2015年12月19日 シャープの液晶部門とJDIが統合と日経が報道

 

日経新聞報道によれば、JDIが単独でシャープの液晶部門を買収する模様。これまでは、INCJによるシャープ全社買収や液晶部門の買収報道があり、その後、JDIと統合というやり方であったが、今回の報道はJDIが単独で行うという点が異なる。報道によると、亀山工場中心に設備や技術者も含め液晶事業を500-1000億円で買収する提案のようだ。

 

先日は、鴻海が、シャープの液晶部門を、1500-2500億円で買収する提案もあったので、今回のニュースが、JDI側かINCJ側か不明だが、それで焦ったのだろうか錯綜している。なお、報道でも鴻海の可能性もあると含みは持たせている。

 

もしシャープが、高額な買収提案の鴻海をけってJDIと一緒になるなら合理的な説明が必要で、また、JDIも、この時期に液晶を買収する説明責任があろう。

 

しかし、JDIは、スマホで、OLED化が進む中で、劣勢にあり、今や、そんな余裕はないはずだ。JDIも、シャープ買収資金があるなら、OLED化すなわち、LTPOプロセス化や、特に大きな差があるフロントプレーン(韓国はRGB蒸着400ppiに対し印刷で限界の200ppiくらいのはず)に、開発投資をすべきだろう。

 

それは、もちろん、シャープも同様で、鴻海のテリーゴーが出資している堺は、技術者もHappyであるらしいがゆえに、売却は当然として、この際、亀山も鴻海に売り、OLED化なり、別の戦略に傾注すべきだろう。

 

早晩、液晶は、TVなどの大型は、中国にいき、中小型はOLEDへいくが、そういう液晶を日本連合で守っても数年のことであり、先を見据えるべきだろう。ブーメラン効果どころか、もはや、液晶では、BOEに勝てず、OLEDでも、サムスン、LGに勝てない、という現実を直視すべきだ。そういう中で、統合に時間を費やすわけにはいかないし、少しでも差別化することに全力を投入すべきだろう。

 

日本勢にとってベストなシナリオは以下だろう。

 

シャープは高額で、堺の持ち分も含め、液晶部門を鴻海に売る。可能ならソーラーやコピー等、鴻海がほしいものがあれば、売却譲渡する。シャープは、液晶パネルや液晶TVからは撤退し、液晶応用商品やユニークな国内向け家電、カメラモジュールなどに特化すべきだろう。

 

他方、液晶の中で、天理の研究所、技術者や、研究所の一部(特に東京の柏など)や工場でK2IGZOラインは、JDIに譲渡する。JDIは、OLED強化で挽回だろう。そのリソース強化にシャープの技術陣を充てることだろう。さらに資金があれば、パナソニックの姫路の液晶部門や、この際、JOLEDも統合すればよい。そして全社で開発方針を集中して、一刻も早くOLEDで韓国に追いつき、3D感圧センサーをどうつけるか、できれば、OLEDで無理と言われているインセル化や、蒸着RGB800ppiなどに挑戦すべきだ。