2015年11月17日 かわさき科学技術サロンに参加して

1716-21時位で、「かわさき科学技術サロン」に参加した。このサロンは、電機メーカーの研究所が多い川崎市の周辺で活動中の研究者技術者の交流の場であり、主催は川崎市と先端技術産業戦略推進機構。29回目で年3回、年の2回目は企業訪問をすることになっており、今回は、日本電産の中央モーター基礎技術研究所を訪問。

16時から所長の福永氏より挨拶の後、研究所の西本氏から、簡単に日本電産紹介と研究所の概要、その後、30分程度の見学会、17時半から、三浦副市長と、東京理科大学長、光触媒研究でノーベル賞候補とされる藤嶋昭先生から挨拶、1740分より講演で、福永所長より「2025年、50円スパコンでモーターが自律動作する社会」、芝浦工大の教授で、第一回永守賞の輝いた赤津氏より「省エネモータが地球を救う、モーターの効率化と低価格の取り組み」、その後、質疑と会場討論、19時半より会場を変えて立食パーティで自由討論。参加者は約100名で、日本電産の研究員も数多く参加した。

 日本電産の紹介はIRで知っているが、ビデオで海外のトップの顔付きのインタビューが、ASIなど、参考になった。203010兆円は一般には有名ではないようで質問が出ていた。展時では、まだハプティックモータの実機の展示は、まだなかった(アルプスはあり)が、画面では「LD4001」4×6×215mm、があった。

見学会は「生活」感が出てきた

 見学会は、1年ぶりだが、徐々に充実している印象。見たのは、①無音響室、②分析室(XCT)、③3Dプリンタ、他に断面解析、洗浄、モーター試験室は簡単な説明のみ。このうち、②では1年前と違い実際に解析している現実感があった。現実の分解能12μ、測定時間は10分位だが、3D画像再生にはかなり時間がかかり、リアルタイム解析はしないが、後で、CADで設計図面と照合はするようだ。データは数GBくらい。

やはり、③は質問も多く関心が高い。通常の3Dプリンタは樹脂だが、ここはアルミ等の金属パウダをレーザーで焼結、仕上げ。展示されている部品では、30時間程度。アルミ以外は、マルエージング鋼、チタンも可能。装置は、ドイツ製のようだ。ダイキャストに比べ巣ができず異方性がなく強度はむしろ強いとう説明。参加者は、日本電産自身が装置に参入することを期待しているようだった。

川崎市は日本のシリコンバレー

 講演に先立ち川崎副市長の挨拶があり、市の就業者がこの2年で8%増加、日本の平均がマイナス0.8%に対し真逆、研究開発人員がこの1.7%であり、平均の0.4%に対しダントツは驚いた。まさに日本のシリコンバレー、イノベーションビバと呼んでいる。

福永氏の50円スパコンが機電一体

 福永所長の講演は1年前のIRから2度目なので、よりよく理解できた。当時は、日立などがR&D改革、共創、オープンイノベーションを発表する前だったが、まさに、福永氏の言うとおりに各社のR&D体制が改革されている。これまでの20世紀型の体制は、デュポン研やベル研であり、リニアモデル、階層ピラミッド型で、サイロ閉じ籠り、論文のための論文、だが、これを、マトリックス型、未来からのフィドバック志向、プロマネ型とするべきだというもので、日本電産でも、いろいろな機関とのコラボ、オープンイノベーションをしているし、まさに、今日のサロン自体がそうである。50円スパコンは、2025年に半導体の進歩からそうなる、というものだが、これにより機電一体型モーターが可能になる。これについても、その後のIoT5Gの動向から、まさに、そうなっていくのが、納得した。

赤津先生のCO2削減モーター

 赤津先生の講演は、現在、CO2削減に向け、日本の電力消費の50%以上が、工場などで使われているモーター、特にインダクションモーター(IM)によるもので、これを省エネ化するための研究や提案であった。