2023年1~3月 こちら

個性独自性先進性を殺すMBAと経営学

 MOTの教員として、相手は平均年齢43歳のオッサンが多いが、それでも2年間のうちに成長してくれる社会人学生も多く、本人も俯瞰力や深く考える力がついたとか自覚し、企業側からも、そういう指摘があると、嬉しく、教員冥利につきる。特に、ゼミ指導では、お互い人間力のぶつかり合いであり、こちらも勉強しなくてはいけないが、ボケ防止にも最適だ。

 

 ゼミの場合は、企業派遣が多くなるが、一般でも優秀な方は多く、1年次で、授業やレポートを通し、ゼミに来てほしいという学生も多い。若ゼミは、どうしても人気が多いこともあり、教える学生数に限界もあり、積極的に誘わない。そのため、優秀で来てほしい学生が、一般でも企業派遣でも他のゼミに行く場合もある。それが、立派に成長し、素晴らしいグラデュエーションペーパーを完成すれば、良かったと思うが、成長どころか、おかしくなり、ペーパーも不十分である場合は、残念この上ない。

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Rapidusの就職就社リスク

意外がどうか分からないが、日本も捨てたものでないと感心したが、Rapidusに転職しようという若者(といっても、30代社会人学生)が複数いる。技術者として、新しい挑戦、日本の半導体復活にかけたいという志から来ているようで、素晴らしいことだ。

 そこで、彼らの、というより、先輩や同僚、家族からの心配や懸念は、世間やマスコミ等の「どうせ、ダメだろう、エルピーダのように倒産する、リストラされる」論調であり、それが現実にリスクであろう。心配や躊躇は当然だ。

 

 しかし、現実は、エルピーダは倒産したが、技術者は、ほぼリストラもなく、マイクロンに移って活躍している。他方で、業績好調のGAFAでも、社員の10%がリストラされる。会社は倒産しても、腕に覚えがある優秀な技術者は生きる道、活躍する道はいくらでもある。日本では、就職でなく、就社だから、倒産リスクを恐れるが、就職なら、半導体技術者が無くなることは無い。

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日本の問題4R+FG

アカデミアだけでなく、企業、産業、役所、全て、日本の共通問題が、スピードの遅さ、換言すれば、ラピッドでない、そして、リスクテイク度合(リスクを取らない、リスクということの認識がない)、縦割りサイロ構造、グローバル性の欠如にあることは、多くの心ある型の共通認識だろう。しかも、これらは相互に関係し合っているだろう。グローバルは、もちろん国際性や英語ということではあるが、もっと言えば、多様性と標準との認識もあるだろう。

 

さらに、昔から指摘されている、言語や文化も含めた、曖昧(Fuzzyetc)もある。その根底は、縦割りサイロに閉じこもるという相互不可侵性の心理から来ているかもしれないし、リスペクトが無いというのは、もっといえば、他者への関心の無さでもある。それが、コミュニケーションの遅さ、フィードバックループの遅さ、になり、スピード感にも繋がる。また、他者へのリスペクトの無さは、関心の無さは、横比較や評価を嫌う、曖昧にしておく、差をつけるのは、上下関係だけということにもなり、それがオリジナリティを考えない、オリジナリティに鈍感、目利き力の無さにも関係するのではないか。

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日立のR&Dと知財の戦略説明会(2022年12月5日開催)

去る2022125日、日立の研究開発戦略および知財戦略のマスコミ&投資家アナリスト向け説明会が、ハイブリッドで開催され、HPで公開のYouTubeを視聴した。鈴木CTO、グローバルロジック社のシングCTO、日立エナジー(買収したABB)のゼルゲCTO、知財はスティーブンCIPO併せて、1時間弱スピーチ、多様性豊富であり、資料の雰囲気も含め、印象もかなり変わった。現在、日立はCEOCTO出身の小島氏であり、これからはR&D強化宣言という中で、やり易いのか、やり難いのか、想像してしまう。知財も、これまでは日本人の知財屋という感じだが、これもイメチェンだ。質疑が1時間弱だが、質疑はアナリスト、マスコミ併せて数名でそれほど多くなく、やや散漫な印象。

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NEDOプロジェクトの可能性と課題~脱デマケとステージゲート縦割り

