今日は、理科大MOT最後の授業である。明日にゼミやグラデュエーションペーパー発表会などはあるが、通常の授業は最後であった。
この最後の授業は、「イノベーションエコシステム」であり、最も工夫して、面白いと思う完成度の高いものと自負している。グループワークで、各班がR&Dエコシステム案を作成し、3班でディベートをして、他の班からメンバーを自分の班に引き入れ、一番多い人数を確保した班が勝つというものである。
中国の生成AI「ディープシーク」の話題がここ数日持ち切りだ。同社の生成AIモデルR1がチャットGPTを凌ぐ性能で開発コストが1/10と報じられたが、その仕組みは「蒸留」という既存のAIモデルが出力するデータを使うとされたが、要はコピペあるいはデータ不正利用ということが判明してきた。更に正答率17%等とミスが多く、中国製らしく、天安門事件などは答えないらしい。
開発コストも、高級シリコンバレーのエンジニアとそうでない中国人と数倍は異なるだろうし、コストの内訳がどこまで入っているか不明だ。天才なら一瞬で開発するかもしれない。データやチップも不正な入手なら安くて当然である。日本のR&D費用も同業種でも会社により基準が異なる。年収1億円を貰うべき若き天才エンジニアが20代なら数百万円の人件費かもしれないのである。
#SmartNews https://l.smartnews.com/m-iuxWFHO/CBjVZH
#SmartNews https://l.smartnews.com/m-itX3zr3/wQTzte
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前稿で、このディープシークがヘッジファンドグループに属すると指摘した。
MOTで8年、カリキュラムMOT1.0、2.0、3,0と改変、設計してきた。元々は、新MOT1.0は、私でなく、MITスローン校のクスマノ先生が基本設計したもの
中国の生成AIである「ディープシーク」が何故か急にマスコミのトップに掲載され、NVIDIA株が急落するなど話題をよんでいる。DeepSeekショック、アメリカのAI株価が急落 NVIDIA17%下落 - 日本経済新聞
開発費が安いなどの理由だが、米の成果の不正利用、正答率が低いなどの指摘もある。詳細は不明であるが、多くの記事が出ている。【ディープ解説】株価激震の中国AI、一番「得した」のは誰だ
"DeepSeekショックがLLM業界を襲う…LLM企業は「先行者“不”利益」、特殊なテックビジネスである理由" - Business Insider Japan https://l.smartnews.com/m-iuICpUY/3QkgwB
"ディープシーク、米製半導体と米から「盗んだ」技術を利用=米商務長官候補" - ロイター
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"DeepSeek-R1の出現は「スプートニクショック」というよりも「Google登場に等しい」との評価" - GIGAZINE#SmartNews https://l.smartnews.com/m-itX3zr3/wQTzte
"DeepSeek-R1のサイズを最大80%削減した動的量子化モデルが公開中" - GIGAZINE(ギガジン) #SmartNewshttps://l.smartnews.com/m-iu3poOc/i1dPH6
"ディープシークのAIアプリ、正答率17% 米欧競合をほぼ下回る" - ロイター #SmartNews https://l.smartnews.com/m-iuygIZX/dLyWrc
むしろ、関心事は、ディープシークの経営陣がヘッジファンドも運営していることだ。言うまでもなく、運用には大量の金融データを使い、それは株価や金利だけでなく、ネットに溢れる記事やSNSも含め、多くのテキストデータや記者会見やYouTubeの画像データもある。投資家はそうした「公開」データを参考に運用するが、自身も運用やオピニオンの発信を通じて大量のデータを提供している。こうした多種大量のデータを駆使するには人間だけでは難しくAIを使い、高度な判断だけを運用者がするようになるのは当然だろう。また、それらは学者等にとっても金融市場や人間の行動を分析するための格好の豊富な大量データを提供してくれる。
先日のフジTVの説明会は16時から夜中の2時半まで10時間を超え、歴史的記録的であり、かつ完全オープンというのも興味深い。フリーのジャーナリストも含め完全にオープンにし、最後まで質問に答えるというのは、評価はできる。他方で、10時間こえは、健康面も含め大問題であり、そもそも、10時間が必要だったかというと、そうでないだろう。かつての東芝等の説明会も大変だったがIR担当者が上手く準備をして仕切っていた。10時間は2-3時間で十分だったのではないか。どういう事前準備をしたか不明だが事前に想定質問を徹底的に出し、論点となる事項はスライドを出して、最初に30分説明すれば十分だったろう。質問も1人2問でなく1人1問にすれば良かった。フジメディアHDは決算説明会等もありHPは充実、決算説明会資料も71頁に及ぶ。トップの金光氏は「当社グループは、放送の公共的使命と社会的責任を常に認識し、メディア・コンテンツおよび都市開発・観光を中心に幅広い事業活動を通じて、国民の皆様の豊かな生活に貢献することを経営の基本方針としております」としており、人的資本経営も掲げている。人的資本経営ーダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みー | フジ・メディア・ホールディングス
しかし、実態は改めて双方の質疑能力の低さに唖然とした。不規則発言も問題だが、それ以上に質問の背景を長々とし、かつ質問の中身が不明な場合も多かった。会社側も最もキーになる点について発言修正など事前の摺合せが不十分であった。
これまで、マスコミは、三権(行政・立法・司法)の三つの権力に次ぐ第四の権力と言われる。実際、警察なみにプライバシー無視の取材が記者というだけで許され、TVは貴重で高価な周波数を与えられている。NHKなどは、その典型である。第四の権力者たる所以は、政治家も含め、他の権力をチェックし、バランスをとることにあり、政治家や官僚、大手企業とは距離を置くことは当然である。しかし、実際は、企業からは広告を取り、「天下り」を受け入れ、また、政治家や大企業トップや有名言論人の子弟を社員とし(広告代理店モデル)てきた。その中で、コンテンツは芸能人を入れ、志の薄いものか、ちょっと固めの場合はスポンサーが当該企業であり、実際は広告であるようなものも多い。経済などでは、専門知識が低く間違いが多く、選挙などではトランプなどでも予想を間違った。このため、急速に、YouTubeなどに比べ、エンタメ性だけでなく、真実や専門知識についても、TVは評価を落としている。
その意味では、今回のフジTVの一連の事件は、TVも含め既存マスコミの更なる凋落を決定的としてしまったのではないか。
この1月25日はMOTのグラデュエーションペーパーの本文の仮提出日であった。この数週間15名の本文のチェックだったが、25日は11時から21時まで連続10時間15名に対し1人1人順番にペーパーに赤ペンを入れたものを誤字脱字も含め指摘して説明するということを行った。
これまでも何度か大きなブームがあったが、今回の生成AIはかつてないブームであり、まさに、イノベーションが起こりつつある。そして、量子コンピュータも大きな予算がつき、俄かに注目されつつある。当然ながらAIも量子コンピュータもコンピューティングに関係し、応用分野によって、スパコンも含め、使い分けだと考えている。長沼伸一郎氏が言うように、現実社会は複雑系の三体問題だが、それを近似して、二体問題として扱って発展してきたのが、これまでの科学技術であり、従来のコンピューティングがそうだと認識している。これに対して、生成AIや量子コンピュータは近似せずにそのままの状態で扱うようなものだろうか。
人間の知性や知的活動には関係するが、それは、ジェネイド・ムビーン著「AIに勝つ数学脳」で紹介されている数学的知性である①概算②表現③推論(数学的)④創造⑤問題を問う⑥中庸⑦協力の7つがあり、これらの人間の知性とAIは関係し補完し合うのだろう。
これからの時代に生成AIやコンピュータ、通信も含め量子技術がもたらす価値は何か。エコシステム、業界構造やビジネスモデルはどうなるのだろうか等を今から考え始めなければならない。
半導体産業の成長には、人材が不可欠である。座長を務めているJEITA半導体部会政策提言TF報告書では、アンケートやヒヤリング調査から「今後10年で4万3000人が新たに半導体人材として必要」と試算した。これは半導体部会参加9社の今後の半導体人材数であり、TSMC/JASMやラピダス、装置や材料メーカー、公的機関、さらにはユーザー側の人数もあるだろう。
1999年には半導体デバイス(ICとディスクリート計)で20万弱、製造装置で3.6万人いた従業員が、2019年には、装置は市場成長に併せ、7万人と倍増したが、デバイスでは、リストラ等もあり、10万弱と半減した。今後、2030年にデバイスが、これまでの横ばいの5兆円から10兆円になるには、生産性を上げても、3倍の30万人とは言わないが、15~20万人は必然だろう。製造装置も10万人以上は必要だろうし、材料は不明だが数万人はいるだろうか。業界の相互交流も考えれば、デバイスと装置と材料という、サプライヤー側で30万人は必要だ。
キルビーのIC発明が1958年、ノイスのプレナー型発明が1959年、私は1959年生まれだから、半導体よりは短いがIC産業とほぼ同年だ。
半導体の研究でなく、半導体産業や半導体企業を研究してきて40年余、偶然か必然か不明だが、大変幸運で幸福だった。
石破総理が施政方針演説で「令和の列島改造論」を取り上げた。内容的には2021年から提唱している「デジタル列島改造論あらためデジタル列島進化論」と重なる部分が多い。
