2015年10月15日 ディスコ桑畑工場見学記

さる1089日の二回に分けて投資家アナリスト向けに会社主催の桑畑工場見学会があり、9日の方に参加した。広島空港で1015分に集合しバスで30分程度、1115分より12時まで説明、12時より工場の食堂にて広島風お好み焼きに舌鼓をうち、13時から14時半まで見学、質疑の後、15時に終了。参加者は、両日とも10名強。

 ディスコは、ほぼ毎年、工場見学会を催しており、この10年間では3回目の参加。工場は、呉と、今回の桑畑にある。以前は、エルピーダの広島工場と併せて参加したり、呉市にある大和ミュージアムや、海上保安大で教授をしている友人に会うのも楽しみであった。今回は桑畑工場のみであり、トンボ帰りだった。

会社側参加者は、関家常務、安部氏、工場説明と案内係の日浦氏、その他、数名とIR担当者など。これまでは色々な配布資料があったが、今回は見学コースの配置の紙一枚のみ。また、内容も投資家アナリストのレベルの低下に合わしているのかもしれないが、200607年が一番充実しており、2012年に比べても初歩的な印象だった。

呉はツール、桑畑はツールと装置の両方

 呉工場は、ツール中心であり、2003年に建ったA棟、2007年のB棟、2012年のC棟があり、桑畑工場は、ツールと装置両方だが、2012年からのAゾーン、2015年からのBゾーンがある。分けて建てられたが、実態は一体化された建物。桑畑工場は、1990年から稼働、免震構造、Aゾーンは5.5万㎡だが、Bゾーンは6万㎡とやや広く投資金額は110億円。有報によると、呉工場は簿価59億円、人員211名と派遣等489名、桑畑工場は簿価231億円、人員467名と派遣等430名、なお、本社R&Dセンターは簿価209億円、人員1239名と派遣等44名。これ以外に長谷工場があり、従来はエアースピンドル等の重要機械部品を製造していたが現在は人員はおらず稼働はしていないようだ。海外には米、独、シンガポールに拠点はあるが、数十人ずつ。

関家常務からの説明要旨とコメント

生産は市況によってアップダウンがあるが、人員は、正規社員は1000名程度、変動は派遣社員数百名で抑えられている。グラフなので見えにくいが、月次出荷金額は数倍まで変動し大きいが、正社員はほぼ一定である。

有報では両工場で正社員合計は700名弱で300名の差があるが本社から来ているのか派遣のカウントで違いがあるか不明。また派遣はグラフでは0から500名程度で、変動しているように見えたが、有報では、合計900名強である。呉はほぼツールなので、有報の正社員211名+派遣489名の700名程度、合計900名の桑畑は、装置とツール両方なので、不明だが、印象では、13くらいだろうか。質疑で明らかになったが、平均年齢は38歳、男女差はないようだ。男女比は、装置では女性が2割、男性8割、ツールでは逆で女性8割、男性2割である。

PIM活動(パフォーマンスイノベーションマネジメント)、構造的費用削減、などに注力。改善件数は7万件など多くの気付きがある。構造的費用削減は計算上、年間20億円以上を達成、2014年度は34億円弱であった。

日浦氏の説明要旨と感想

 従来はA棟だけだったが、隣接してB棟を建て一体化、それぞれAゾーン、Bゾーンとなった。Aゾーンは6.3万㎡、B6.6万㎡程度だが、Aだけの時点に比べ生産能力は1.7倍になった。

 個人WILLという仕組みがあり、いわば京セラのアメーバ方式の個人版であるが、個人毎に、オークション方式で提示された業務(検査、梱包、入庫など)を、落札し、個人単位でP/L管理、仮想的に儲かった分は月次で貯めて、OA機器購入や、ランチ会議など、個人の判断で、経費に利用できる。多少は賞与等に反映。また、PIM活動ではメソッドチェンジ甲子園というのがありチーム交流戦をする。

 チームでのこうしたやり方は、アメーバ方式に代表されるように、かなり浸透しているが、個人単位は例がなく、興味深い。チーム対抗は最近流行のようだ。いずれにせよ、社員のモラルアップになるだろう。

 生産での注力点は、平準化、標準化、自動化である。組立では、標準組立と、高スキルが要求され工数も多い客先仕様組立工程があり、グラフでは、37位に見えたが、これを標準化で半々にする。また標準化すれば、高スキル者を客先組立に回せる。

 配管チューブの切断、マークでは、内作装置の導入により、90%コストダウンに成功、特にチューブはビニールなので印字が難しかったようである。この内作装置の外売りはしていないが、外部顧客から請負で仕事をしており粗利率は高そうだ。

 主要部品の内作かもポイントで、装置のフレームは、これまで外注で、アルミのパイプ母材を切断、穴あけ、組立、搬送、在庫という工程だが、これを内製化、LT短縮、在庫減にも役だった。さらに、これを自動化、75%コストダウン。これは質疑で、2年で達成されたことが確認された。

ツール生産が秘中