2015年7月26日 企業文化とは~シリコンバレーと江戸幕府

第三者委員会では東芝の企業風土は酷評された。ここでは、企業風土について、また企業風土と、不祥事について、考察したい。

シリコンバレーと江戸幕府

 まず、企業の文化と風土については、拙著「経営重心」でも触れているが、コングロマリットにおいては、半導体と重電のように、その事業部門によって大きく異なる。まさに、それが経営重心を執筆する端緒であった。半導体部門の方々は、シリコンサイクルに翻弄され、またシリコンバレースピリッツも影響し、臨機応変で自由な社風であり、それは、日立も東芝、あるいは他の電機も同様であった。しかし、重電部門や官公庁を相手にする部門は長期計画主義、堅実であり、同じ会社でこれくらい異なるものか、と驚いた。しかし、当時は、人事評価や予算計画などは全社的行事であり、半導体の方々は計画経済的重電的経営の中で不満も多かったし、また重電の方々から見れば、そもそも歩留まりという概念自体が信じられず、またコロコロ短期で変わる状況、博打的な損益の出方に批判的であった。まさに、シリコンバレーと江戸幕府が一つ屋根の中に同居しており、気質も価値観も異なる水と油の状態であった。