2015年11月5日 東芝テックがIBMからの買収したPOS事業の減損実施

東芝の上期業績・修正発表は117()であるが、先だって東芝テックが決算発表しテック側で660億円の減損を実施した。なお、東芝では、これに伴い696億円の減損は発表した。

日本基準のテックでは特損だが東芝ではOPにヒットした。減損の内訳は、固定資産497157mil$(差引340mil$)、暖簾231mil$は全額。この340mil$231mil$の合計671mil$696億円。ここから既償却36億円がテックの660億円となる。

決算集中日であり、テックの説明会には参加できなかったが、IR資料によると、上期は売上27002641億円、OP45→赤字5億円、NP赤字30→赤字741億円に、通期では、売上55505300億円、OP19060億円、NP30→赤字790億円に大幅下方修正である。自己資本は970億円(利益剰余金赤字)まで減り、これまでの自己資本比率40%強から27%になった。

プリンティグソリューション部門は弱含みでやや下方修正はしたものの堅調だが、POS事業を持つリテールソリューション部門が厳しく大幅下方修正。メンテサービス強化やリストラで早期回復を目指すようだ。前回の説明会では、問題の海外POS事業のトップの問題か、売上を証明する証憑類が無い等、上場会社として信じがたい混乱した管理体制だったが、一段落したか心配である。

買収は20124月、680億円を投じPOSで世界トップを目指していた

なお、東芝テックがIBMPOS事業を買収発表したのは、鈴木社長当時(東芝側は佐々木社長)2012417日、自己資金で賄うが、買収金額850mil$680億円で、POSで世界トップを目指す方針だった。売上への影響は1000億円程度、当初は600億円のプラス、初期コストでOPはトントンだが中期では二桁%を目論んでいた。

脱ハードのIBMと、国内ではトップ(テックの設置台数60万台、IBMは海外100カ国260万台)だがグローバル展開したいテックとで双方メリットがあると見ていたようだ。なお、IBMは、2003年のHDDの日立への売却、2005年のPCのレノボへの売却、など、その業界がピークアウトする絶妙のタイミングで、惜しげも無く事業売却をしている(ちなみに2007年にリコーにデジタル印刷機を売却)

発表当時は株価も好感、2012718日のテックの中計では、この買収を梃子に2014年度売上5200億円、OP320億円を目指し、2012年度は売上4989億円、OP231億円と過去最高の261億円(2007年度)に迫っていた。

本体のチャレンジが優良文化の子会社を傷つける