2015年9月8日 東芝決算補足で、WHの不安はある程度解消

東芝の決算補足説明会に参加した。通常は、簡単な売上の内訳等が大まかに示された後、各セグメント別の事業に関して、業界動向など定性的な見方が示されるが、今回はIR側も十分な準備がまだであり、むしろ昨夜の説明会のQ/A確認が多かった。

WHについて

 06年の買収時は東芝の売上は2000億円程度、当時の2015年以降の目標が60007000億円であり、その意味では、現在の6200億円は達成している。ただ、0708年に原子力ルネッサンスと言われた時期には1兆円と言っていたので、そこからは減額ではある。

原子力全体では80%がサービス燃料、20%が新設であり、国内は新設がほぼないこと、国内と海外が1:2であることから、計算すると、東芝国内は2000億円強で全部サービス、WH4000億円強で1000億円が新設、3000億円がサービスということになる。

また、原子力の営業利益は400億円であり、その内訳は不明だが、国内が200億円、海外サービスが200億円で、新設がトントンだろうか。

実態は、昨年から減損テストも内外分けず一体としたが、これは統合後10年近く、シナジーも出、両方の事業も一緒にやっている状況に併せたものだとすると納得がいく。

 債務保証については、借入ではなく、契約条項でありAP2000のプロジェクトを取った場合に米国の商慣行として仕方がないものらしい。かりにWHがプラント完工しない場合に影響するものであるようだ。ただ、一部、銀行のバックがあるものがあり、そこは金利が発生している。また、昨年度から20%増えた分は円安によるもののみ。

 減損テストにおいて、保守的であるという中身は、DCF期間は通常の17年であるが、コストオーバーランを、新設をいれ保守的に見たようだ。

棚卸の中身 

 長期の仕掛が800億円であるが、これ以外にあるかどうかは確認中。また一部、ウラン在庫などがあるかもしれないようだ。

有形固定資産の内訳とライフスタイル

 有報の主要設備をみると、デバイスで3000億円弱、ヘルスケアで100億円強、電力社会インフラ等で1500億円強(WHなど含む)、本社で500億円強は確認でき、合計は5000億円強となる。B/Sの有形固定資産は8000億円強ゆえ、のこり3000億円がある。ただ、ライフスタイルはゼロのようであり、仮にリストラをしても、今期に発生した在庫のみである。人員は海外中心に2.5万人いるが配転も可能であり、国内は技術陣は他で有用だろう。2014年度はライフスタイルはリストラ費用等を除くと実力値として300億円の赤字である。

ガバナンス体制など

 今後の体制などは、刷新委員会や新社外役員で決められ、まだ流動的なようである。監査法人や、これまでのガバナンス体制について、私は問題はあると考えているが、会社側は、「新日本監査法人も多くの企業を対象とする中で、全部、問題があったわけではなく、またガバナンス体制も形は整えていたのに、問題が起こったことは、やはり、東芝の問題であり、厳粛に受け止め改革をしないといけない」との認識であるようだ。また、そういう意味では、やはり3代のトップの責任は重いということだろう。