石破茂首相「令和の列島改造」実現へ5本柱 施政方針演説 - 日本経済新聞
それは単なる地方創生ではない。田中角栄「日本列島改造論」では都市と農村の格差解消のため、工業の再配置と交通網整備を目指したが、それから50年、これからはデジタルで列島を変えていこう、日本列島改造論で目指した格差解消をデジタルインフラ投資で成功させよう、それもデジタルインフラ投資、活用ノウハウ蓄積、デジタルインフラと活用ノウハウをプラットフォーマとして輸出することで企業競争力を復活させ、地方の疲弊、インフラ老朽化、企業競争力劣化の問題を解決しようという提案である。この提案は、経産省の半デジ会議やデジタルインフラ会議でも強く主張し理解頂き、自公の国会議員の方々等にもプレゼンし、DCの地域分散化政策にも反映されている。また、半導体産業やDC誘致が人口増になり経済でも乗数効果を生むことも研究イノベーション学会その他で発表している。また、田中角栄の列島改造論ではストロー効果でかえって都市集中が進んだが、モノが中心の当時の列島改造論とデジタルも重視する今では、①シェアリング、②マッチング、③スピルオーバーといった視点から、ストロー効果は起きないと考えている。しかし、これについては、日経のシンポジウムで議論したが、さらなる検証が必要であることはデジタルインフラ会議でも話している。
工学部を出せいか、また、その後、虚業的な金融コンサル系が多かった「コンプレックス」か、自身は、ホワイトカラーではなく、メタルカラー、エッセンシャルワーカーという自負がある。大学時代も実験実習は真面目に履修したし修論は実験系だ。いまも工場見学を趣味とし、現場を見ることを重視している。MOTでの発表会でも、メーカー所属のゼミ生は、工場の正装である「ナッパ」服で発表してもらいこともあった。
講義でも、なるべく自身で機材を設定し、議論では、マイクを持って行き、写真を撮る。じっとするよりも、動き回る方が健康にも良いが、教壇に座って、踏反っているのは嫌だ。
金融庁や証券取引所のインサイダー事件、三菱UFJ銀行貸金庫の窃盗事件は大きなショックであった。メインバンクは貸金庫事業から撤退というが、その対応も顧客との信頼を裏切るものではないか。昔から、銀行は晴れた日に傘を貸し、雨の日には貸してくれないとの諺もあるが、それなりのプライドはあっただろう。こういう事件が続くと、行員はもはや信頼できず、現金輸送等も危ないかもしれない。これまでもあったが、カードやネットでも、類似の犯罪が増えるかもしれない。金融は、全て、相互の信頼から成り立っている。
こういう事件が続けば「金融」なるもの、「金融市場」と「金融機関」の信頼が根底から揺らぎ、もはや、不要、有害ではないか。
昔は、財閥があり、その中核の一つが金融機関であり、商社や物流、製造業とバランスをとって成り立っていた。
ここ数日、女性による犯罪がニュースをにぎわしている。三菱UFJ銀行貸金庫事件、東京女子医大前理事長事件、法政大学ハンマー事件、などは、驚いた。それ以外にも、老若を問わず、暴力や殺人事件も多い。
マスコミなどの論調は、戦争や暴力、汚職などは、男性が多く、女性は、その母性ゆえ、平和主義で、倫理観が強いという論調が多かったように思う。また、映画やTVドラマでも、「正義感の強い女性が悪の権力者などをやっつける」というパターンが受けるように思う。それゆえ、自身も、「女性・性善説」というバイアスがあった。
よく考えてみると、神話的な話だが、日本では天照大御神、神功皇后の三韓征伐、尼将軍の北条政子も含め、勇ましい女性は多いし、古代ではアマゾネス軍団がそうだ.
90年代後半から2000年代前半の一時の外資系証券会社を除いては、国内民間企業に属し、また、この8年間私学であった。他方、この数年は、NEDOや政府関係の仕事が多く、国立大学との関係もでてきた。
正月休みに読んだ「ホワイトカラー消滅」(by富山和彦)に紹介があった「シン・日本の経営~悲観バイアスを排す」(ウリケ・シューデ)も読了したが、7日日経の経済教室にほぼ同様の内容が掲載されていた。荒波をこえて(2)「ニッポン入ってる」に活路 ウリケ・シェーデ カリフォルニア大サンディエゴ校教授 - 日本経済新聞
日経から出版されているからではないだろうが、日経の記者も取り上げている。知己の中山氏や西條氏である。知り合いではないが、日銀のエコノミスト翁氏も推薦している。
「ニッポン入ってる」を磨け インテル不振、他山の石に 本社コメンテーター 中山淳史 - 日本経済新聞
「昭和っぽい会社」の変身 ためらわず着実に前へ 上級論説委員 西條 都夫 - 日本経済新聞
夏の読書、プロが薦める3冊 リーダーや専門家が厳選 - 日本経済新聞
日米比較の上で、米国の組織や社会はルース(緩い)でサクサク変わるが、日本はタイト(堅い)で変化に時間がかかるが、これはどちらがいい悪いではなく、価値中立的なただの違いだと指摘、日本の悲観バイアスを排せ、技術力に自信を持てと、「日本の変革はゆっくりだが着実に進んでいる」とう海外からの論点では珍しいもので、しかも、白人女性の主張であり、注目され、楽観論者とくにNISA推進の上では良い根拠になっただろう。
ユーラシアグループが1月6日に例年の世界の10大リスクを発表している。TopRisks2025JPN(1).pdf
2025年の世界10大リスク「Gゼロ混迷」首位 イアン・ブレマー氏の調査会社 - 日本経済新聞
10のうち、8までがアメリカ、トランプに起因する。日本で話題になっている、台湾や朝鮮半島の有事、サイバーテロ等は入っていない。AIについては、規制緩和を批判している。
VUCAの時代は、リスクがもはやリスクでなく、常態化している。年明けから韓国で政治混乱や飛行機事故があった。インフルエンザが流行っているが、何かパンデミックのリスクはないのだろうか。
今年の元旦は、韓国や米国などの喧噪の様相に比べ、国内は比較的は落ち着いて、正月を過ごすことができた。久しぶりに年末29日から2日までは自宅におり、神社に初詣した他は、大学にも行かなかったが何年ぶりだろうか。もちろん、ゼミ生のグラデュエーションペーパーの査読、NEDO関係〆きり対応はあるが、正月のTVや新聞をのんびり読んだ。
日経の1月1日は、経営者が株価や為替などマクロ経済を占う特集がある。為替は6月末と12月末を占うが円高予想は135年、円安は165円、大半は145~150円である(平均は6月末で147年、12月末で145円)。「25年度も賃上げ」経営者20人に聞く キリンHDや日鉄 - 日本経済新聞
昨年を振り返ると、130~150円で140円が多かったが、実際は140円から160円超えであり、概ね150円台であったから大外れだった。
株価は高値予想平均4万4450円で最高4万8000円、安値予想平均3万7025年、最低は3万5000円である。日経平均株価、9割が「最高値更新」 経営者20人予想 2025年の株価見通し - 日本経済新聞
昨年を振り返ると半数が日経平均株価の終値ベースの史上最高値である3万8915円を超えると回答だが、4万円超えはなく、弱気派は伊藤忠、信越も3万円割れ予想、ニデック小部氏は2万6000円と弱気だった。日経平均株価、半数が「最高値を更新」 経営者20人予想 2024年の株価見通し - 日本経済新聞
実際には年末終値は89年の年末最高値を上回る3万9894円だった。年間を通じての高値は7月11日の4万2224円、安値は8月5日の3万1458円だった。為替に比べ、経営者の占いは当たったといえる。
今年は、年末30日から1月3日にかけて、年賀状と新聞や雑誌以外に、読んだのは、ゼミ生15名のGP(グラデュエーションペーパー)と、NEDO資料、そして、船橋洋一先生の「地政学時代のリテラシー」、富山和彦氏の「ホワイトカラー消滅」である。GPは約5万字で15人だと75万字、まだ遅れている方もいるので、現状では50万字程度なので、本5冊分を熟読したことになる。更に、読んだ後、1000~2000字の主査コメントを書くので、これは3万字の原稿を書く事になり中々大変で辛いので、息抜きにジャンルの違った本を読みながら対応している。
船橋洋一先生は、ここ数年、半導体が国家安全保障関係に関係することもあり、プレゼンや意見交換の機会があり、関係会議で御一緒させて頂きお世話になっている。その関係で頂戴したものだ。
特に、台湾有事や半導体関連を中心に熟読したが、冒頭の地政学リテラシーの7箇条が政治家等による金言から基準されている、学んだことは現実的な対応やしたたかさが必要であり、経済パワーの地経学の重要性であるが自身の思考の枠組にも近かった。また、安倍総理の偉大さも再確認した。歴史から現在の情勢の理解のため必読だろう。地政学時代のリテラシー (文春新書 1441) | 船橋 洋一 |本 | 通販 | Amazon
新年の最初にコメントしたい。昨年は、過去数十年を振り返り、10年サイクルで環境が変ってきたことを書いている。最後に、「次の10年は2035年までであり70歳を超える。電機半導体には関わるのだろうが、流石にあまり大きく環境が変わるのは辛いし、できれば、ノンビリ、ジックリ、ユッタリしたいと思っている。それもこれも、天命である。年末に、まさかの珍事が、研究イノベーション学会の副会長就任であり、これまた、もっとも縁の無いものだと夢にも思わなかった。これが何かの啓示なのか、全く予想外の展開が来るのか、初夢次第か。」と記している。1月に予期していなかったのが、国家安全保障関係、甘利明先生の応援、熊本との御縁などである。心境も少し変った。少なくとも2030年までは半導体もMOTも最後で最大の機会であり、天命を感じて、むしろ全力投球、フル回転したい気持ちが高まってきた。
2024年もあと僅かだが、同時に、理科大MOTもあと僅かである。講義やゼミもあと1ヶ月、8年前お今頃、2016年の12月には辞令のようなものは頂き、担当科目の準備、シラバスを書きながら、新たな場で、アカデミアの方々と、じっくり、のんびり、知的な議論をすることを楽しみにしていた。
