう。

新しいテクノロジー詳細

原氏からのプレゼンは、7つの技術から、幾つかについて、説明があった。この中では、ディープツインがICML学会でも採択され、「次元の呪い」を解決する新AI理論として極めて注目できる。ハイデュラビリティラーニングは精度劣化をカバーできる実現的なものだろう。

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日本学術会議は学会をバランスよく代表しているか~エレキは2万人に1人の狭き門、政治は200人弱と、「一票の格差」

日本学術会議についての議論が尽きない。しかし、日本学術会議は、日本のアカデミックを、本当に、バランスよく反映しているのだろうか。下記のグラフは、210名の分野別だが、エネルギー、化学プラント、自動車、航空宇宙船舶などが無い。また、人文社会科学に比べ、自然科学系が少なく、更に、理学は多いが工学、実学系が少ない。

 そこで、調べられる範囲で、日本の学会と会員数からバランスを見た。日本の学会は非常に多岐にわたり、学術会議のどの分野かは不明である(生物物理や理科教育等、複数に跨る分野もある)が、検証を、下表(一部)のように試みた。学会は、文科省等のサイトから調べたが一部古い場合もある。

 

 そこで、有意と考えられる分野で、倍率ランキングを示すと、下表である。電気電子は、倍率2.2万人に1人の狭き門、数理、土木建築、機械なども1.5万に1人。文系では、経済が1100人に1人、経営学は683人に1人、政治は190人に1人である。明らかに、工学系は不利であり、文系特に、政治系は有利である。まさに、科学技術軽視であろう。学問に貴賤、上下はないはずで、今こそ、改革が必要だろう。

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ファナックと黒田精工のトップを思う

ファナック元会長の稲葉清右衛門氏が102日に逝去された。大学時代、精密の大先輩で、工場見学その他で、何度か、お話を聞いた

 その数日前、9月30日には、黒田精工の名誉会長の黒田彰一さんも逝かれた。稲葉さんとは、精密の同期で親友だったと聞く。金型業界の調査や、精密学会シンポジウムでも、大変、お世話になった。

相次いで、日本のものづくりの巨星が逝く。お二人とも、実社会はもちろん、学会などへの理解も高かった。稲葉さんは、精密や前身の造兵学科の歴史館などでも貢献をされている。

 

こころよりご冥福をお祈りいたします。

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中国の逆襲~禁輸リストと希少資源~日本は米中挟み撃ち

 米中摩擦が更に加速化している。米のELに対抗して、中国も同様の禁輸リストと日経新聞10日の報道で伝えている。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64852880Z01C20A0MM8000/

日経報道によると、中国は戦略物資やハイテク技術の輸出管理を強化する法律をつくり、13日からの全人代が審議、2021年施行の模様。管理品目リスト、輸出禁止制限の企業リスト、があり、後者は再輸出を担う第三国の企業も対象、また、域外適用もあるようだ。

 

日経報道にはないが、フッ素の原料になる蛍石も中国依存度が高い。半導体、FPD、レンズなどハイテクに幅広く必須であり、欧米、日本も厳しくなる。

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半公的巨大研究機関はPFか~通研電総研の再興

日本の電機・半導体の復権と米中摩擦対応に関連して米サプライチェーンにない6G基地局や半導体等を日本で供給するための一つの解は、かつての電電公社通研、あるいは、DARPA、独フラウンホーファー研のような存在、いわば6G以降の研究プラットフォーマとなる研究機関を再構築することではないか。

 

 現在の日本のR&Dの問題は、5年以内の研究はいいとして、それ以上、10年あたりの研究は、見通しが悪い上、自社で基礎研究をする余裕は無くなりつつあり、オープンイノベーションや大学やベンチャーに任せている感もある。しかし、その幅広い中長期と、5-10年の間に大きなギャップがある。米DARPA、独フラウンホーファー研の存在がない。これがかつての日本では電電公社通研があったのである。

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日本の電機・半導体の真の敗因はNTT分割民営化と日米摩擦対応ミスか~6Gチャンス