2021年から複数のNEDOプロジェクト審査委員を経験させて頂いている。意外といっては、失礼だが、感心したことは、多くの委員の先生、NEDOや経産省のメンバーも含め、真面目に議論し、シビアに審査していることだ。質疑や討論も、かなり活発で、時間切れになる程であり、ダメなものはダメで、落とされることもあり、「ナアナア」ではない。自分のことは棚に上げていると、必ずしも、専門でなく、産業界や実用動向について、見識が無いというよりは、関心がない方もいる。目利き力も、社会実装からの判断が重要だが、そこが問題だ。

もちろん、問題点もある。それは、プロジェクトの分割の仕方とステージゲートではないか。

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半導体政策とRapidusへの批判を分析

年末年始、多くの経営者や半導体産業関係者と懇談も含め、半導体政策やRapidusについて意見交換を行った。また、YouTubeも含め、メディアに出ている様々な論考もチェックした。これらを考察したい。

半導体政策全体に関しては、ごく少数、そもそも、否定的な見方もあるが、概ね好意的である。少なくとも、半導体に関して、政治家や国民の関心が高まったことの意義は大きいとする意見が多い。

TSMC誘致に関しては、そもそも無理だとか、海外企業なのに、等の批判はあったが、今は、現実的に効果も大きく批判はほぼ無く絶賛が多い印象だ。

 これに対し、Rapidusに関しては、厳しく、成功するという意見は小数だ。その背景には、資金が700億円しかない、経産省ではダメ、日の丸連合否定など、そもそも誤解も多く、これは広報の問題だろう。LSTCRapidusの関係ももっと周知が必要だ。人集めやビジネスモデル等は、その通りだが、むしろ。一緒に議論してほしいという意見もある。

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NEDOなど、学内の大学発ベンチャー、更にJUAAの審査委員は、貴重な勉強の場

数年前から、NEDOなど審査委員をさせて頂いている。半導体やエレクトロニクスの技術権威である錚々たるメンバーに交じって、光栄なことだ。自身は、産業や企業動向も含め、実社会に近い視点から俯瞰できる点で貢献しているつもりだ。評価に際しては、質問票を提出、ヒヤリングをして、質問や確認をし、採点に関し、コメントも必要であり、各社の膨大なマル秘資料も含め、予習復習も含め、相当な勉強が必要である。また、質疑や議論も勉強になる。

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若ゼミをネットワーク分析

今年の若ゼミ2年生もグラデュエーションペーパーを無事、仮提出、まもなく、新OBとなる。これで、2017年以来、ゼミ生は総計45名である。そこで、このネットワークを分析してみた。

 

まず、ゼミ生は全員、私に直接繋がっている。当然、全ての中心性が高いのは当然である。また、同期同士、同じ企業同士は相互に繋がっている。加えて、研究テーマやアプローチに関して、引用等から近いと思うものも繋げているとした。

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フェアネスとリスペクトとリーダーシップ

グラデュエーションペーパーも含め、論文には、必ず、本でも、章立てで、「先行研究」、「参考文献」、「謝辞」が、必ずある。これは、先人やお世話になった方のクレジットを認め、感謝を形にするもので、研究者としてだけでなく、人間として当然のことだ。音楽会では、指揮者が必ず、演奏者を紹介し、スポンサーに謝意を示すし、映画でも、全ての貢献者が表示される。これは、リーダーシップでもあり、貢献者や参加者を紹介し、リスペクトし、謝意を示してこそ、やる気も出るし、エコシステムが広がる。

それゆえ、自身も、授業の中で、過去のゼミ生や他の教員の成果について謝意を込めて紹介するし、MOTVIPや大学幹部が見学に来た場合は、必ず、仲間の教員や事務メンバーを紹介し、彼らの縁の下の貢献に言及する。言わないとわからないし認識もできない。

これは、換言すれば、フェアネスとも言えるだろう。その発展形としては、場に対し、エコシステムの中で、ただ乗りではなく、GIVE&TAKE、あるいは、何が貢献できるかを自覚しなければならない。これは、大学でもゼミでも、評価には、授業への貢献、というのが必ずあるが、これが重要である。また、授業でも、水面下で、準備や後処理などが多い。