去る12月23日16時半から18時半に経産省で第12回半導体・デジタル産業戦略検討会議(半デジ会議)が開催され有識者として出席、発言もした。第12回 半導体・デジタル産業戦略検討会議 (METI/経済産業省)
会議の内容、各メンバーがどういう発言をしたかは非公開であるが、議事次第、メンバー、190頁に及ぶ詳細な資料は25日公開されている。議事は、加藤経済産業大臣政務官からの御挨拶、金指情産課長による事務局説明、メンバーからの意見である。
台湾調査会社トレンドフォースが12月26~27日「2025年テクノロジー産業の技術・発展十大見通し」を発表した。日本でない視点があるので紹介する。
特に、①の生成AIとメカモータ技術による人型サービスロボに多くの中国企業が参入、②のAIノートPC、③のHBMや④のGAAやチップレットの詳細、⑥や⑦のディスプレイ技術、⑧のLEOに関してのベンチャー参入は日本になく驚く、⑩のCATLのリン酸鉄リチウム電池の動向、2025年全固体が実用化など要注意だ。
他方で、パワー半導体などは、それほど取り上げられていないのが意外だ。ドローンなどは、もはや、ハイテクではないのだろうか。日本で盛り上がる量子コンピュータなども取り上げられていないが、もっと先なのだろうか。
今年も色々な本を読んだ。雑誌や新聞で紹介があるが、お勧めは下記である。テクノリバタリアンは、入山先生も推薦していた。岡野原さんの本もコンパクトだが参考になる。
Science Fictions あなたが知らない科学の真実byスチュアートリッチー
地政学時代のリテラシーby船橋洋一
組織不正はいつも正しい ソーシャル・アバランチを防ぐにはby中原 翔
無形資産経済 見えてきた5つの壁byジョナサン・ハスケル, スティアン・ウェストレイク
テクノリバタリアン世界を変える唯一の思想 by橘玲
憎悪の科学: 偏見が暴力に変わるときbyマシュー・ウィリアムズ
AIリスク教本 攻めのディフェンスで危機回避&ビジネス加速 by7M AI倫理チーム
大規模言語モデルは新たな知能か――ChatGPTが変えた世界by岡野原大輔
経済で読み解く日本史by上念
回想十年 新書版by吉田茂
金が語る20世紀: 金本位制が揺らいでも 鯖田 豊之
年賀状の時期になると、改めて、天国に召された方々を思い出す。自身も年を取るので、大変お世話になった方々が逝かれ、あの世の方々が増えていく。今年は一層多く、追悼の意を込めコメントしたい。
まずは、エルピーダの社長だった坂本幸雄さんだ。これは、既にコメントしたが、その前日までメールでやりとりをし、メモリー会という懇親会をするため日程を電話でしていた。そんなことなら、無理すれば、良かったと悔やまれる。
久しぶりに台湾を訪問した。先週水曜日から金曜日の2泊3日、本来なら1週間は滞在したいところだが、金曜夜授業があり短期間となった。最初に台湾を訪問したのは90年代の野村総研時代であり、日帰りもあり毎年1週間を数回、ヘッジファンド時代は台湾企業に投資していたこともあり、ほぼ毎月1週間訪問した。
来年3月に理科大は定年退職となり去る。理科大MOTはヘッジファンド時代に非常勤講師を2008から2010年やり、その後、2017年から教授として数多くの科目も持ち、専攻長として、カリキュラム改革も進めた。まだまだ道半ばだ。カリキュラムは今後大きく変わり、MBA的になるようだ。ゼミのやり方は教員によっても異なる。若ゼミでは累計85名を排出し、多様なテーマを取り上げ、修了ペーパーを書いてもらった。学生もよく頑張ったし、自分も全力ベストを尽くした。多くの本も読み、一生で一番勉強した。そうでないと、レベルの高い学生に適切な指導ができないし、良い議論ができない。しかし、他の教員のゼミはまた違うだろうし、これから変るだろうし、修了ペーパーの位置付けや、やり方も変わるだろう。そこで、理科大MOTで、ある時期、こういうような教育研究を行なっていたこと、経営重心はじめとする理論化の試みも含め、ゼミ様子を一部でも、広く認識頂き、後世に残したく、ものづくり太郎に協力いただき、CKDとの共同研究資金の一部を使い動画を作成した。広く、関係者だけでなく、参考になり、批判や意見を聞きたい。
このところ、無形資産経済に注目している。エクイティファイナンスだけでなく、むしろ、デットファイナンスにおくて、スタートアップ企業で重要だ。
データが経営戦略上、極めて重要であり、R&Dも設備投資ですら、データ取得が目的かもしれない。データセンターの投資や活用も正にそうだ。GAFAMなどの価値も無形資産のデータであることも明らかである。しかし、未だに、データを直接、B/Sに計上する会計基準は議論の最中であり、従って、データの価値は計上不明である。
NewsPicksが、プロピッカーを対象にアンケートを行い「21世紀(1Q)のビジネス書ベスト100」の選定を行う。我々プロピッカーが特に影響・感銘を受け「次の25年に残したい」と思われるビジネス書を推薦するものだが、対象は、2000年1月1日以降に日本語で出版されたすべてのビジネス書である。
科学的アプローチの典型は仮説検証だろう。あるいはロジカルな思考、成功のために、無駄なく、効率よくやるアプローチだろう。これに対して、手当たり次第、とにかく試行錯誤をするというアプローチもあり、ある意味、生成AIも近いといえる。そこには、仮説検証という発想はない。
これまでは、科学的アプローチが勝利し、経営者も、良く考えて、仮説検証するのが成功の鍵であった。他方で、偉大な起業家の中には、何でもTryした結果、大成功した場合もある。もちろん、その裏には、死屍累々、失敗の山だ。
生成AIの良さは、失敗しても死ぬわけではなく、人間のように限られた人生ではなく、無限に時間はあり、何度も試行錯誤でき、恐ろしいことに、スピードアップできる。人間なら、毎年1回起業に失敗して、年齢を考えると、せいぜい20~30回どころか、数回だろう。しかし、AIなら高速に試せる。
OECDによる国際成人力調査(PIAAC)が11年ぶりに行われ、結果が出た。日本は、前回2011年に1位だった読解力と数的思考力で2位。初の問題解決能力で1位。3分野のトップはフィンランド、上位を北欧諸国が独占、他方、シンガポールや台湾、イスラエルや韓国も上位ではない。調査は2022年から2023年に実施。第2回調査では、31か国地域から約16万人参加。高校生中心の学力PISAは有名。
日経新聞は「日本の知力で数的思考が早くピークアウト」と他の北欧諸国と比べているが、原文を見るとOECD全体との比較では健闘しており、リスキリングをアピールしようとしている感がする。ただ、フィンランドとスウェーデンの数的思考ピークが40歳前後は驚くが、フィンランドは60歳前後の落ち込みも急である。日本人の知力、24歳で頭打ち 「学べぬ大人」手薄な支援 - 日本経済新聞
データセンターでは、生成AIサービスの導入が急速に進むなで、電力消費とエネルギー源をめぐる懸念が高まっている。生成AI時代には、学習と推論を分けられ、学習はオンプレで数GWいるが、推論は、分散エッジデータセンターにすれば、数百MWになる。
しかし、クラウドのデータセンターのエネルギー効率は、オンプレより4倍以上高いという。しかし、世界のIT支出の約85%は依然としてオンプレだ。一般的には、オンプレとクラウドを比較すると、これまでは、クラウドが多くの点で優れている。
セミコンジャパンが11日から開催、会場には同日、午後に訪れ、夕方からはパレスホテルで招待制のGALAパーティだった。11日は初日ということもあって、大混雑、海外からの訪問の他、リクルートが協賛か若者が多い。各ブースでも、リクルート用のコーナがあった。各ブースの展示は例年通りだが、NEOD審査で見ているものも多く、それらを中心に視察したが、どこも人で溢れ、質問や展示を見るような雰囲気ではなかった。会場で会う約束もあったが、会えず、混雑で逆に知己との出会いも少なかった。例年はスピーチもあったが、昨年は2回に渉り登場したせいか、あるいは不評だったか、今年は無かった。
展示では、ラピダスが一層、社会実装に向けて進展しており、多くの人間が熱心に集まっていた。注目はAlbanyでIBMと共同開発した2nmプロセスのウェハー展示である。TEGか何かのアプリケーションか、GAAだけか配線工程もあるかは不明だった。IEDM2024の学会発表もあったがGAA構造のようだ。
Rapidus and IBM reach new milestone on 2 nm chip production - IBM Research
それ以外では、環境省のGAN展示で森先生の新技術によるウェハー展示もあった。昨年より、パワー半導体は少ない。むしろチップレットや後工程関係が多かった。VIP講演でも、チップレットや後工程の重要性や、AI専用半導体に注目する発言が多かったようだ。
夜のGALAパーティは、例年通りの丸テーブル席で、甘利明先生はじめ自民党政治家、経産省幹部、ラピダスや半導体各社トップが来賓。
日経新聞などの報道によると、政府は自民党の提言を踏まえて検討してきたNTT法の廃止を当面見送る方針のようだ。しぼんだNTT法の廃止論 「推進議員」衆院選落選の影響大きく - 日本経済新聞
NTT法改正を推進してきたのは甘利明先生であり、衆院選落選の影響が大きい。プロジェクトチームは、NTT法の廃止論は防衛費増額の財源確保を議論する中、政府保有のNTT株売却に着目したのに端を発する。2023年末にNTT法廃止提言をまとめ、経営の自由度を確保、国際競争力を高めることも狙った。
日本では、GAFAMに対抗しうるプラットフォーマは、NTTくらいしかなく、かつての電電公社級に再統合され、通研も復活すべきだと考え、基本は賛成だった。
