2015年11月9日 中国紫光が仕掛ける半導体再編の背景にあるインテルの影

ここのところの半導体及び関連業界の再編について、議論し考えてみた。そこで浮かび上がったシナリオでは、大きな背景に中国の紫光集団と、インテルの長期戦略があるように思う。もちろん、このようなことは、紫光にもインテルにも確認しようがなく、読むしかない(社会科学では、学者は勿論、マスコミの記者も、公式文書を証拠にし、関係者の「言質」を取ることを根拠としているが、重要で核心的なことであればあるほど言うわけは無いし、文書に残さないだろう。特にコンプラが厳しくなると、一層そうだし、社会科学の方法論は壁にぶち当たっていると思う。もちろん関係者の取材や議論は重要だが言質をとって根拠とするのは難しいだろう。それゆえ、予測妥当性や周辺的論理性から当てるしかない。ある意味、アナリストは、巨大な公開情報の空間から僅かな兆しや事実をヒントに、虫食い算のパズルを解いているようなものである)。これを一つの可能性、シナリオとして、参考にしてもらえば幸いである。

 中国が半導体産業を強化しようとしているのは間違いないだろう。そこで重要なのは、生産力、つまり工場やプロセス技術習得である。表に出ているニュース等ではここが多く目立っている。しかし、もっと重要なのは、設計やソフトの技術であり、ツールである。この二点から、考える必要がある。

 インテルの動きは不明だが、今後の半導体産業の動向を見据えて、何か手を打っているはずである。紫光とも提携、アルテラ買収などの背景には、何が狙いかを考察する必要がある。フラッシュでは、マイクロン(MU)との関係もあるので、MUの動きを通して探ることも重要だろう。

紫光は、その後、PTIに出資、メディアテックの買収提携示唆、また、NANDのコントローラICのパイソンも買収示唆をした。

メモリ系では、これらの買収で、東芝、サンディスクだけでなく、MU、サンディスクから圧迫、紫光がPTI傘下なら、歩留まり丸裸となる。パイソンまで買われたら、完全に外堀を埋められた印象だ。MUフラッシュではインテルと提携ゆえに、周囲を固められている印象であり、いずれおちるのではないか。インテルの大連はMPUからNAND転換であり、インテルは紫光集団と連携して、NANDDRAMを支配下に入れようとしている。サンディスクだけでなく、長期では、東芝もMUも視野に入れているだろう。

他方、メディアテックとの提携、買収示唆では、クアリコム対策だそうだ。しかし良く見ると、MSともJVがあり、インテルがMSと共にPCでは圧倒的なWINTEL王国を築いたのに、スマホでは、さんざんであり、PCの回復も、スマホでの地位を高めることも失敗した。もし、インテルが、メディアテックを傘下に入れた紫光と連携して、中国スマホを囲いこめば、ある程度、劣勢に布石が打てるかもしれない。

中国の狙いは設計と製造、インテルは短期ではスマホ対策とSCM、中期はIOT陣取り

 結論に至った大胆な仮説を先に言うと、中国の狙いは、中長期での半導体産業強化であり、設計やソフトと、製造の二段構えであり、これをインテル等と連携している可能性がある。インテルは短期、中期、長期の三段階だろう。