2015年11月29日 SPEは底打ち?APでTSMC前倒しとメモリ戦略投資

日経報道によると、半導体装置の10-12月期の受注は3四半期ぶりに増加の模様。TELは、1300億円超え、日立国際は220億円のようだ。

 TELは、1027日の説明会では、7-9月の1224億円に対し、横ばいとの見方であったから、100億円程度の上ぶれか。また日立国際は同日午前の説明会で、下期371億円で6:4とのニュアンス回答からは想定線か。

 先日の1111日のCKDの説明会での質疑で示唆、下記でも書いたように、TSMCやサムスンから装置メーカーに3カ月から6カ月の前倒し発注があった。これは、OLED採用の決定で、A10A11チップが固まったからだろう。OLEDでいくかLCDでいくかで、全体のスペック、特に消費電流なども決まるからである。

http://www.circle-cross.com/2015/11/12/20151111-ckdで確認されたサムスンとtsmcの前倒し投資/

 加えて、DRAMNANDの戦略投資も活発になろう。足元は、価格下落が継続だが、アップルが決まれば、400ppiという解像度などから、モバイルDRAMNANDの搭載メモリ増が期待でき、いずれDRAMNANDへの発注もあろう。更に、その後のSCM需要もある。中国紫光は、採算度外視で、メモリーを強化する。台湾報道では、SKハイニクスが紫光と交渉、MUも交渉再開とのニュースもある。NANDメーカーとしては、中国であれ、出資してもらっても、次世代の投資をしたいということだろう。

 中国が、半導体や液晶で採算度外視の投資は、長期の国家戦略であり、資本主義と共産主義のいいとこ取りである。メーカーは、装置などの負担がなく、国家が投資する。半導体や液晶が赤字でも、僻地が町になって、人口が増え雇用が生まれれば、国家政策としてはよく、さらに地価が上昇すれば、国家の二束三文の土地を民家に売却しれば、その不動産売却益だけで、十分に元がとれるのである。HWの強さも未上場で中国であることだが、この資本主義と共産主義の、「いい処どり」は、米国の株主優位の資本主義にも日本の労働者・官優位の「社会」主義に勝つかもしれない。日本はおろか、この中国の戦略には、強豪サムスンも含め韓国台湾は勝てない。それゆえ、液晶は中国にまかせOLEDに舵をきった。あれこれ言う前に、この大きな流れにのるしかないだろう。