イノベーションには金融の力も重要であり、ファイナンス自身にもイノベーションが必要だ。GX債券やVC、そして、PEファンド、アクティビスト等の類も含めていいだろう。ただ、便利だが両刃の剣だ。
日経新聞が「膨張アクティビスト」特集を12月2日から特集を組み、アクティビストファンドの功罪を分析、総括している。企業価値が上昇するか否か、ROEなどの改善も様々である。記事に同感するのは、米に比べても、ファンド天国であり、株主権利が強すぎる。株主提案は半年保有であり、内容も規制が無く、提案数も1人10個である。
WSTSが12月3日に半導体市場予測を発表した。世界半導体市場統計(WSTS) 今回は11月19日~21日の3日間、米サンディエゴで開催されているので、トランプ圧勝後だが、どう織り込んでいるかは不明である。8月か9月までの実績は織り込んでいるだろう。前回春の5月予測から全体市場は2024年6110億ドル(16%増)→6268億ドル(19%増)、2025年は6874億ドル(12.5%増)→6972億ドル(12.3%増)と上方修正。ディスクリート、光はマイナスで下方修正、センサーはマイナスだが上方修正。アナログはマイナスだが上方修正、マイコン、ロジック、メモリはプラスで、上方修正。メモリは75%増から81%増である。好調はメモリとロジックみであり、これまで以上に二極化が進んでいる。
政府・日銀によるETF買いや、いわゆるPKO、為替市場介入は、合法で当然の政策だ。それは、政府や自身の金融政策はじめ全てを知っている立場であり、それゆえ有利であり、成功して当然である。
これに対し、民間ファンドが、政府しか知らない政策を事前に知りえ、その情報を利用して投資をすれば、インサイダーの可能性がある。また、為替にしろ、株価にしろ、価格操作をすれば、これまた違法である。
どうも、日本人は、気が長くないというか諦めが早いようだ。研究において、「固有周期」が短いようである。
自動運転のアプリケーションで、生成AIに、データを食わせたが、数百万kmかどこかで、性能向上がピークアウトして諦めたが、中国は、時間をかけ、その10~100倍のデータを食わせると、急に、性能が向上したという。
既に紹介したが、「経済で読み解く日本史」(上念氏)は、ややリフレ派の傾向はあるが、奈良平安時代から昭和平成までを、一貫したロジックで説明した良書であると考えられる。戦乱の時代と平和な時代、武将や貴族らの行動やリーダーシップも分かりやすい。マクロ経済学かつ貨幣の視点から説いているからこそ、これまで暗記物として、認識し因果関係が不明な事象を明快に俯瞰できる。その意味では、同時に、リフレ派の理論が正しいようにも思える程だ。下手なマクロ経済の本を読むよりも、マクロ経済の理論の勉強になる。それ以外にも、戦争経済学や戦争の理論も紹介されている。
下記に、理論や鉄則などを紹介する。
去る11月19日にVision2020朝食勉強会にて、キヤノングローバル戦略研究所理事特別顧問元外交官の宮家邦彦氏の講演を聞いた。これは甘利明先生の勉強会で、以前、自身も半導体産業について講演したもので、時々、参加させて頂いている。約200名程度、電力、ガス、通信キャリア、JR系、インフラ系、ゼネコンなどの業界、役所関係、政治家が多く、知己も出ている。
もうすっかり普及している生成AIだが、これまで指摘されている、①ハルシネーションや、トラスト、情報保護などのAI倫理的問題、②エネルギーの問題、に加え③巨額開発費の問題が浮かびあがってきた。
パワー半導体で業界再編が進みそうだ。デンソーと富士電機は29日、EV等を念頭に、SiCを中心に、パワー半導体で協業と発表した。両社で2116億円を投じて次世代品の生産体制を構築する。経済産業省も最大705億円を支援するようだ。24年9月にはロームとも提携を発表少額出資、またロームと東芝も提携関係にある。デンソー・富士電機、米欧パワー半導体に挑む2100億円投資 - 日本経済新聞
また、デンソーはトヨタ等と、クルマ向けチップレット、エコシステムのASRAプロジェクトも推進しており、注目される。
SUMCOの決算説明会を視聴した。SUMCOの決算説明会は業績結果だけでなく、半導体市況や、技術や将来の成長に関わる興味深い資料が掲載、橋本会長が解説する。決算説明会資料 | 株式会社SUMCO
特に、今回の3Q決算と前回の2Q決算は、興味深い。今回、FIN-FETからGAAに移行する中でのデバイス構造、特に、表面が信号配線と裏面が電源配線となり、ウェハーに求められる技術開発が示され、大変参考になる。
エフィッシモなどアクティビストが保有する銘柄が注目を浴びているようだ。コニカミノルタ、リコー、タムロン、日産などであり、株価が急騰するケースもある。大平洋金属、メルコホールディングス、関東電化工業は乱高下した。コニカミノルタ、ファンド圧力は劇薬か 3週間で株価4割高 SCORE - 日本経済新聞 日産、日産車体との親子上場解消の試練 アクティビスト狙い撃ちか 落合修平 - 日本経済新聞
アクティビストが100%悪いわけではなく、親子上場解消はじめガバナンス見直しや業績改善に繋がる場合もある。他方、配当を増やすなど株主還元要求など短期目線の場合は問題だ。最近さらに懸念すべきは、ウルフバック戦術といわれる、複数の投資家がひそかに協調して株式を買い集め、時機をみて一気に経営権の奪取狙った企業を買い上がるやり方である。三ツ星が対象となり摘発された。2000年代に米国などでみられ、日本でも近年似た動きが目立ち始めた。日本は米国などに比べ、大量保有報告制度違反への当局の取り締まりが緩いとの指摘もある。「オオカミ株主」けん制 株の保有報告違反で初摘発 - 日本経済新聞
両利きの経営はベストセラーにもなった名著であり、そのポイントは、①トップのコミットメント、②組織構造運営を分ける、③共通のアイデンティティ、④リソースの活用である。このうち、①②③は全くその通りだが、④には違和感を持っている。下右図にあるように、リソースには、事業の種類に応じて、汎用性とリソースカニバリ度合の二軸マップでみると、様々なである。
これを別な視点で再考すると、要は、リソースに有形資産的なものと無形資産的なものがある。
子供は遊びやゲーム、スポーツを通して、ルールやチームワーク、リーダーシップを学ぶ。人生ゲームや双六、将棋や碁は、それ自身も面白いが、ルールが重要だ。
頭の良い子供は将棋や碁の天才となるが、自分は、天才でなかったせいか、将棋や碁の定石を勉強するのには関心がなく、そのルールを変更したら、局面がどうなるかに関心があった。将棋のマス目を9×9でなく、増やしたら、とか、駒の数を倍にしたら、とか考え、それで遊ぶことが、より楽しかった。特にワクワクしたのは盤面を遮り、通常の初期の駒の並べ方でなく、自由に相手に見えないように布陣を考え、勝負開始に、お互いの駒の布陣を見せて、戦うとか、である。鬼ごっこや、その類である「泥棒と警察」なども、色々な新ルールを取り入れ、同級生を楽しませていた。
そういう性格のせいか、授業での演習やグループワークでも、様々な遊びルールを入れて、社会人学生に楽しみながら学んでもらっているつもりだ。また、生成AIに対しても、答えられないような問題を出して、遊んでいる。
MOTで、横グシ的な新科目を開発してきた。必要に応じて、人事や組織、といったビジネススクールにある科目以外にも、プロセスエコノミー、エコシステムなどビジネススクールにはなく、教科書として、まだ無いような分野も手掛けてきた。ある程度、知っているとはいえ、勉強しないならない。当然ながら、1科目あたり、30冊程度の本は読み込み、10冊は熟読、できる限り、数十程度の論文も読んだ。著者や専門家とも議論した。
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経済学などは、数学より、相互作用や状態を説明するのに化学あるいは熱力学と相性がよく、経営学は生物学や制御工学と似ている。化学や熱力学の、相図、状態方程式、エントロピーは経営学でも流行しており、生物学でのニッチが経営戦略でも用いられる。エコシステムもそうである。経営学は、これまでも心理学、歴史学、政治学、建築学などを参考に発展してきたが、今後、化学や様々な工学のアプローチを導入することで発展が期待される。
総選挙を与党大敗だったが、ラピダスも含め半導体AIへの政策支援は継続するようだ。空白を埋めず、経産や業界が頑張ったのだろう。公的企業への出資はガバナンス面でもプラスであり、税優遇も当面は当然だろう。GX債、商工中金株売却益も含め、量産開始まで4兆円の資金確保にメドがついただろう。
ラピダスに政府が2000億円出資案 25年度、量産支援 - 日本経済新聞
キオクシアがついに12月18日に東証プライムへ上場する。コード番号は285A。会社側のHPおよびJPXのHPでも1の部が確認。想定売り出し価格は1株当たり1390円、2156万株の新株発行、証券会社や投資家の需要を踏まえ12月9日に売り出し価格を決定。新規上場会社情報 | 日本取引所グループ
12KioxiaHoldings-1s.pdf 募集株式発行及び株式売出しに関する取締役会決議のお知らせ
想定時価総額7500億円。米投資ファンドのベインキャピタルと東芝も売り出す。キオクシアは新株発行に伴い277億円を調達する。ベインの出資比率は56%から51%へ、約200億円を売り出す。東芝は41%から32%に下がり、約500億円を調達。3%保有のHOYAは不変。SKが最大15%の株主となる可能性があり、WDとの関係性や将来はマイクロンとの統合期待もある。
キオクシアHD、12月中旬上場へ 時価総額7500億円 - 日本経済新聞
キオクシア12月18日上場 277億円調達、東証が承認 - 日本経済新聞
これまでの報道に比べ時価総額は半分であり割安だが、25年度へのデータセンタ期待と内外政治情勢もあり上場を急いだようであり、正しい判断だ。
決算短信では3Q決算をレンジ方式で開示。