既に、日本の電機・半導体の敗因について、語られ尽くされたかと思っていたが、新たな仮説が二つ出てきた。

 第一は、新たなという程ではなく、識者の中では語られぬ常識、自身も同感ではあるが、公開された先行研究では少ない。それは、電電公社民営化、NTT分割と、それに伴う、武蔵野通研など「通研」の再編の影響である。民営化および分割は、多くの先行研究や議論があるが、研究所の再編の総括は少ない。再編で混乱があり、影響があったという指摘もある。https://www.adcom-media.co.jp/remark/2012/02/25/5227/2/

当時、安原副総裁は、その視点から、分割民営化に反対であった。また、多くの関係者が、個々に電電解体、R&D解体の影響は指摘している。

今、凡そ30年を経て、NTTのドコモ完全子会社化やGAFA対抗、米中摩擦その他の議論もある中で、再度、総括も必要であろう。

 

 第二は、日米摩擦での対応ミスというものであり、ユニークだ。すなわち、米と闘うのではなく、米のパートナーとして、対応すべきだったというものである。

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富士通DX説明会

マスコミ、投資家アナリスト向け富士通DX説明会がYouTubeで開催された。出席は、時田社長、福田CIO、モデレーターとして名商大ビジネススクール澤谷由香子氏である。冒頭、東証トラブルに関し、時田氏から謝罪があった、深く頭を下げた。その後はネクタイを外し、時田氏より、富士通がITからDXへ変化につき簡単に紹介、福田氏よりDXにつきプレゼン、澤谷氏のモデレートにより、カジュアルな雰囲気で座談会形式。その後、質疑だが、マスコミからが多く、DXに関する深堀よりも、東証トラブルや富士通の変化など。

DX、フジトラ

 福田氏によれば、DXの中で、特に、トランスフォーメーションであるXは重要。富士通でのデジタルツインを築いていく。

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人体データ計測とトランプ

 多くの人は、人体データに縁があるのは、健康診断の時ぐらいだろうが、シニアになり、病気が増えてくると、体重、血圧、体温など測る数値の種類が増えてくる。コロナ禍では、血中酸素飽和濃度も重要と聞き、毎日測るようになった。血糖値も、数ヶ月おきに、2週間24時間測れるセンサをつけて、チェックしている。体重計は、数字間おきに、夜中にトイレに起きた時も測ると日中の変動が分かり、朝方減る場合が多く、血圧計も2種類で、両腕で、測ると変化があり、面白い。血糖値も、1時間毎に測ると、食後や夜中での差、食べ物の種類や、心理状態でも変化することが分かる。

 

 

 通常は、円や数量、bitなどの単位や指数には慣れ、変動やレベルも把握しているが、この人体データは、種類によって、数値もサイクルも大きく異なることに改めて驚かされる。

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デジタル競争力ランキングとDX

スイスのビジネススクールIMDが、101日、2020年度の世界のデジタル競争力ランキングを発表した。知識、技術、将来への備えの3項目で評価、全63カ国・地域中、日本は27位、また、順位を落とした。データ分析や人材確保が弱いという。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64477330R01C20A0EA2000/

 日本の順位27(昨年は23)に驚きはない。ITとかいうより、本質は、英語力と俊敏性、ガラパゴス性、等、だろう。ランキングでは、1位は米、2位はシンガポール、3位がデンマーク、4位はスウェーデン、5位香港、6位スイスで。2位から6位は、いずれも小国で、そんなもんかという印象だが、台湾が11位で、韓国9位より下は違和感、中国16位、また、エストニアが21(昨年は29位で日本より下)は本当なら、話題先行の国だったか、ランキングがおかしいか。

 米の1位は、一瞬そうかと思うが、大統領選で郵便投票が議論になっている話を聞いて、どうして、グリーンカード等を用い、ネットでやらないのか不思議だ。さらに、本来は、ネットを使えば、直接民主制も不可能ではない。片方で、デジタルを喧伝するのに、なぜ、話題にもならないのだろうか。

 DXに関して、日経経済教室で一橋大学の一條教授が寄稿しているが、IMD2019年同ランキングでは、企業の俊敏さで最下位だったそうだ。https://www.nikkei.com/article/DGXKZO64419350Q0A930C2KE8000/

 また、DXSIの議論もあり、日本独自のSI企業の存在がDX普及に関連し、IT技術者が海外と異なり、ベンダーに多いことも課題だ。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64254700V20C20A9TJC000/

