2015年5月14日 シャープ~繰り返されるデジャブ

説明会は消化不良

予想されたようにほぼ満員、出席者は、高橋社長、大西CFOに代わり榊原氏、IR担当。1745分から19時で説明が50分弱で、業績と中期計画の説明が中心で、人事体制変化や、60ページに及ぶ新株発行については希薄化を避けると一言触れられたのみ。盛りだくさんにも関わらず、質疑は20分強弱しかなく、5-6人でのべ10問強であり、大半が、これまでもリストラしたといいながら、下方修正を繰り返したのに、今期や中計で、急激な回復を見ていることに対する疑念、新株発行のスキームの要点、数字の中身の確認など、であるが、私も含めて、当てられなかった多くのアナリストに不満が残り、かつ消化不足だった。

説明会の中身と報道された内容の差異

業績については2014年度の数字はその中身は別にすると、報道通りの営業赤字、当期損失2200億円であった。今期は営業利益は800億円としながらも、報道された1000億円の赤字ではなく、未公表とされた。また2017年度の目標は、報道では15001800億円と23転していたが1200億円であった。

以下、報道などと整理すると、以下である。かなり当たり外れが多く、単なるリークだった可能性が高く、これまでの全報道は一旦、白紙で考えたほうがいいだろう。

業績財務関係

2014年度2200億円赤字⇒報道通り2223億円

2015年度1000億円赤字⇒未定:現在リストラが不明なため。

2017年度営業利益目標15001800億円⇒1200億円:これはこんなレベルだろう。

財務基盤強化

メインバンク2行が出資DES2000億円、JIS出資⇒実質その通り

なお、希薄化は最大139%だが、上場基準の300%には抵触しない

資本金15億⇒5億円:これも報道通りだが、財務テクニックが小手先であり、歴史ある上場企業の品位を疑う。スマートな商品を開発してきたシャープの技術も、この程度のテクニックなのかと思われてしまう。

人事関係

トップ交代等など報道も、いろいろ錯綜していたが、高橋氏の続投は予定通り。大西氏は役員は外れ執行のみとなり副社長で液晶構造改革担当。通信の長谷川氏が代取就任は同部門が好調であり社長の最右翼ということか。期待された他社からの就任は無かった。液晶関係は責任を取る形か、水嶋氏は代取なく会長で執行から外れる。経産省OBの半田氏の役員就任、執行常務となるのは経産省の支援の表明か。また当然ながらJISから2名役員。社外や監査役も含めだが18名は多い印象。

執行役では、高橋、大西体制は継続、これをメインバンク2行からのW橋本氏が経営管理本部長、経営企画本部長が支え、その下にカンパニー制に備え、5つの事業本部がある。

撤退閉鎖関係

海外TV撤退⇒欧米等検討

汎用ソーラ撤退⇒縮小するかも、とのコメント

福山、三原、栃木等工場閉鎖⇒なし?デバイス部門もなし

液晶分社化⇒不明だが2017年度までは考えていない(液晶がないと利益達成無理)、他から資本をいれることも考えず。

組織も4カンパニー制という説があったが、5カンパニーだった。

人員リストラ5000人⇒3500人 1000億円の可能性と見ていたが350億円

減損や在庫損

堺のソーラー関連 93億円:まだ50億円くらい必要か

ポリシリコン契約損587億円:約500億円と推定していた。今後毎年100億円損

液晶工場(亀山、三重)777億円:三重が多い模様で亀山も亀1の可能性、あと500億円?

液晶在庫 295億円:しかし3月末はこの処理後でも1500億円に増加(適性1000億円)

米国など子会社設備、海外液晶TVリストラ32億円

福山三原工場 66億円

全体として印象は、亀1の減損、多い液晶在庫、あと人員や工場閉鎖、海外在庫などで500から1000億円の可能性はあろう。それ以外は、かなりやった印象もある。

印象

説明会の印象は悪い。実績についても業績が外れたと言いより、リストラのためにコストを落としたという認識があるようでその説明資料も逆効果だった。また、そもそも過去から、基本的に、営業利益という概念の認識にズレがある。今回が初めてのリストラならまだしも、2012年以降リストラをしているのに特損だという意識がある。もし、今回を特損というのなら、2012年のリストラは何だったのだろうか、ということになるし、2012年の特損だとするなら、今回は営業コストであろう。

そういう認識ゆえに、この数年間は、無理な営業利益達成のために、余計に、財務も含めて悪化している。

特に今後はIFRSベースにすると、過去、特損で処理した大半は営業コストであろう。また、今後は、経営CFで把握するというが、一度、過去を、IFRSベースで営業FCFを計算して事業損益を精査すべきではないか。それに元づいて、中計を精査し、カンパニーにも、IFRSベースの営業FCFを数値目標として、2015年度、2017年度をみるべきだろう。そうすると本当の実態がわかるだろう。

人事でも刷新感や、絞込みあるいは、実績のある大物の招聘もない。さらに、現時点では、事業の撤退や国内工場など、何も決まっておらず、水面下でも決定したような印象は、せいぜい海外くらいである。

説明会資料には、三つの重点戦略として、「不採算事業からの完全撤退」「アセットライト」とかの言葉があるが、実際には、何も決まっておらず、減損や評価損も、今後絞り込みというよりは、過去の水ぶくれの不良債権を適正化したというだけである。

業績については、以下に述べるように、今期も中期も容易ではない。

過去の総合電機やパナソニック、ソニーのリストラを見ても、皆が、事業売却、工場閉鎖、大幅な人員削減(人員の10%など)を断行して、ようやく浮上している。しかし、シャープにおいては、リストラ費用というのは無理に利益を出そうとして抱えた短期的な在庫増や減損など不良資産であり、本来は営業コストとして認識すべきものであり、中長期に固定費を減らせる構造改革ではない。

分析

決算のやりくりか、液晶部門の暴走か不明だが、パネル在庫が適性とされる1000億円を超える1500億円、全体でも1.46ヶ月である。さらに、たな卸+実態の在庫である未収入金は、前期末の29511420の計4371億円から、33821957億円の計5339億円と、1000億円程度増加している。液晶パネルの300億円ソーラーポリシリコンで600億円のそれぞれ評価損後であり、パネルで500億増だが、TVやその他でも、500億円程度増加している。もし評価減なくば、2000億円もの増加であり、その分、キャッシュが減っているわけであり、この後に及んで異常としか思えない。これでは、ともかく、仮の稼動益で、決算を繕うというこれまでの姿勢が変わらないどころか一層酷い。今日、決算があったエクセル社も在庫は減ってないようであり、9月に向けて、パネルで500億円、セットで500億円の在庫を減らすのは容易ではない。

 液晶工場は、過剰なパネル在庫を落とすために、既に実施しているが稼動を落とし、その中で、変動が激しいとはいえアップル向けが期待できず、独自だが、歩留まりに苦戦したインセルタッチを立ち上げながら、営業利益450億円の達成は容易ではない。減損し固定費が減っているのは事実だが、減損は売上減の可能性があったからである。

まさに、過去数年間、同じような話が繰り返されているが、どのように液晶のスマホ以外の新規顧客を取り込めるかである。が容易ではない。なお、売上げ増要因には、タッチパネル搭載や高精細化の付加価値増はあろうが、限界利益率は下がる可能性もあろう。中期の2017年度でも液晶の営業利益が600億円とされているが、継続的な営業利益を維持するなら、期待はできないだろう。