コロナ以降、久しぶりに、一泊二日で熊本に行った。熊本大学で、半導体の講演とグループワークを行い、講演会参加は、70名と満席で盛況、グループワークも多数参加があり、好評だったのではないか。また、グループワーク発表も、長期でレジリエントな都市を目指し、チップレットサプライチェーン変化を生かし、交通渋滞を無くし、高度IT人材も集まる、魅力的なエコシステム形成というユニークな結論であった。質疑も、台湾有事、またトラ対応、チップレットなど多岐にわたった。
実は、政府広報の動画で、熊本を舞台に登場、一緒に登場されている、熊本大の教授や地元企業について、気になっていたところであった。Moving Forward Together - Investment in Regional Empowerment
それが、今回、動画に出ている研究室を訪問、CRも確認、企業の方々とも講演会でお会いでき、大変良かった。 翌日は、午前中に3つの研究室を訪問、先生方と意見交換をした。
熊本大は五高以来の歴史的な建物と半導体に関するCR棟などが建設中であり、活気にあふれていた。ソニーやTELなどとの関係もあり、また気風かどうか不明だが実践を重視し、スピード感と熱気を感じた。
午後は、オオクマ電子、マイスティア、ハマダレクテックの3社を訪問、一部、工場見学をさせて頂いた。
小学生の頃は、それなりに歴史も好きであったが、高校で全く嫌いになったことも理系に行った理由である。数学や物理は、それなりにロジックがあり「何故か」に答えてくれ、腑に落ちる。学問別の異なる考え方はあるが慣れれば一貫しており、そういう考え方、ロジックを学ぶのも重要である。
それが歴史は年号などの暗記であり、あまりに雑多に覚えることが多い上、「何故」に答えてくれない場合は多すぎる。平和な時代、戦争の時代、景気動向、貧富の格差なども、理由を考えれば考えるほど、矛盾だらけであり、結果、受験に出るから丸暗記ということになる。会社に入り、経済学や経営学も学び、実社会で向きあえば、過去の歴史は、経済経営、特に金融の切り口で説明すると、理由が腑に落ちることが多い。平家の滅亡、戦国時代、江戸幕府の衰退、明治からも概ねそうだ。大国との戦争も、ロシアには勝ち、米には負けたのも金融、資金調達である。それが丸暗記では皆、社会科嫌いになり、どんどん教養も無くなっていく。歴史あるいは過去に学ぶどころか歴史嫌いを作り、過去に学べない国民が増える。
「経済で読み解く日本史(上念司2020年飛鳥新社」は、そういう切り口で書かれ、腑に落ちる名著である。
理科大MOTを3月に退官する前にして、幾つか今更ながら理解したことがある。自身が言わずもがな、当然と思っていたことが、教員側も学生側も必ずしも、そうでなかったことも多い。これは、優秀な方でもそうであるが、説明すれば、納得頂くので、それを最初にもっと丁寧に行うべきであった。
最近、特に思いのが、MOTあるいは広くビジネススクールに対する考えのミスマッチである。大学への期待は①学位、②専門知識は当然である。行っている大学では、③演習やグループワーク、修了ペーパーを通して得られるスキル、また、④学生同志、ゲストスピーカー等との出会いによる人脈形成、そうした多様な場でのコミュニケーションスキル、リーダーシップも大きいが、この③や④は、修了してから気が付く場合が多いようだ。さらに、⑤教員やゼミ仲間次第だが、俯瞰力、思考法などが重要である。企業派遣側、経営トップの期待は、実は、③④⑤である。
「テクノリバタリアン(橘玲)」に政治体制をマッピングした図があり、最近の左翼、右翼、リベラル、リベラリズムを上手く説明している。
これを参考にして、図示すると、横軸は結果平等か機会平等かという決定の結果に関する思想・信念を示す。結果平等というのは、中心極限定理が支配しているかのようであり、機会平等で格差が広がり混乱するのはエントロピーの法則が支配しているかのようである。縦軸は決定プロセスを誰に委ねかの軸で、真ん中の原点をボトムアップの民主主義(決定は多数決)、上が人間でなくAIによるトップダウンで決め、下は君主や帝王、独裁者がトップダウンで決める。大衆にとっては、左上は、いわば野生を奪われた大人しい「家畜」、左下は「奴隷」、右上は、無秩序と混乱が続く応仁の乱のようであり、右下が激しい人間社会である。金融なら、下が、いわばかつての日銀総裁の英断で決め、上は、ブロックチェーンで決めるようなものだ。現在の日本は、程度の差こそあれ原点中心に分布している。かつてのアナキストは左上、左下はソ連や北朝鮮の社会主義、右下が君主制、右上が金融市場主義とも言える。テクノリバタリアンは人間の決定に批判的でKPIを定め、AIで決めるという極端な思想で若手に支持がある。
これを戦略で決まるなら、真ん中が今の経営に近く、企業の意志決定はボトムアップ、あるいは、株主総会、役員会で決める。下がオーナーによるトップダウン経営である。左は、社員の報酬等の差がない、役所などに多いパターン、右は米系の差が大きいというものである。
経済でも経営でも、実態把握が困難になっている大きな理由は、無形資産の存在増大にもかかわらず、それに政治や企業が適切に対応していないからである。見えざる資産、モノからコトへ等も同様である。「無形資産経済見えてきた5つの壁」(ジョナサン・ハスケル、スティアン・ウェストレイク著2023.7東洋経済)は21世紀経済が①停滞②格差③競争不全④脆弱性⑤正当性欠如の5つの壁が無形資産経済に対応していないからであると説いた上で、アカデミア、金融、都市などからの視点から改善点を提案している。無形資産経済 見えてきた5つの壁 | ジョナサン・ハスケル, スティアン・ウェストレイク, 山形 浩生 |本 | 通販 | Amazon
日経新聞2024年10月24日の経済教室で元内閣府事務次官松山氏は「無形資産への投資、政策や経営の判断基準に」で、「無形資産への投資低迷は長期停滞の要因、ウェルビーイング向上を目標に投資促せ、全体像把握へ無形投資の統計整備を急げ」と論じている。無形資産は有形資産に比べ①投資の利益が周囲や社会に広く波及する外部経済効果(スピルオーバー、スケラビリティ)、②所有権が不明でステークホルダー関係が複雑、③不確実性が高い等の特徴から、社会的価値を生むが、効果が見えにくく統計整備が必要と指摘している。無形資産への投資、政策や経営の判断基準に 松山健士氏 元内閣府事務次官 - 日本経済新聞
実際、そもそも、無形資産、見えざる価値、コト価値などのウェイトが、マクロ経済、産業界、製品といったレベルで、どの位なのかの先行研究は少なく、小生が研究イノベーション学会で発表した研究がある程度である。kouen38_208.pdf 一般社団法人 研究・イノベーション学会 | 年次学術大会
直近の学会では、価値をテック、マネジメント、ビジョナリーに分けたが、無形資産どころか、単位で計測しにくい価値(テック価値以外)は1/3以上はある。テック価値も、無形資産は多い。
特に、これから急ぐべきは、無形資産が多い企業への資金調達である。
GAFAMのイーロンマスクなど、テクノリバタリアンが注目している「世界を支配する10の式」があるそうだ。統計や金融で使われるものだが、これを、ネット社会で、マーケティングに使い場合も多い。
① ベイズの定理:不確実な情報に基づいて意思決定をする際の条件付き確率。
② 正規分布:多くの自然現象やデータ分布を説明する中心的な分布。
③ 回帰分析:データ間の関係をモデル化し、予測に利用。
④ ロジスティック関数:成長や拡散のモデリングに使われる。
⑤ ネットワークの中心性:ソーシャルネットワークにおける重要なノードを特定。
⑥ パレートの法則(80/20の法則):多くの結果が少数の原因に集中する現象。
⑦ ゲーム理論のナッシュ均衡:競争や協力が関係する状況での安定的な戦略。
⑧ ランダムウォーク:金融市場や物理現象の動きをモデル化。
⑨ エントロピー:情報理論や熱力学における不確実性の測定。
⑩ モンテカルロシミュレーション:複雑な問題をシミュレーションで解決する手法。
この多くは、MOTやゼミでも紹介し、ネットワーク分析は、グラデュエーションペーパーでも、毎年、お馴染みである。エントロピーやモンテカルロシミュレーション等は、今年から挑戦である。また、10の式にないのが、ベイズの定理と関係するが、因果推論ダイアグラムである。
この10の式の前に、世界を変えた17の式というものがあり、ピタゴラスの程度から始まり、ブラックショールズ式まである。
Amazon.co.jp: 世界を変えた17の方程式 : イアン・スチュアート, Ian Stewart, 水谷 淳: 本
数学と物理と応用が中心であり、①から④までは、高校までで学ぶが、あとは大学で学ぶものが多く、文系は知らないものが多いだろう。そこで、MOTでは、科学技術基礎という科目で紹介したこともある。また、⑦、⑫、⑮、⑯は、支配する10の式と関係する。
① ピタゴラスの定理(三平方の定理)
② 対数における真数の積と対数の和
③ 微分・積分
④ 万有引力
⑤ 複素数(虚数単位)
⑥ オイラーの多面体定理
⑦ 正規分布(確率密度関数)
⑧ 波動方程式
⑨ フーリエ変換
⑩ ナビエ-ストークス方程式
⑪ マクスウェルの方程式
⑫ 熱力学第二法則(エントロピー増大則)
⑬ 特殊相対性理論(質量とエネルギーの等価性)
⑭ シュレディンガー方程式
⑮ 情報理論
⑯ カオス理論
⑰ ブラック-ショールズ方程式
ロームが11月8日に発表した決算は、通期が営業赤字に下方修正という厳しいものであった。売上は4800→4500億円、OP140→-150億円に下方修正。ただ、EBITDAは1067→742億円と黒字を維持。同社の営業赤字は2012年度の赤字9億円以来であり、1990年頃からウォッチしているが、珍しい。年間のセグメント別損益、アプリケーション別損益の修正内容は開示されていないが上期実績は産機が厳しく、セグメントはSiC含む半導体素子が売上1020→972億円、OP130→-104億円と売上減よりOP減が大きく、SiCの立上げロス等と推測される。株主・投資家情報 │ ローム株式会社 - ROHM Semiconductor
