2016年7月15日 ファウンドリの巨人TSMCとEMSの王者Foxconn(鴻海)

 

TSMC最高益上ブレ、林檎の谷間を乗り越える

 

ファウンドリのTSMCの業績が回復鮮明だ。14日発表の2Q決算は、売上、利益とも、ガイダンスを超え最高益、Q/Qでもy/yでも8-9%増収、OPQ/Q30%増、y/y19%増。http://www.tsmc.com/english/default.htm

 

日経新聞でも、アップル失速の谷を乗り越えたと評価している。CEOによれば、「今後5年は売上高、利益とも年率510%は成長。半分はスマートフォン(スマホ)が寄与」のようだ。

 

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX14H13_U6A710C1FFE000/

 

 今後の鍵は、年末にも離陸する7nmや、南京新工場の立上げ、Info-WLP展開だろう。特に、Info-WLPで鍵になる後工程系技術は、前工程ほどの技術力はない。

 

TSMCと鴻海比較

 

 日経新聞では、台湾の同じ受託生産ビジネスで、TSMCと鴻海を比較し、鴻海はじめEMSは、中国の人件費高騰に直面し、ビジネスモデルが曲がり角を迎え、株式市場の成長期待を高められないとしている。スマホ市場も、アップルも成熟期に入りつつあり、その意味では、鴻海にとっても、シャープの買収はテリーゴー氏の言うように二回目の創業であり、ブランド事業も含めた展開点であることは間違いない。

 

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX14H0G_U6A710C1FFE000/

 

 記事にいくつかコメントも引用されているが、ここで、改めて、TSMCと鴻海を比較してみたい。

下記で需要なスマイルカーブ、3Dドメイン、経営重心®での違いに触れたい。

 

スマイルカーブ

 

スマイルカーブで、そもそもIDMでもデバイスは高付加価値、組立は劣位であるましてEMSでは尚更だ。

三次元ドメインでの位置取り

 

垂直統合か水平分業かで議論になる、機能-形態-応用の3軸の3次元ドメインで考られる。

 

ファウンドリの条件

 

 ファウンドリでは、これまではメモリー分野では、圧倒的にIDMが優位である。CMOSセンサーでは、ソニーの例からも、IDMが優位だ。アナログに関しては、WIN、AWSC、VIS、タワージャズがある。

 

経営重心®の視点

 

経営重心®からの視点では、デバイスのTSMCとセットの鴻海を単純に比較できないが、両社とも、スマホ依存という意味では、右上の「ジャパン・ボール・ゾーン」である。EMSの多くは、やや左下であり、「ジャパンストライクゾーン」に近く、逆に言えば、EMSにとっては、差別化がしにくい。OKIなどの日本型EMSは、ジャパンストライクゾーンの下方であり、競争領域が鴻海と大きく異なる。

 

駆動部分が多いと難しい

なお、EMSの中で、技術面から考察すると、設計生産も含めモノ作りで難しいのは、駆動部分が多く持ち運べるものである。