10月23日17時より説明会テレコンに参加、質疑もした。会社側は、嶋本社長と上岡氏など。説明20分弱、質疑40分強であり、私の2問以外に、25問程度で20問位が足元の業績数字や背景確認、あとは中計やビジネスモデルなど。
もちろん、86年より10年間お世話になった会社であり同期も多い。以前はIR担当の役員は知己であった。88年に旧NRIとNCCは合併し、コンサル系は統合、アナリスト・エコノミスト部隊はあまり影響を受けず、より野村証券よりとなり、金融研に移った。このため、アナリスト・エコノミスト部隊はNCCのSI部隊とは縁がないのが殆どだが、私は技術調査部に属していたこともあり、コンサル部隊とは関係が続いた上、統合のための委員会メンバーでもあり、また、組合の執行委員でもあったので、SI系にも知己が多い。さらに、課長研修で新生NRIについて討論会などもあった。
そういう中で、いろいろな意味で、その後の会社の行く末は気になる。また、最近、合併を指揮した当時の役員で元上司にも、合併統合について、理由や狙いなどを聞いたりもしていた。これは、あの形はベストだったかどうか、あるいは、その後のNRIのアナリストエコノミスト部隊の野村証券との統合の是非についても後述する。
それゆえ、他の企業とは同列には論じれないし、知り合いの数は非常に多いが、辞めて15年以上もたち、総合電機と比べれば、もはや情報は質、量共に少ないだろう。
ファンド時代では、日立やNEC、富士通との比較感や、IT投資動向をチェックするためと、投資対象という目線でカバーしていた。説明会には数度、テレコンは、殆ど参加しているので、この10年間のInputは数十回。ただ、個別取材はしていない。
IR体制や開示状況は客観的に、電機業界と比べても優れているだろう、説明会やテレコンにも、ほぼ社長が説明、プレゼン資料も含めポイントをついている。継続性やフェアディスクロージャは評価でき、投資家やアナリストの間での業績動向への安心感もあるようだ。
ただ、SI系ゆえに、テーマ毎のセミナー等を除いては工場見学会や研究開発IRはしようがなく、その辺りが今後どういう工夫ができるかだろうか。
嶋本社長の説明要旨(一部、質疑で判明した点も織り込む)
上期は売上2123億円、OP282億円、NP201億円は計画通り、通期の売上4250億円、OP580億円、NP410億円は不変。上/上でOP増益は前期の不採算案件の反動、NP減益は前期に株売却益や負のノレンによる特別利益計上があったため。
セグメント別では、コンサルと産業ITソリューション(以下産業IT)が減益、金融ITソリューション(以下、金融IT)、IT基盤サービス(以下、IT基盤)が前期の不採算の一巡で増益。野村関係がやや弱く、年間で800億円は難しそうで700~750億円ペースのようだ。他方、セブンアイは堅調。
コスト面では、外注コスト増、ノレン増が数億、50周年記念賞与増15億円など。前期の不採算案件は終息したが、ユーザーとの話し合いで追加コスト15億円を計上した。このため、2QのOpmは9%と前期13%から低下したが、上期では問題なく、こうした一時要因は合計で30億円程度だろう。
受注は2%弱とそれほどでもないが昨年は、だいこう関係の特殊要因があり堅調。中身はコンサル微減、IT基盤減で、金融ITも産業ITも数%。
年間では業種別で、いりくりはあるが、全体は不変。コンサルは堅調で業務改善などが多い。マイナンバー関連は上期50件あったが、通期でも強い。日銀短観のソフト投資にも見られるように、保険も業界再編にからむものが高水準、証券、銀行も堅調。
質疑で、国内の堅調さは分かるが海外、中国や欧州、新興国で、先行指標となるコンサル系で不安はないかと確認すると、十分に注意しているが、一部、中国にはあるが、全体として引合いは強く、北米等は強いようだ。
中期の見通しとして、VISION2022を掲げた。2022年度で、OP1000億円(Opm14%以上)、グローバル事業売上1000億円、ROE14%である。これは、これまでの延長線上ではない事業拡大を考えており、M&Aや新ビジネスモデル等付加価値向上を考えている。やや努力目標的なところもあるが、NRIの強みを生かしながら、Value(価値)とVariety(多様性、人材、スキル、ノウハウにおいて)をW(倍増)するというビジョンメッセージの具体的目標である。Opは現在の500億円強の倍増、グローバル売上も500億円の倍増である。これまでは、こうした数字を開示しなかったが、ガバナンスコードの導入もあり、具体的に数値を示した。
逆算すると、2022年の売上規模は7100億円となり、3000億円弱の売上増となるが、これが、どの位がM&Aによるかどうかは不明。
質疑では、これまでは、M&Aは、味の素の例に象徴されるように、ユーザーなどで相手とシナジーがある形で、オープンイノベーションを考えるという形が多かったが、この基本方針を変えないようだ。飛び地にいきなりいくというのではなく、また、一つ一つの小さな案件を積み上げていく方針。また、ポートリオもこれまでの「2:6:2」を堅持する。すなわち、2割はOpm20%以上の強い領域、6割は基準Opm15%を維持しこれを判断材料とし、残る2割は収益よりも先行的な開発要素があるものである。