 

 日本もデジタル庁ができるが、それが自己目的化し、本質は変わらず、過去の住基ネット等、組織ができ、何かのITシステムができておしまいになりかねない。ハンコ無くせ、FAX無くせ、ではなく、まず、役所の全ての仕事を、透明化、見える化、棚卸しすることを同時にやらないとダメだろう。そこには、当然、国会議員の在り方、なども関連してこよう。

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学術会議の議論を巡って

菅首相が日本学術会議推薦の会員候補6人の任命を見送ったことに関して、議論が盛り上がっている。議論の多くは、政治のアカデミックへの介入で、けしからんという論調である。もし、アカデミックに限らず、本当に、言論の自由が制限されるなら由々しきことであり、実際に、安部政権時代に、複数のエコノミストの大学教授がプレッシャーを受けたことは耳にしている。

しかし、私は、マスコミの論調に違和感を持ち、学術会議なるものの存在と役割に疑問も持つ。アカデミックの頂点とされるが、どういうプロセスで会員が選ばれ、その中身に透明性があるのか、ということである。また、学問の自由というが、「軍事研究」には反対であるという。実際、2017年には防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」について懸念を表明する声明を出した。

 

軍事研究の定義

 

社会から遊離した社会科学系アカデミック

 

 

 

学術会議は社会ニーズを反映して税金を使っているのか

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見えざる資産と非財務情報の議論の前に

MOTで、今年から新しい科目として、「実践ケーススタディ」を始めた。

実践ケーススタディ~学生、OB共に学び合い

功成り名遂げた立派な経営者というより、MOTを卒業して、子会社の経営者や起業家などとして頑張っている若手を呼んで、プレゼン、質疑や議論を通して、互いに学び合うというものだ。身近なリーダーとしての奮闘や、修了してから振り返ったMOTの価値、後輩へのメッセージなど、他方、学生からも、アドバイスをしてもらう。

 まさに、現在進行中の生きたケーススタディであり、マーケティング、リーダーシップ、ファイナンス、サプライチェーン、知財など多方面から分析し、発表する側も、いい復習にもなるだろう。成功例も悪戦苦闘例もあるが、色々な意味で、参考になる方を招聘しているつもりだ。教員サイドも、教育効果やカリキュラムの再チェックになり、必要な場合にはサポートやフォローもする。修了生は、いわば、社会に送り出した製品であり、アフターメンテナンスもしなくてはならない。

数字も見ずに株価に言及する、役所出身の教員と金融系の学生

 先日も、未上場のオーナー系であり、ESG的にも素晴らしい会社の経営層を招いた。学生からも多くの議論が出て、盛り上がった。

厳しく指摘、見えざる資産と非財務情報の前に、見える資産、財務情報の分析を

今、アカデミックでは、見える資産や非財務情報が話題となり、EDGS等に関心が移っている。それは、それで結構なことだが、見えざる資産、非財務情報の前に、見える資産、財務情報の分析ではないか、と言いたい。また、アンケート、ビッグデータの前に、まず公開数字(財務、特許、等)のチェックである。

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東証終日ストップ

東証はシステムトラブルで、101日取引が終日ストップした。前代未聞だ。ヘッジファンドでファンドマネージャーをしていた時代にも、200511月のプログラムトラブル、2006年のライブドアショックでも半日停止はあったが、大変な迷惑だったが、今回は常識を超える。3.11の時でさえ、売買を停止せず、古いビルの7階と8階で大きく揺れ、棚が倒れ、コピー機が動き、命の危険を感じながら、運用を続け、それでも取引停止にしない東証に違和感を覚えたが、こんなことで停止にするとは、遺憾だ。DXの矢先に、金融インフラがこれでは、お笑いだ。世界の投資家の東証離れ、投資家の株式離れも進み、そうでなくても、米中摩擦もあり、ファンドのマーケティングにも影響するだろう。

 

 原因は、メモリディスク装置の故障で、バックアップが上手くいかなかったと報道されているが、以前もそうだった。今回のシステムは、富士通製の「アローヘッド」で絶対停止しないことを謳っていたが、そもそも、その設計思想が「浮沈戦艦」「難攻不落の城」と同様で、疑問だ。

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