2015年4月22日 富士通会津若松工場産のレタス

昨年のCEATECで展示していた半導体工場を活用した野菜事業だが、富士通が4月から、会津若松Akisaiやさい工場の出荷を開始、楽天で販売開始というので注文し、今日届いたので、早速食べてみた。

まず改めて、驚いたのが、洗わないで、そのまま食べられること。きれいな透明な個包装となっていて鮮度が保たれ、冷蔵庫に入れておけば、そのまま取り出せて、便利で清潔だ。何もかけずに食べるとジューシーさ、とパリパリシャキシャキ感がいい。いろいろ試したが、そのままもいいが、岩塩などが美味しかった。ちょっとだけ味見のつもりがLサイズの一袋を食べてしまった。

特徴を改めて記すと、①苦みやえぐみを抑えてシャキシャキ感があって美味しい、②とても清潔なクリーンルームで栽培されて農薬も使っていないので、洗わないでそのまま食べられる、もちろん放射能もPM2.5も無縁だ、③付着している細菌が露地栽培に比べ格段に少ないので冷蔵庫で2週間は鮮度を保持できる、④カリウムが1/5以下、で健康にいい、である。

このうち、①と②は、その通りで、実感した。また、③は試してみたい。そして、④は腎臓病の方に朗報だろう。私事だが亡き父も糖尿病から腎臓病となり野菜を食べたくでも食べられず大変だっただけに余計にそう思う。

きれいな袋ごとに入っているので、洗わなくていいので、例えば、ピクニックや弁当に入れても、いいだろう。

会津若松工場は、かつて富士通の半導体の主力工場であり、クリーンルームに見学させて頂いたことがある、最先端の製造装置がびっしり並びウェハーが自動的に搬送される自動化された工場で、埃やゴミをなくし、歩留まりを少しでもあげるため、働く人間は、白衣を着て、エアシャワーを浴び、厳密な管理下で、温度、湿度、空気の流れ、などを制御していたことが思い出される。このレタスが作られたのは、私が見学した8インチ工場だったか、他の6インチ工場だったか解らないが、リストラの後で、蘇り、私の家までつながったのは感慨無量である。懐かしいような、故郷で旧友にあったような、旧友から久しぶりに便りを貰ったような不思議な感覚である。

そもそも、かつて、景気の天候によって、歩留まりが大変であったり、作りすぎても、豊作貧乏になったりするので、半導体は農業だといわれ、また、半導体は産業のコメだといわれた時代があった。また、半導体工場の品質管理やクリーンルームでの徹底的なゴミや埃の排除、多くのセンサーを使った温度や空調、風量などの管理、技術屋や作業者のモノ作りの想いは、農業と同様である。ゆえに、「老朽」化して半導体を生産しなくなった工場のクリーンルームあるいは、技術者や作業者等のノウハウは、農業に生きるはずだと、考えていた(拙著「日本の電機産業に未来はあるのか」(2009年 洋泉社)。それが、ようやく多くの関係者の努力を経て現実となってきた。さらに、それがビッグデータやクラウドとも絡めて、一層大きく発展してきている。もちろん、風水害にも強く、カラスやイノシシやサルが来ることもない。成分や品質もコントロールできるし、洗わないメリットは、椎茸や松茸では大きいだろう。病院と提携して、患者に最適なカリウム量や、その他の成分をコントロールもできる。また、お客によって、苦味や渋みなどを変えて、カスタムメイドな味や食感も可能かもしれない。ビッグデータとのシナジーも大きい。

とはいえ、採算や富士通への貢献はまだまだだろうが、かつて屋台骨を背負ってきた半導体が、この春に、ソシオネクスト始動、レタスも出荷開始、と新たな展開を見せてきた。

もともと、富士通に限らず、日本の半導体工場は、水が綺麗で、空気も綺麗、人間の気質も真面目である地域に多いが、これは農業にも向いている。他社では、ロームのイチゴが美味しいと、効いたことがあるが、富士通でも他社でもどんどん使わなくなったクリーンルームを、ぜひ、他の野菜や果物などにも展開し、ノウハウを共有していってほしい。また、CEATECでの試食会、生まれ変わったクリーンルームの見学会、白い壁面の工場もカラフルにすればいい。ドイツがインダストリ4.0なら、日本は、半導体技術で農業5.0!?だ。