2015年12月23日 設備投資は光明が見え、テンヤワンヤだが、スマホ向けは調整厳しい

 

来年以降のOLED採用スマホを踏まえ、FPDや半導体で設備投資の発注前倒しもあり光明が見えてきたが、足元のスマホやPCなどハイテク市況は厳しい。

 

 すでに、2015年以降のスマホ市場の台数の伸び率が一桁であることは常識となったが、中国市場や輸出も含めたローカルスマホだけでなく、上位のサムスンやアップルなども厳しい。ファーウェイは、目標の1億台は維持できそうだが、小米は、80milは達成が難しいことを明らかにした。アップルも全体は230milの中で、期待の「6S」「6S+」の販売が不振であり、2015年のコンセンサスとされた70-75mil台は微妙であり、10-1220mil前後に対し1-3月は10milとの見方もでている。台湾の経済紙『工商時報』(1223日付)によると、12月に入って、台湾系サプライチェーンに対する発注削減や出荷一時見合わせ要請を繰り返している模様だ。こうした事態は異例である。

 

 PCも市場はウィンドウズサポート終焉特需も終わった上、新,MPUも離陸が遅れ、低迷、アップルのApple Watch2015年は15-20milとの見方もあったが、10mil程度に終わりそうだ。

 

 すでに、こうしたDRAM価格は下落したまま低迷、NANDも東芝の説明会で室町社長が極めて厳しいとコメントがあったように市況は悪化が止まらない。ファンドリも4Qの稼働率は60%台で低迷しそうだ。過去70%を割り込んだのはITバブル崩壊とリーマンショックだけであり、厳しさがうかがえる。

 

 スマホ向けデバイス全体が厳しい中で、RF系はまだ堅調のようだ。キャリアアグリゲーションによりバンド数が増えれば、員数も増え、台数が横這いでもプラス10%の伸び率は維持されるからである。

 

SAWもガリヒ素も一時ほどのひっ迫感は薄らいでいるが、堅調であり、WINセミコンの月次売上はプラスに戻った。

 

 ただ、今後、1月以降に発表される部品メーカー、液晶メーカーの12月の月次動向などには、単価、数量の両面で、予想以上に厳しい可能性があり、注意が必要だろう。特に、メモリやパネルでは、在庫次第で、1-3月以降は、赤字転落もありえよう。

 

 

 

2016年は全市場で目玉にかける~次世代OLED搭載スマホは17年か18年か

 

 2016年は、スマホは低迷、台数で横這いなら、金額ではマイナスの可能性も高いだろう。タブレット系も同様、期待のOLED搭載の新製品なども2017年以降である。

 

TVも、4k市場は引き続き成長するが、リオで開催される夏の五輪に期待するのは難しいだろう。2020年の本格離陸にはやや遠い。

 

クルマも2017年にはOLED搭載の新車が出てこようが、2016年はVW問題もあり、大きな伸びは期待しにくい。

 

バブル崩壊中の中国に加え、12月の米金利上げもあり、新興国経済の市場に期待はすることは難しい。2016年は、ヒット・新規性にかける端境期の年である。あえて、相対的にいいものを探すと、ここ数年厳しかった一眼カメラの回復や、新型MPUの登場でPCへの回帰だろうか。しかし、いずれにせよ、半導体はマイナス成長となろう。

 

うって変って、2017年は新製品が目白押しであり、OLEDへの流れが、スマホで加速、クルマでも異形曲面型の搭載が始まろう。

 

クルマは、半導体では、ウェハー面積が大きく、クルマ一台がスマホ10台分、FPDでは、スマホ4-5台分、中期では、それぞれ、20台、30-50台分に相当する巨大市場である。現在、5-7年の買い換えが、スマホやPCというほどにはならないが、ある程度、短縮化する可能性もあろう。これが、5GIOTと絡んで発展する。

 

いわば2016年は、2017年以降の飛躍への準備の年であり、半導体やFPDの設備投資は堅調であり、デバイスにも2016年後半から回復しよう。

 

 

 

 iPhoneで、OLED搭載は、2017年か2018年に出るかは微妙である。本格的には、2018年であり、その場合もハイエンド中心で、大半はまだ液晶である。

 

現在、苦戦しているLTPOプロセスの難しさや、400ppiRGB蒸着マスクの量産での問題、OLEDプロセスでの水分管理などそう簡単な話ではない。タッチパネル、ハプティックス、3D感圧センサーなどが、どうなるか、どこに装着されるか等は不明である。

 

いずれにせよ、現在、複雑化しているサプライチェーンはすっきりし、大きく変わる可能性があり、関連業界への影響は極めて大きい。そのため、OLEDがどれだけ主流になるかは、そうしたサプライチェーンとの相互作用で決まってくるだろう。

 

 

また、2015年に引き続いて、半導体、電子部品、PCTVで業界再編が続く。特に、半導体、電子部品では、業界の垣根を越え、国を越えた合従連衡が本格化する。この中で、供給能力が変化し需給にも影響が出ることには注意したい。

 

当面はスマホ中心に厳しいが、来るべき下期からの飛躍に備えて、準備と布石を怠りなくすべきだろう。