2015年5月28日 日本電子の説明会

201552810時より決算説明会があった。決算発表は集中日の13日に既に終わっている。ほぼ会議室、満席の参加者の中、社長よりやや早口でエネルギッシュな30分程度の説明があり、質疑は私も含め3名より複数の質問があり、一部の未発表の件以外は明快な回答であった。

 日本電子はNRIでアナリスト駆け出しの90年前後から数年担当して、簡単なレポート位は書いた記憶がある。また、超伝導のレポートを書いた時に、その関連銘柄として取材をした覚えがある。学生時代から、工学部にいたので勿論、社名も製品も知っていたが、企業として分析するのは初めてであった。

当時は単独だが売上500億円前後、営業利益(当時は経常利益を重視していたが)1040億円であり、当時から補正予算や企業の研究開発投資に依存していた。中心は電子顕微鏡と分析機器で80%、現在より少し電顕の依存度が大きかった。輸出は2030%である。なくなはならない会社だが、それほど持続的に成長するイメージはなく、売上が1000億円を超えるとは思わなかった。なお、当時は同業の島津が1500億円強、営業利益150億円程度、浜松ホトニクスは売上250億円、営業利益25億円といったあんばいである。

 NRIで後輩に担当を引き継いだ後は、あまり記憶がなく、20年近いブランクの後、運用会社時代に、何度かIRに来て頂いた。それゆえ、十分な知見もまだないが、20年での変化は、売上規模が1000億円まで到達、半導体関連の比率が上がったこと、IRが良くなっていたことだろうか。

 説明会は、社長からは、業績の説明、よき企業風土の醸成、収益力アップなどを中心とする中期計画「Dynamic Vision」の概要、横串活動、サービス重視、製品や活動成果の具体例が示された。質疑では、主要製品別売上や受注状況などが大半であった。

私は、①サービスは保守メンテが中心だが受託分析やコンサルなどを増やすかどうか、その方策について、②サービスに関連して主要な製品の累積設置台数の確認、③配布された製品パンフレットに定価が記されていたが、値引き率の許容度、④海外現法の管理体制、について質問した。

回答は、①は、そういう方向で数億円の電顕や分析器は変えないが使いたいユーザーがおり、サービス比率30%のうち30%くらいにはしたいということであった。これは東陽テクニカのビジネスモデルの話とも関連する。②は、国内電顕3000台、NMR2000台、海外数万台ということで、買換え10年以上のサイクルだが、社長が即答できることがサービスを重視している証左だと感じた。③は、ものによって違うし、オプション次第だが、予算が限られている大学などは30%程度ということもあり、安いものは値引きが少ないということで常識内の回答であったが、そういう値引き管理を現場にどの位裁量権があるかどうかが関心がある。④は、歴史的な経緯もあり、十分だということだし、顧客が大企業や官公庁や大学なので、問題は発生しにくいが、③の件とも関連して、受注管理などに関心がある。また、セグメント開示では地域別が記載されておらず、社数が多く、フル連結から持分法などもあり、かつ全世界に広がっているため、地域別にも開示してほしい。ただ、全体的に、やや社数が多いようにも感じた。

大きな構造の中では、20年前と不変だが、半導体関連に参入した分、成長もしたが、競争激化も大きく、収益変動も大きくなり、財務基盤の更なる回復が必要であろう。半導体関連では、IMS社との連携が鍵だが、その変動を補う、全体でのサービス強化が重要であろう。また、その中で、経営重心的視点では、10年以上の長期サイクルで桁数が少ない電顕などと、シリコンサイクルの影響もある半導体関連という短期サイクルの事業との親和性、全体のバランスが鍵であろう。また、ニコンとの協業も、顕微鏡だけでなく、産業や医療などでも、期待される。