2015年11月29日 東芝WEC問題と室町氏の責任について

先日の東芝の説明会を受け、日経ビジネスなど一部の報道は、室町氏のWEC減損を認識していなかったことについて批判しているが、公平性と事実と異なるように思う。

現場でやりとりを聞いていた私としては、記者は「2012年の減損を認識していたか?」と聞いたので、「2012年は顧問、2013年が監査委員であり、認識していなかった」との回答は、おかしくないし、それが特に問題とは思えない。さらに、そこを突っ込むかと思ったが、記者はそこで終わった。記者は、2012年頃も会長など、かなり上位の役員と誤解していたような聴き方であ、そこを訂正されたのでひるんだ印象だった。

むしろ記者が詰めるべきは、なぜ、室町氏が、社内調査委員長としてWECの件をどう認識していたか、その後、第三者委員会に調査を依頼する場合に、何故WECを外したのか、当時、説明会で、田中前社長がWEC減損は全くないと言いきったことについてどういう認識だったのか、等であろう。折角の貴重な時間が記者の勉強不足で無駄に浪費された上、誤解による記事が出たりして、HPのビデオ開示も見ず、誤解が誤解を呼ぶのは残念だ。

もちろん、通常の役員として善管注意義務はあるが、代取やCEOとは違うだろう。もし、平取として詰めるなら、日経は、社外役員も含め、全役員を詰めるべきだろう。監査委員長なら問題だろうが。そこはむしろ執行側が、監査委員会に報告していなかったのかどうかであり、そこを詰めるべきだろう。そこで報告がないなら、役員とはいえ、仕方がない面はある。混乱は、代取になってからの室町氏と、それ以前の監査委員だけ、その前の顧問と、分けるべきだが混同している。監査委員や平取の話なら、全役員経験者を詰めるべきで、室町氏をそこで詰めるのはアンフェアだし誤解を招く。そこで、整理すると、下記の表のようになる。

表は省略>

 表で、○は一役員としての善管注意義務であり、他の役員と同等である。08年から106月は、セミコン社などデバイス部門のトップではあるが、現場は小林氏などに任せており、むしろTMDのリストラ等が主要な役割だったように思う。

それゆえ、問題となっているWEC減損については、2012年度のWEC減損は、取締役監査委員就任前の常任顧問であり、全く責任は無い。2013年度については、取締役監査委員としての責任はあるが、そこは村岡委員長が重く、あるいは、他の3人と同格である。であれば、執行側が説明しなかったか、不適切な説明をしていた可能性があり、室町氏が認識していなかったことは十分ありうるし、技術屋で半導体一筋の氏の経歴からは仕方がないだろう。

問題は、2014年以降、会長という立場で、いつWECの問題を認識したか?さらに社内調査委員長としての認識はどうであったか。当時、田中前社長は問題ないという認識だったが、それ特別調査委員長としてどう報告したのか。さらに、どうして第三者委員会にWECを除外したのか、等であろう。

なお、質疑で、WECB/Sあるいは、単独の東芝として、WECの株式評価の認識について聴いたが、2006年当時には有報で買収直後のB/Sが記載されている。これを先日の説明会の回答と比較すると、自然であり、健全に見える。その後は、有報によると、WECに対しては、TBS原子力エナジーインベストメント米国社、英国社などを通じて保有しているようだ。これを見る限り、2012年度まで株価はほぼ同じである。ただ、2013年度以降は、単独の子会社株式の個別開示は無くなり不明である。

<表は省略>