2015年7月17日 中計と繰税と企業文化、そしてアベノミクスの本当の意味

東芝の不適切会計を巡る問題に関して、「リーマン後の厳しい経済環境下、繰延税金資産(以下、繰税)取崩しがあれば債務超過に直面するので、そのリスクを恐れて、利益嵩上げのプレッシャがあったのではないか」、という説がある。確かに債務超過になるほど業績不振で先行きの課税所得が払えないなら、繰税取崩となるのは事実である。

しかし、重要なのは先行きの業績、課税所得に近いという意味では税前利益である。それが、累積欠損金に届かないなら、その分は取崩となる。正確には、クラス1からクラス5まであり、累積欠損金があるのがクラス4、債務超過状態がクラス5である。クラス4では向こう3年とか5年の累積課税所得と累積欠損金の多寡に応じて、その差額分か全額を、会社側と監査法人が決める。またクラス5では繰税を積むことができず、全額取崩となるのが通常だ。

繰税にも重大な中計

そこで重要となるのが、会社側の中期計画(中計)であり、3年あるいは5年の業績計画から、先行きの課税所得の見通しが判断される。