シリコンサイクルはメモリとアナログパワーで2年程のタイムラグがある。メモリは底打ちから急回復、アナログパワーは底である。ルネサス、日清紡マイクロデバイスやトレックス等も下方修正である。
日経では生みの苦しみとコメントしている。EVに賭けたローム、「高収益」復活前の苦しみ - 日本経済新聞
この10年でロームは京大と提携する等、SiCの技術力を高めてきたことは事実であろう。90年代に部品から半導体に転換し揶揄されたが、高須氏がR&Dを、疋田氏が事業を推進、沖電気カリスマオーナーの佐藤氏の元、国内で有数の半導体メーカーとなった。2008年には、沖電気から半導体部門を買収したことも、技術力を厚くした。SiCでは、2009年にSiクリスタルをシーメンスから買収し、ウェハー供給に先手を打った。赤字が続いたが今それが効いている。
現在の政治情勢に混乱、また、トランプ圧勝、かつ彼がイーロンマスクや若者からの支持得られる理由については、テクノリバタリアン(橘玲2024)が参考になる。氏の書を元に、政治情勢をマッピングすると、下図のようになる。横軸は一般人が結果平等か機会平等か、縦軸は、誰に決定権があるかの軸で、原点が、民主ある意味愚民大衆である。下がトップダウンだが、伝統的な君主や党首、上もトップダウンだが人間でなく、人工的、市場競争、KPI主義で、自動的に決まり、人間的な介入はしない、というものである。金融で言えば、「帝王的」な日銀総裁が決めるか、ブロックチェーンか、といえば分かりやすい。人間が決めるとどうしても部分最適になり、全体最適にならない。予めルールを決め、目指すべきKPIに従って、自動的、AIが決定すれば、いいというものである。今の若者は人間不信(上司や親、年長者)であり、AIを信じる傾向にある。馬鹿な政治家など人間でなく、AIがマシという考えだ。
リベラルといっても、その極端なのが、イーロンマスク等、白人の高IQに多いテクノリバタリアンであり、トランプも市場主義ビジネス主義でもあり、近い面がある。最近は右翼も左翼も平等という意味では近い。左側が共産主義、右下が大日本帝国など国王主義などである。自民党は、原点のやや右下、日本はど真ん中やや左側ではないか。
理科大での教員生活も残り数ヶ月となった。あっという間の8年である。収入は少ないが、ストレスやリスクは少ないと予想していたが、ストレスだらけで、見えざるリスク(背中から刺されるような)もあり、全く予想と真逆だった。
これまでの人生の軌跡を、ストレス(リスクが高いとストレスも高い)-リターン(収入だけでもない)曲線で描くと、低ストレス(リスク)-低リターンの野村総研研究員から始まって、アナリストに転じ、更に、外資系アナリスト、ヘッジファンドと、どんどん高ストレス(リスク)-高リターン(収入等)、そこで、限界、天井を打って、低リターンでもいいから、低ストレス(リスク)志向となり、一周回ったと考えていたが、理科大教員は高ストレス、低リターン(少なくとも収入)だったと認識している。あるいは、収入は低いが多くの学びや人脈形成もあったという意味では、リターンはカネでなく見えざる資産を頂いた、あるいは、社会還元、社会にリターンを返したともいえる。
若い時のストレス、苦労は、R&D投資のようなもので将来価値にプラスであり、リスクを取って経験すべきだろう。しかし、50歳以上は、プラスよりマイナスが大きい。これは、心身のストレス耐性が弱体化するからである。
組織構造や人事体制は、個性を無視して制度設計されるものであろうか。アカデミアだけでなく、マスコミや企業でも、そういう考えなのであろうか。
長年の知己である日経の西條氏が荏原製作所等のケースで「人事権なきトップは可能か」と論考している。社外取締役起用、執行と監督の分離、重要な決定は取締役会の議論を経る等の正論、建前論であり、インテグリティ等がリーダーシップの源泉と唱える。影の有力者や正式なプロセスを経ない、インフォーマルな人間関係や打合せでの決定を批判している。荏原や北国FHDは、こうしたガバナンス改革で評価されている。人事権なきトップは可能か 問われる求心力の源泉 上級論説委員 西條 都夫 - 日本経済新聞
もちろん、正論は、それが理想だが個性や好き嫌いもある。至急の判断もある。ロボットのようにはいかない。
キオクシアの業績が急回復、再度、IPOの機運が高まっているようだ。2Q決算は、売上4809億円、営業利益は1660億円(35%)、DEPも792億円ゆえ16%と妥当だ。EBITDAは2452億円。y/y、q/qでも増収増益、過去最高である。ビット需要はq/qで10%増、単価も同1桁半ばのアップ(1Qは20%アップ)、AI活用でDCが好調、AI搭載モデルで買替も寄与。上期は売上9094億円、営業利益2919億円、EBITDA4496億円。2025年3月期第2四半期連結決算概要 年間では売上2兆円、営業利益6000億円、EBITDA1兆円も夢ではない。これは、国内では、ソニーやルネサスを超えて、トップの規模になる。
IPOの憶測記事もある。12月~6月のタイミングで手続き短縮方式をとるようだ。JPXのサイトやキオクシアのHPには記載はない。キオクシア、25年6月までに上場 初の手続き短縮方式 - 日本経済新聞
AI若林教授を開発してもらい、自身とゼミで使っている。基本は生成AIであり、自分の著書著作など10万字以上をデータとして食べさせて、できたものである。
まず、若林の意見がマスコミなども含め普及している場合は、一般のチャットGPTとそれほど変わらないが専門的なアウトプットが出てくる。経営重心などそれほどではない場合は一般なチャットGPTとは大いに差別化できる。また、日立や東芝、半導体の話題は、良いアウトプットだが、鉄鋼メーカー等、若林の専門外のことを聞いても、チャットGPTなどと同様の回答しか出てこないのは想定通りだ。
内外で、庶民の暮らしの厳しさが予想以上であり、そこに地域間や世代間格差がある。日本では、会社では、年功序列からジョブ型、少子高齢化で年金不安がある中で、本来は最も活躍すべき、35歳から55歳、ミドルマネージャーたちが厳しい現実に直面し、ヤル気を阻害されている。
世代別に生きてきた期間のGDP成長率と失業率が異なり、それが自身の無意識の価値観になっているだろう。高度成長期なら明るく成長志向になるだろうし、低成長ばかりなら成長志向は難しい。今、元気なのは70歳以上が多いのも、そういう背景もあろう。
既に報じられたように、接戦という日米マスコミの殆どの予想と異なり、大統領選挙は、トランプ圧勝だった。日本にとっては困難も予想され、外交政策では、対中対ロ政策が変る上、特に、台湾有事対応が懸念、通商政策では中国関税強化であり、米製造業回帰で、日本の半導体政策の練り直しも必要だ。ただ、が、これが米国民の選択であり、それほど、米大衆は経済的に厳しい、ということだろう。
日本のマスコミは、米マスコミのコピペであり、更に基本的に、「インテリ意識高い系」であるため、マスコミは、トランプが嫌いであるというバイアスがあり、期待と客観的な予想が、混乱している。多くのマスコミが全く予想を外した背景は、マスコミの劣化がある。アンケートという手法が、改めて問題であり、動画やSNSをあげ、そこからデータ分析を駆使する最近の選挙戦略を理解していないことも大きい。むしろ、「賭けサイト」の方が正しかった。
自民党大敗の後は、米大統領選挙である。もしトラならば、色々な前提が変るだろう。まず、台湾だが、有事の際に米がどう出るか不明である。これまでであれば、TSMCの重要性も含め、米は台湾守る姿勢だが、これまではトランプ氏は台湾やTSMCにネガティブな発言が多い。台湾どころか、日本の周辺も不明であり、有事の際に日本の台湾対応もどうなるだろうか。
また、通商政策では、当然ながら、アリゾナへの誘致促進も含め、一層、台湾企業の米国進出に圧力をかけるだろう。また、中国にも関税をかけ、脱中国の動きは増えるものの、日本に来るかどうかは不明であり、日本にも圧力をかけるだろう。鉄鋼や自動車などが中心だろうが、半導体政策に対してもあるかもしれない。
インテルの2024年7~9月期の決算は最終赤字2.5兆円だった。過剰投資の製造設備の減損31億ドル、モービルアイの暖簾償却、繰延税金資産取崩99億ドル、従業員15%の1.5万人の28億ドルのリストラ費用で赤字が膨らんだ。ファウンドリ部門は赤字が3倍に膨らみ、58億ドルと厳しい。株価は構造改革一服と見て反発した。インテルの7〜9月決算、過去最大の2.5兆円赤字 巨額減損響く - 日本経済新聞
インテルはダウ平均構成銘柄から外され、代りにNVIDIAが採用された。インテルは99年から25年ダウ構成銘柄だったが感慨深い。ダウ平均、NVIDIAを構成銘柄に採用 Intelは除外 - 日本経済新聞
80年代の見事なDRAMからCPUへの転換、90年代にはPC向けにMSとWINTEL連合で黄金期を築いた。インテルの素晴らしい点は、CPUやフラッシュメモリ等の技術開発だけでなく、ユニークなビジネスモデルを開発したことである。
自民党の大敗で、半導体政策がどうなるか心配の声が多い。この10年、安定政権の中で、2020年前後から半導体政策は強化され、5兆円近い資金、法改正、TSMC誘致、ラピダス、その他、多くのNEDOプロジェクト、大学高専など教育研究支援、政治家や官僚、業界関係者の努力で、ここまできた。しかし、政治混乱なら、長い氷河期、あるいは逆風が吹くのか。長期で成果が出る半導体等のイノベーション政策は継続性、一貫性が不可欠であり、政権交代で右往左往し、ふらつくようでは、過去の資金も無駄になる。
残念ながら、落選となった甘利明先生は、政権が変っても継続しイノベーションが推進される自動装置、エコシステムが重要だと何度も説かれ、そのイノベーション自動生成装置(産官学金のエコシステム)を作れば仮に自民が負けてもいいのだと、数ヶ月前、ご一緒した講演パネル討論会で言及された
