2015年12月26日 新日本無線のリバイバル

 

2015年は電機業界にとって厄年であった。東芝、シャープは、厳しい経営状況に追い詰められており予断を許さない。東芝の不正関係問題も元を正せばリーマンショック後の厳しい業績ゆえであり、それを覆い隠そうというのが原因でもあり、また、焦った打ち手が更に傷口を広げた。両社とも、継続性の疑義の記載はないが、自己資本比率は一桁であり、CFもギリギリ、土地や株など資産はもちろん、事業売却やリストラにも手をつける。ただ、両社とも、INCJやメインバンク、政府も支援もあり、そう簡単には潰されないだろう。

 

継続性疑義記載、自己資本比率5%DEレシオ6からのリバイバル

 

 しかし、ここに、リーマンショック後、繰延税金資産取崩しはもちろん、2009年に継続性疑義記載、DEレシオ6、自己資本比率5%、社内のゴタゴタさえあったように見受けられ、政府などの支援は期待できず、売るべき資産も無いという崖っぷちから立ち直った企業がある。新日本無線だ。一般には、それほど有名ではないが、一部上場、株式市場では、そこそこ人気があるデバイスメーカーだ。それほど人員削減もせず、黒字化、継続性疑義は2013年で消え、DEレシオは1以下、今期の自己資本比率は30%近くとなり、復配も期待できるまでに回復した。

 

 

 

しかも、これをリードした小倉社長は、若い時にセイコーからの転職組であり、さらに、経営不振時の2008年に役員を退任、子会社の役員となったのが、2011年に返り咲いて、社長に就任して、リバイバルを成し遂げた。

 

 

 

電機のリストラの成功例では、日立の川村改革、いったん本社を退任した川村氏以下の返り咲き組がなしとげた大復活は有名であるが、おそらく日立は潰れるわけはなく(川村氏は危機感があったようだが)、継続性疑義はついていないし、政府などもサポートしたであろう。それゆえに、財閥系でもない一中堅デバイスメーカーである、新日本無線の例は、東芝、シャープだけでなく、多くの弱小企業にも参考となり、勇気を与えるものであろう。

 

 とはいえ、回復途上の新日本無線で、こういうケースを紹介すると、しばしば、社長をカリスマ化し、マスコミに注目されれば業務の妨げとなり、経営陣や社員に慢心や油断を招く可能性はある。しかし、危機はわずか5年前であり、その恐怖の記憶を思い出し、東芝やシャープ等の例を他山の石と認識して、気を引き締める効果もあろう。