2015年10月23日 ハプティックとクルマが成長を牽引する日本電産

電機業界の先陣をきって、2210時より11時半まで、日本電産の決算説明会が催された。通常は1時間だが今回は、永守社長だけでなく、車載事業担当の早舩氏が登壇、通常より長かった。いつも通りサンケイビル4Fで満員。

今回のポイントは、①ハプティックの展開、②決算説明会では久しぶりに早舩氏が登場し、クルマ関連事業の展開と氏のプレゼン力、③中国関連、景気後退の影響やTPP対応、④WDのサンディスク買収や中国紫光との関係についての認識、である。

 業績は、中国景気やPC成長鈍化が懸念されたが、堅調。上期は売上5874億円、OP619億円、NP476億円、年間の計画、売上11500億円、OP1300億円、NP900億円は不変。為替は、実績122/$、年間前提115/$、感応度は1円でOP8億円であり現行の120円とすると40億円の余裕がある。

永守社長のプレゼン要旨

 HDD見通しは、2015年度はTAMNidecも引き下げ。TAM2015年の468mil台から2020年には398mil台だが、ミックスやOpmを上げていく。3.5インチ中心にベースの内製化やサーバー向けではヘリウム充填型を2017年に100%にする。

 HDD以外の小型モータは2020年に120億台となり、ブラシレス化や機器の省エネコードレス化でDC電源化が進み、市場は拡大。

この中で期待されるのが、ハプティック。15年で14億台のスマホ市場(ハイエンド30%)17年に1517億台(ハイエンド50%)の前提で、ハプティックは10億個、50007000億円市場と見ているようだ。スマホでは、アップルだけでなく他社も追随し、クルマでも居眠り運転など多様な市場が離陸する。この半年、調べたが、より自信を深めたので、開発人員を100人、設備投資も120億円を投入する。雰囲気的にはHDDの初期と似ているが複雑さや離陸のスピードが大きい。

 車載や家電商業産業は海外のマネジメントを強化。国内M&A1年で成果が出てきたが海外は3年かかる。Nidec流でやれば、OPM10-15%は十分可能。

過去半年はEV/EBITDA10倍以上と株価がバブルで20-30%割高だったので、大型のM&Aは控え、小さな「詰め物」案件が中心だったが、今は適正になってきたので大型も再び進める。

 中期に向けて、片山CTO直轄による新規事業は、AGV、ソーラーポンプ、スマートファクトリなど2020年に数千億円へ。クルマでは、HDD最盛期の90年代後半に参入、18年で累損1200億円だったが今後5年で解消するが、この新規事業も同様だろう。

 なお、10月に生産技術研究所を設立、素材、工法、ロボなどを先行、203010兆円を可能にするためのモノ作り体制の確立が目的であり、現場の問題を解決する現行の生産技術センターとは異なる。

早舩氏のプレゼン要旨

電動化と自動運転の流れが急速。現在、世界では1兆円超えの会社が30社と群雄割拠だが、2020年には仲間入り。Opm10%。業界では、ZFによるTRW買収や、マグナによるゲトラグ買収などにより、両社はボッシュに次ぐトップ3になった。自動運転に向けたパワートレイン、安全技術の投資が加速して、電装化で市場は二極化。モータ、ECU、センサ、バッテリが、進化・高度化し、グローバル供給力が重要。競合10社の中で優位。電動パワステ用市場は2020年で70m台だがシェア50%ADAS20m台、電動ウォータポンプも34m台、電動オイルポンプも21m台へ成長。特に次世代ブレーキは急に離陸、20-30m台引合いだが10m受注。HDDで培った軽薄短小高効率低振動の強みと、ダイキャスト、シャフト、コア、など内製化力を生かす。これで、コスト低下と品質向上、またOpm3-4%上昇する。

なお、今回の早舩氏のプレゼンは力強く、前回より良くなって実績が窺えた。

質疑での注目点(5名、13問、私は3)