ビジネスでも、政策でも、アカデミックでも、今年、日本人にとって、重要なキーワードは、「フェアネス」ではないかと思う。グローバリゼーションは止まらない 連載「Next World: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 CHIP WAR」での日米半導体摩擦に関する記述で、はっと気が付かされたのが、「フェアネス」であり、それで長年のモヤモヤが腑に落ちたのである。

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Rapidusは、TSMC等と補完する

Rapidusの注目度が高い。電子デバイス新聞では、2022年度ニュースランキングで、Rapidus誕生が1。熊本TSMC誘致は6位。2位が米CHIPS法、3位が対中規制、4位が半導体市況下降だった。また、年末の日経新聞社長100人アンケート調査では、半導体国産化について社長の8割が支持だった。半導体の国産化「支持」8割 社長100人アンケート: 日本経済新聞 (nikkei.com)

さらに、日経の村山氏が、Rapidus会長の東さんについて、経緯にふれ、73歳のアントレプレナーで取り上げられている。ただ、東さんは、大きく貢献はされているが、中立的位置づけなので、アントレプレナーなら小池さんであろう。半導体再起へバトンつなげ 73歳のアントレプレナー: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 TSMC誘致も当初は、「ありえない、来るわけない」から、「外資系に国費を使うのか」「経済効果は見込まれず無駄」など、マスコミでも、批判が多かったが、決定し、動きだし、九州が活気づくと、2兆円効果から4兆円まで、空気は一変した。

Rapidusは、それ以上に、ボロクソだったが、国やRapidusの東/小池コンビの人徳もあり雰囲気は変わりつつある。ただ、厳しい意見も多く、TSMCやサムスンからの誤解を恐れる業界関係者も多い。マスコミは日の丸復活、TSMCに勝つか、という勇ましい論調になりがちだが、経産省、Rapidus関係者も含め、真逆の認識であり、懸念しているが、全く同感である。

 実際、RapidusTSMC等と全く競合しない。ビジネスモデルも大きく異なるだろう。もちろん、TSMCを技術や戦略ではお手本にすべきだが、TSMCは水平分業の中、B2Cの端末市場中心、本来、米も中国も含め世界の大量かつ標準の市場だ。これに対し、Rapidusは、中量生産のインフラ市場であり、GAFAMのカスタマイズされたチップのファウンドリ向けだろう。

そこは、R&D段階から各社各社と同時に独自のVC(バリューチェーン)SC(サプライチェーン)を築く必要がある。カスタマイズという意味では、パッケージも含め完全に標準ではないだろう。

 

CHIP WAR」でも指摘されたが、米にとって、中国は最大の市場だが最大のライバルゆえ、また、微細化困難から、「CHIP Faster」戦略が難しく、これまで、インテル中心に、半導体で常識の「先行して量産」というビジネスモデルから脱する必要がある。また、そこに、Rapidusの機会と存在意義がある。日本は米や台湾とも連携して、補完し合うし、エコシステムを築く必要があるといえる。そして、その鍵の一つが、日本版NTSCLSTCの存在と活用だろう。

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水平分業国家である台湾を水平分業で考察

習近平政権の中国が、2025年±2年で侵攻するという地政学リスクに直面する台湾という「国」について考察してみる。90年代前半に半導体やディスプレイのリサーチやコンサルで、台湾を訪問して以来、この国の魅力には取りつかれている。人や文化も含め、最も大好きな場所だ。Acerからはじまり、TSMCUMCはもちろん、AUO、鴻海、PSC等々、アナリスト時代、ヘッジファンド時代、毎年、毎月近く訪問し、多様でユニークなビジネスモデルを持つ企業をリサーチするのが楽しみだった。国としての、大きなイノベーションは、水平分業であり、世界のサプライチェーンやビジネスモデルをも変貌させた。このイノベーティブな国は、日本と米国そして中国の良いところ取りをしており、国とは、産業政策、エコシステム、ビジネスモデルをとは等の思考の機会を与えてくれる。

 この国の本質と地政学リスクを考えるため、台湾得意の水平分業思考で分析を試みる。国は、もちろん、地理的条件の上で、他国との関係や気候条件で、国土や人々が影響を受け、そこに歴史や文化さらには、産業が形成される。これは、本来は、垂直統合であり、切っても切れないものだ。そこを敢えて、レイヤに分けて、関係諸国は何が欲しいのか考察した。