総選挙は自民党の惨敗だった。理由はマスコミが報じている通りだろう。株価は、マスコミが、直後に月曜日は大暴落と報じていたのと逆に上昇、円安となった。おそらく、総裁選で株式市場が期待していた高市氏ではなく、石破氏だった時点での大暴落で織り込んでいたのかもしれないし、一部、報道があったように、玉木氏が率いる国民民主の躍進がポジティブだったのかもしれない。
今年も研究イノベーション学会が26~27日に開催され、若ゼミは27日に早朝から参加した。研究イノベーション学会は、以前の名称は、研究技術計画学会といい1985年に創設された。野村総研で、研究所の研究をしており、当時、日立の中研所長だった武田さんや住友電工の中原さん等にお会いする中で、皆さん、特に、住友電工の村上路一さんに勧められ、86年頃に入会した。最初、数年は分科会にも参加、編集委員会にも属したりしていたが、アナリスト業務が忙しくなり、幽霊会員の如きだった。ただ、幸い、学会誌が送られ、勉強はしていた。
大昔から多品種少量生産は大いに語られているが簡単ではない。固定費がある以上、稼働率を上げなくてはならず、少品種大量生産が有利に見える。しかし、需要を超えて、生産すれば、在庫の山で、在庫評価損、そして翌年の工場稼働は落ち稼働損となる。多品種少量生産、さらに変種変量生産は見果てぬ夢だ。
EMSにおける鴻海に対する沖電気の健闘、ファウンドリにおけるTSMCにラピダスの期待を込めて、こうした論点について考察する。
沖電気と日清紡マイクロデバイスが、CFBを使ったアナログチップレットに技術について10月17日に共同で説明会を開催した。CFBは、沖電気独自のCFB®(Crystal Film Bonding)技術であり、鈴木氏が開発、長年、事業化に取り組んできた。これにより、薄膜アナログICの3Dヘテロジニアス集積に応用可能であり、2026年の量産化を目指す。これまでもCFBの応用は多かったが、チップレット時代に花開いた。チップレット技術をローエンドなアナログICの3D集積への適用に際しては、二つの課題があったが、両社の技術により解決された。
日清紡マイクロデバイスとCFB技術による薄膜アナログICの3次元集積に成功|プレスリリース|OKI
アナログICを薄膜化して3次元積層、レガシープロセスで:日清紡マイクロデバイスとOKIが共同開発(1/3 ページ) - EE Times Japan
日経新聞記事によると、日本企業のR&D投資効率が低迷、GDP比のR&D規模は他の先進国と大差ないが、その投資が利益を押し上げる効果を、比較すると、この30年間で他の国より大きく落ち込んでいるようだ。R&D投資効率「失われた30年」 革新生む新興の育成急務 - 日本経済新聞
グラフを見ると、いずれも低下、90年代前半は日本が仏と並んでトップだが、その後、急落、更に、リーマンショックの後で落ち込んでいるようだ。逆に、独仏が90年代後半からしばらく持ち直している。
これから言えることは、日本の場合は、①エレクトロニクスの競争力と連動している、②基礎研究シフトがおきた時期と連動している、③NTTの通研解体と連動している、④日米摩擦の後でもある、等が言える。独仏は、EU統合やユーレカ計画とも関係する。
今年も、CEATECが幕張で開催された。25周年であるが、今年は、東京モーターショーから発展した「Japan Mobility Show Bizweek 2024」も併催された。CEATECは、JEITA主催、Japan Mobility Show Bizweekは自工会主催である。15日が初日で午後から一般参加、18日まで開催。25周年特別企画「AI for All」も用意され、AIを中心とした出展が多い。カンファレンスでは100超のセッション開催。
昼過ぎから16時頃まで各ブースを見学、特にJEITA半導体部会のブースは今年も半導体人生ゲームがある。午前はプレミアムタイムであり、また、隣のJapan Mobility Showへの参加者もあり、また衆議院選挙スタートもあり、政治家や官僚系などVIPの方々は見えず、全体的にやや少なめな印象か。その中では半導体ブースは若者中心に訪問者が多いようだった。
日本の大企業で新規事業が上手くいかない理由には、VBや海外のように「0→1」でなく、「-1→0」があるからだろう。これは、多くの経営者からも賛同を得て、その前提で新規事業戦略という授業をMOTで2023年から開講したが、大変好評だった。新規事業にはリソースがいるが、他部門と新人しかいない。多くの場合、そのトップは成功体験も多いエースでも、他部署からのメンバーは「使えない」「あぶれ者」や過去に新規事業で失敗した人間が多い。その失敗はそれ自身だけでなく、様々経営環境の変化もある。スキルが無いか、スキルがあっても、経営環境等が不幸だった場合などは、恨みや怨念を持つ場合も多い。
九州と台湾が連携して、台湾の新竹サイエンスパークをモデルに、九州半導体パークを再現しようとしているようだ。九州はもともと、70年代から、シリコンアイランドと称され、半導体工場も多く、既に、インフラや産業クラスターが充実している。また、九州と台湾は、面積や形状も近い。
TSMC熊本誘致は大正解だったが、これから更に発展させるとなると、台湾の5欠と同時、用地に加え、水、人、電力(将来、EUVも入れるなら原発も必要)、大学などハイエンド人材もいる。地震のリスクも同じだ。歴史遺産もあり、地勢的に、熊本、福岡、佐賀、長崎は厳しく、大分、宮崎、鹿児島は交通が不便だろう。そもそも、新竹は90年代に大発展したが、毎年、訪問するたびに、様変わりして、ショックを受けた。そこでは、海亀と言われる米留学からの帰国組があり発展を支えた。
ENEOS傘下の非鉄大手JX金属が10月8日、東京証券取引所に上場申請と発表した。ENEOS完全子会社から上場によりHD持ち株比率は50%未満になる見通し。時価総額は7000億円超。JX金属は上場を機に資源・製錬から半導体材料に事業の軸足を移すようだ。上場時期は2025年3〜4月予定、ENEOSにとってはコングロマリット・ディスカウント解消、JX金属は半導体で更なる成長を目指せる。 JX金属が上場申請、時価総額7000億円 東京メトロ上回る - 日本経済新聞 (nikkei.com)
今後、デジタルインフラでは無線技術は極めて重要である。その中で、NTTドコモは基地局を富士通製からノキアなどに変えるそうだ。5Gで先行する海外製を増や、し国産機器優先の従来方針からオープンな調達先開拓に転換し課題の通信品質改善につなげる。2025年度までの2年で計1000億円規模を充てる。NTTドコモ、基地局の国産優先を転換 5G改善へ1000億円 【イブニングスクープ】 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
かつて、富士通はガリヒ素デバイスからシステムまで無線にも強かったが、残念だ。ただ、富士通は、よりシステムやソフトにシフトするそうだ。NECや、日立国際電気、日本無線にも期待したい。
他方、携帯電話などの通信キャリア向けとは異なるが、今後注目すべきは防災無線や業務用無線などもある。そこで注目すべきは、アマチュア無線が祖業のJVCケンウッドである。業績回復が著しいが無線事業の貢献だ。JVCケンウッド、祖業開花で株最高値 次はカーナビ改革 窪田真奈 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
石破総理就任で国内でも一層防衛産業が注目されている。世界では、数年前から、株式市場やファンド、VCからも「防衛テック」として関心があったようだ。
[FT]防衛テック、投資の是非は 革新加速も倫理面に懸念 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
ウクライナや中東での戦争で起こっていることと、過去の戦争との差異は、前線からのフィードバックに応じて急激なイノベーションを進めてVCや裕福な献金者から資金を調達、国全体の戦費を拡大であり、いわば戦争の「民営化」であり、北米と欧州全土で防衛テック投資が急増する背景になっている。
これまでの半導体政策と異なり、今回は、日本は、TSMC熊本誘致、ラピダス千歳建設など社会実装で先行と評価、米はアリゾナで遅れていると言ってきたが、注目すべき点もあり、日本での見方と異なる面もあるようだ。[FT]米半導体戦略に潜む危険 テック各社 湾岸諸国と提携 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
日経FT誌のラナ氏によると、9月上司に試験生産で台湾の工場と同様の歩留まりを実現、また労働者の育成や教育でも大きな貢献があるようだ、等と指摘している
今年度のノーベル賞は、物理学は基礎原理、化学賞は応用、に関するものであり、最近の生成系AIのインパクトにノーベル賞の委員会も影響を受けたようだった。
ノーベル物理学賞に「AIの父」、ヒントン氏とホップフィールド氏 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
生成系AIの黎明期、その基礎には、日本の甘利俊一先生やNHK福島氏の貢献がある。9月30日のブログで、理科大MOT秋入学修了式での石川学長祝辞で「甘利先生の生成系AIの貢献とそれを日本が価値、イノベーションに繋げることができなかったことの悔しさと反省」についての話題を紹介した。もしかしたら、石川学長はノーベル賞のこのことを知っておられたのかもしれない。
【ノーベル賞2024】ディープラーニングの基礎、日本にも 福島邦彦氏や甘利俊一氏らが貢献 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