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ものづくり太郎氏と対談

今や、有名人になりつつあるが、製造業YouTuberトップ、フォロワー20万の、ものづくり太郎氏にMOTに来てもらい対談した。彼の存在は、半年ほど前に認識、特に、元ミスミのトップ営業でもあることから、機械には、相当詳しいが、どんどん、半導体も含め、分野を広げている。サングラスをかけ、ちょっと、ふざけたような印象があるが、内容は極めて真面目であり、本人も真面目で厳しく素晴らしい方であることは解った。それゆえ、会って、MOTにも来てもらいたいと考えていたところ、SEMIパーティーで会い、その場で御願いし、実現した。もちろん、ものづくり太郎は、ニックネームであり、製造業盛り上げ隊という会社の社長である。彼が素晴らしいのは下記である。

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年末年始の読書

年末年始というより、10月末から年始になるが、一般書で、既に紹介したものも含め、読んだものを紹介したい(順不動)。熟読といういうより、斜め読みに近いものもある。これは、既に知っている話は熟読不要、難しい話は、そもそも理解不能(必要があれば、原典や初心者向けを熟読)であり、その間の知識の理解が重要だからだ。実は、これらよりも、社会人学生のグラデュエーションペーパー主査分が8(510万字、100ページ)と副査分が5本、1年生が15本は熟読し査読しており、また、それに関連して、50本以上かなりの数の先行研究となる論文等は読んでいる。買ったが読んでない本も多いが省く。

自分のやり方として、同じジャンルでなければ、複数を同時進行で読む。同じジャンルであれば、連続して読む、としている。

 

やはり、外国人はユニークである。最近のノウハウ本は、斜め読みで、中身がなければ、時間の無駄であり、読まない勇気も必要だ。

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イアンブレーマのユーラシアグループによる今年の10大リスク

 ユーラシアグループが13日に今年の10大リスクを発表した。Eurasia Group | Home

 

10大リスクは、①ならず者ロシア、②習近平の権力最大化、③大量破壊兵器としてのAI、④インフレの衝撃波、⑤追い詰められたイラン、⑥エネルギー危機、⑦阻害される国際開発、⑧米の分断、⑨TikTokブーム(Z世代)、⑩水ストレス、だが、この10に加え、おまけ(赤い鰊)で、ウクライナ支援亀裂、EUの政治機能不全、台湾危機、である。この③と⑨は関係あり、⑩は新な視点だ。Z世代は、かつての団塊の世代と似ていて、本来は一括りにされたくないが、マーケティング戦略上、一括りにされ、利用されている。同時に意外と群れたがる。その意味で、ネットワークが鍵になる。

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人生方程式の初期条件

 高校時代かに微分方程式か漸化式か忘れたが、初期条件で特別解、その式やグラフの形が大きく変わることに、衝撃と感動を覚えたことを、いまだに覚えている。これは、まさに人生も、同様ではないか。

 

 多くの才能ある知人友人も、人生の初期、20歳まで、まさに、方程式が成り立つまででの生い立ち、恩師や友人との出会いといった初期条件で大きく変わるのではないか。

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何故、仕事を急ぐのか

年末、入院をして、多くの方に心配をかけた。もう若くはないのだし、それほど、もう仕事をする必要はなく、年齢相応に、ゆっくりすれば、いいとのお言葉もありがたく頂いた。自分には、いわゆる趣味というものがあるわけでもなく、むしろ、好きな本を読み、自分なりに研究して、妄想を膨らませ、論考し、あちこちに書き、意見交換、議論することが、何よりのストレス発散であり、「趣味」である。

 

 そして、半導体や電機に関しては、本当に、最後で最大のチャンスが来ており、これは自分も多少は貢献でき、自分にとっても最後で最大のチャンスであるからだ。その好機が来ているのに、あとで、もう少し頑張ればよかった、などと、悔いを残したくないのである。

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ネットワーク科学の関連図書

MOTで、30歳から50歳代の社会人学生に、ネットワーク科学のイントロを紹介したが、その関係で、年末年始に、以前、読みかけだった「ネットワーク科学」を読了した。もちろん、難解な数式もあり、全て理解しているわけではないが、最後まで目は遠した。