日経が生成系AIに関連して、世界を変えた7つの論文を紹介している、これはなかなかいい記事だが、ブレークしたのは2012年つい最近のことであり、また、カナダが多いことに改めて驚かされる。確かに、カナダは生成系AIなどICTのメッカであり、欧米人と中国系が入り交じり、独特の文化が醸成されかつ科学技術政策もユニークだ。2012年は、日本はリーマンショックや東日本大震災など厳しい時代であり、アベノミクス前であったことが悔やまれる。もう少し後なら少しはチャンスを活かしていたかもしれない。
この中で、原理や応用は①②④⑤⑥で、③と⑦は経済社会への影響だが、実は③が恐ろしい内容であり、プリファードネットワークの岡野原CTOの著書にも紹介され、以前のブログでも取りあげたが、R&Dのあり方を変えるものだ。他方、⑦は昔から良くある論文で同一子するのは違和感がある。
AIを劇的進化、世界を変えた7つの論文 テクノ新世 もっと人間らしく ルポ編(1) - 日本経済新聞 (nikkei.com)
アカデミアでも企業内でも産業界でも横串や横連携は難しい。それがイノベーションの妨げにもなっている。ここ数年、自分なりに、研究あるいは実践的に試行錯誤しているが、その鍵というか理由は第一に、「固有周期の差異、時間軸のレンジの差異で、これを「テレワークやフレックスタイム制度」が余計複雑にしている。そして、第二に「人事の流動性が低い日本ではクリティカルに効くが二刀流など複数の専門よりも、この道一筋を尊重し深堀する文化」ではないか、と思うようになった。
個人でも組織でも活動サイクルが異なる。メールや連絡、特に会合のアポイントがきた場合、どの位の時間差で返事をするか、その返事の時刻は全く様々である。自身がアポイント系は調整者のことを考えて、ほぼ即答するが、1時間から数時間、数日まである。酷い例は数週間だ。また、朝一で来る場合、夕方来る場合、夜中の場合もある。通勤中、会議中などは即答が難しい。
アップルウオッチの世界シェアは初代から10年たつが、10%まで来たがスイス勢に及ばない。自身も愛用しているが意外と低いと感じた。アップルウオッチの世界シェア1割 迫る中印勢、安さ強み 初代から10年、スイス勢追う - 日本経済新聞 (nikkei.com)
2015年に、経営重心の視点で分析した。時計かウェアラブル端末かで異なり、時計ではないとの考えだった。それが故に、日本のカシオも検討しているとの認識である。
日米欧の中国離れが加速している。EV不振や不動産冷え込みも含め、景気減速による現地ビジネス撤退や、競争力を中国企業に奪われ結果、工場撤退などもある。
米企業であるIBM、GM、マイクロソフト、アップルは、R&D部門が多く、米中摩擦、国家安全保障が背景だろう。IBMが中国R&D閉鎖、1600人超に影響 現地メディア報道 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
米の2023年の対中投資は前年比4割減という。2014年以降の10年で5割減という。知財リスクや従業員のリスクもある。IBMやGMが中国事業縮小 アメリカの対中投資、前年比4割減 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
経営学や経済学は検証が大好きだ。F検定やt検定から、一時はp値が大流行、今は因果推論が流行している。その中で、政策をきちんと評価検定しようということで、EBPMが注目されている。半導体政策でも、EBPMでTSMC誘致効果を検証されている。欧米では、1960年代まで遡るが、本格化はオバマ政権2016年という。米国におけるEvidence-based Policymaking(EBPM)の動向 (rieti.go.jp)
日本においては、EBPMという用語を用いたのは、2017年だという。それまでの政策評価(正当化)は、有識者会議などが中心であった。第1章 我が国におけるEBPM の取組 (ndl.go.jp)
世界の政府債務が91.4兆ドル(1.3京円)と過去最大になったそうだ。IIF(国際金融協会)が発表した。IIFは、四半期毎に世界の国々の家計/企業/政府/金融機関が抱える債務を集計分析、報告書「グローバル債務モニター」として公表している。Institute of International Finance (iif.com)
気候変動に伴う投資資金の多くが政府債務によってまかなわれている現状を踏まえ、世界の政府債務が2030年までに145兆ドル以上、50年までに440兆ドル以上に急増するとの予測も公表した。GDP比300%だが、日本も多い。世界の政府債務、最大の92兆ドル 気候変動で急増懸念 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
かつて、90年代にインターネットが登場、普及した時代、それは自由な空間であり、真実の宝があり、民主的であった。回線は不十分であり、画像も稚拙であり、動画も少なったが、本音や良心もあり、匿名性もあった。しかし、PCからスマホの時代になる中でGAFAも登場、PFモデル、フリーミアムモデルが導入され、多くの弊害が生まれた。メールも含めて、日々、偽メール、ウイルス、個人情報漏洩、監視リスクが気にしないといけない。PWも二重三重になる。検索サイトも商業主義に溢れ、ほぼ広告ばかり重要な情報や欲しい情報は無く、あっても確認に時間を要する。
その中で、政治的な話や選挙においては、デマも含め様々な動画の応酬合戦となっている。日々色んな情報が送られ、頭や心が麻痺する。精神的なマイナス面も多くなっている。
生成系AIの勢いが止まらない。まさに、イノベーションが進んでいる。そして、DCの在り方も変えつつある。生成系AIを前提としたDCは、これまでのハイパースケーラーと言われたものでも数百MWだったが、数GW級になる。カーボンニュートラルの観点から、再生可能エネルギーを使った地産地消や、電力網と情報通信網の最適化、最適マッチングをしても、なお、容易ではない。世界では、グーグルのCEOは、AI-DC拠点で原発活用検討を表明した。既に、ウランは需要増で原子力ルネサンス以来の高値になっている。DXのAIとGXの原子力が、DCで不可分のものとなりつつある。
かねてから、NEDOプロジェクトにも採用されていたが、後工程の研究ラインが千歳で着工が始まり、具体化する。ラピダス、「後工程」研究ライン着工 電力消費10分の1狙う - 日本経済新聞 (nikkei.com)
セイコーエプソンの液晶ラインを使い、9000㎡クリーンルームを設け、25年4月から装置搬入を始め、26年4月に稼働するため、前工程より早い。
政治が大きく動いている間に、総務省経産省から、デジタルインフラ(DC等)中間取りまとめ3.0が公表された。中間取りまとめ(中間取りまとめ1.0)が2022年1月に公表された。これは「重要性が高まっているデジタルインフラの整備(DC等)に当たり、レジリエンス強化、エネルギー・通信の確保といった立地に係る要件を検討するとともに、経済安全保障の観点から担い手となる企業の健全な育成を図るため」が目的であり、当初から有識者として関与している。座長は慶応教授の村井純先生である。
石破新総理の所信表明演説をTVで視聴した。いつも視聴しているわけではないので単なる感想だが、内外の政治家スピーチは聞いているが、半導体というキーワードは確認でき良かったが今回は色んな政策満載だがストーリー性もなく分かり難い印象だった。
リスクリターンといえば、投資する側の論理あるいは議論であり、投資される側からの議論はこれまであまり無かったように思う。投融資される側は、リターンに相当するのは株主コストや利率であり低い方がよく、リスクは期間や経営への介入度合や関係性だろう。それが近年多くのMBOで特に時間軸での認識差が問題となっている。これをGX債に絡め、今度、研究イノベーション学会で発表する。
もはや、日常業務にも研究にも検索は欠かせない。辞書を使うことは減ってきた。むしろ、このブログも含め過去書いた書類を検索することが有用だ、先日、原稿〆切に終われていた時、長年愛用しているExcite検索がトラブルで使えなくなり、グーグルやウィンドウズの検索を使ったが、全く使い物にならず、困り果てた。以前に、先行研究などが不十分だと指摘したら、ゼミ生などから「なぜ先生はそんなに検索が直ぐに出てくるのか」と聞かれたが、キーワードに加えてExciteらしいと分かり学生にも勧めている。
グーグル等ではどうしても一般的なものが上位に出てくるので、自分の思惑にヒットしない。MS検索などは論外のレベルだ。長年Exciteを使っているせいか、ある程度、PCだか検索エンジンが賢くなっているのかもしれない。生成系AIを使ったが、チャットGPTはまだいいが、Copilotは使い物にならないレベルで気の利いたキーワードを入れた検索の方がマシだ。チャットGPTも含め一番困ったことは平気で「ウソをつき」(ハルシネーション)、簡単な計算間違いをすることである。結局、自分で検算をしないといけない。更に。生成系AIは答えの範囲が狭く、Excite検索で出てくる意外な関連付けが出てこない。Exciteで検索しながら、自分で自問自答して知識が広がるが、生成系AIは全くダメである。
日経新聞によれば、「オープンAIがチャットGPTに新音声機能アドバンスト・ボイス・モードを加え、最大の違いは応答の速さで、3〜5秒かかっていた人の呼びかけへの反応時間を平均0.3秒に縮め、不自然な間がなくなり、AIとのやりとりに人間味が増した。GPT-4oを基盤として動き、音声を文字に変換せず、音声のまま処理する。声のトーンや話す速さもデータとして取り込み分析、利用者の感情に合わせて返答内容を変えられる」らしい。ChatGPT、会話の「間」0.3秒に 人間味増し悪用リスクも - 日本経済新聞 (nikkei.com)
いま、研究費を使って「AI若林教授」を開発してもらっているが、要は。私が書いた色々な文章をデータベースとする検索エンジンだ。