 

ネットワーク科学で読むべき本、読んだ本は下記であるが、授業でも使ったPythonで学ぶネットワーク分析がコンパクトにまとまっている。「複雑系ネットワーク理論から応用まで」は、バラバシの「ネットワーク科学」と同様に、ネットワーク科学の基礎から応用まで扱っているが、高価だが、具体例やビジュアルな図表、厳密で丁寧な数式導出、さらに演習まであり、その価値は十分あるだろう。さすが、海外の教科書は違う。ダンカンワッツの「スモールワールドネットワーク」は読み物的な面もあり、学者の戦いもあり、面白いが、読了に時間はかかる。

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高校数学の行列とネットワーク科学ブーム離陸~数学教育の失われた10年

MOTで、30歳から50歳代の社会人学生に、ネットワーク科学のイントロを紹介、簡単なPythonプログラミングとエクセルでの実践的演習を行ったが、技術者も含め、多くがネットワーク科学を学んだことが無く、Pythonプログラミングも未経験であることに驚いた。部下が行っており、認識はしているが、手触り感が無いわけだ。

これは、ネットワーク科学の離陸が2005年頃であり、2010年頃までは、理系の大学でもカリキュラムに入ってなかっただろうことが背景にありそうだ。それゆえ、30歳以上は、会社に入ってから、であり、専門でなければ、勉強する機会が無かっただろう。理系のこうした基礎は20代でないと大変ではあろう。

他方、衝撃を受けたのは、ビジョナリー妄想の授業で、ゲストスピーカーの東大の伊東先生から、高校数学で、2012年から2020年まで行列を教えていなかったということだ。これは、認識不足を恥じるが、確かに、当時、話題になったことは思い出したし、心ある方からは、指摘されていた。

行列すら教えない高校数学に日本の技術軽視の一端を見た(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH (nikkei.com)

ネットワーク科学と「行列」は極めて密接で、AIDXには不可欠である。しかし、日本では、世界で、自然科学(電子、情報、材料、など広い)だけでなく、人文社会にも、ネットワーク科学が普及する2010年頃に、また、この時期は、これを応用したグーグル検索も広がり、GAFAMが巨大化しているタイミングである。その重要な時期に、AIの基盤となり、GAFAMの経営戦略を理解する上でも重要な、ネットワーク科学の基礎である、行列を高校数学のカリキュラムから外したのである。2020年に高校生だった人間、すなわち20歳は、ネットワーク科学に馴染むだろうが、それ以上の人間は、大学で大変だろう。

 

つまり、2010年頃前後、ギリギリ高校生で行列を学び、かつ大学でネットワーク科学を少しでも齧った人間以外は、日本では、今の20歳前後が育つまでは、殆ど、ネットワーク科学の教養をもった人材はいないということになるというのは大げさだろうか。

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2023年展望~機の年、機会と危機、そして転機

 ロシアのウクライナ戦争も終わらず、コロナも再拡大、新年早々、北朝鮮はミサイル発射だ。かつて、withコロナを新常態と言ったが、加えて、戦争も新常態、さらにモノ不足も新常態となりつつある。昨年は、列島改造論、沖縄返還、日中国交正常化が50年、そこもヒントかと思ったが、それを超え、「戦前」が未来を予想するヒントになりつつある。過去に学んでも仕方ないと言う人もいる。もちろん、未来志向は必須であり、SF的な妄想力も必要だ。しかし、人間が人間である限り、歴史に学ぶことは重要だ。

さて、2023年は、日本の産業にとって「機会」と「危機」の両方に直面する転機、分水嶺の年となる。ピンチをチャンスとするか、巡ってきた最後で最大ともいうべきチャンスを捉え生かせるか、それは同時に、日本が二流国から三流国に転落するかどうかも決めるだろう。

 

2022年は、2021年頃より提言してきた、ファーウェイ対抗の米と連携した半官半民の研究プラットフォーマ、交通網ではなく、情報通信網で日本列島をデジタルで改造するといった「デジタル列島進化論」の具体的な政策が政府でも動き出した。政府はデータセンター投資を進め、半導体では、LSTCRapidusを設立したが、まさに米と連携した半官半民の研究開発プラットフォーマである。

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