2016年7月18日 ソフトバンクARM買収~テレコン参加して続報

 

1945分~21時半過ぎまでテレコンとマスコミ中心の質疑。下記に資料など。

 

http://www.softbank.jp/corp/d/sbg_press/list/

 

孫社長の想い

 

 10年来の案件であり、創業来最もエクサィティング。これまでの買収案件は、世界1位は無かったが、ARMは世界1位であり、かつIOTで最大の成長分野の会社に布石を打てたことは大きい。この感激を共有してほしいと強調した。

 

ディールについて

 

 100%株取得で上場廃止、3.3兆円は、70%2.3兆円は手元資金、30%1兆円はブリッジローンにするが、これは、来月、アリババ株、ガンホー株、スーパーセル株で1兆円強の売却益が入るため。新株発行もしないし、既存株主への希薄化などマイナスはない。

 

ソフトバンクのB/Sと暖簾

 

 ソフトバンクのB/Sネットデットはあまり変わらない。

 

投資の極意となぜ今か

 

 ARMは、インテルが抑えているPC向けMPU以外は、スマホから何から全て抑えており、IOT時代にはARMが全ての中心になる。成功の秘訣は、5-10年毎の大きなパダライムシフトの入り口で、大きな賭けをするからである。今、まさに、モバイルインターネットからIOTの時代であり、そこを制するのがARMであると認識しているようだ。

 

なぜARM

 

 ARMベースのチップの出荷数は、2015148億個、二次曲線でまだまだ増える。売上は1791億円、税引き利益は578億円。インテルと異なり、ファブレスであり、パートナーシップのオープンイノベーションの会社である。それは、ソフトバンクと共有でき、IOT時代を築き上げていきたいことを強調した。

交渉のきっかけ経緯

 

ARM側は、今後、IOTに向け、資金もますます必要になるが、上場していては、いろいろ制約も多く、買収され、自由度高く、事業に専念できHappyのようだ。

 

バリエーションとシナジー効果

 

現時点では、43%のプレミアムも含め、バリエーションでは割高だろうが、将来性やシナジーを考えれば、フェアバリューだとの認識。

 

マネジメントの係わり

 

ARMの経営陣は優秀であり、変える必要はないが、中長期戦略に関与したいという事業欲が強いようだ。これがニケシュ・アローラ氏の解任の理由でもあると言及。

 

ARMの中立性

 

 ARMがこれまで成長してきたのは、技術力もさることながら、中立性や、オープンなビジョンだろう。そのビジネスモデルやスタンスは不変であり、ソフトバンク傘下になったからといって、スマホメーカーなどユーザーが、離れることもないし、離れられないだろう。

 

感想と分析

 

 ソフトバンクは、今や巨大なキャリアであるが、孫氏を、「ソフト」の人間であり、ハードやデバイスに関心がないというのは間違いであり、70年代から80年代の多くのハイテク起業家がそうであったように、半導体への愛着はあるだろう。

 

 質疑では、ソフトバンク傘下となったARMの中立性についての確認も多かったが、実際には、微妙に変わるのではないか。ソフトバンクは、各階層で、ARMのプラットフォームで強みを発揮できる。今回の買収で、危機感が強いのは、インテルであり、マイクソフトであろう。

 

 ARMに死角があるとすれば、将来のIOT時代に、なお、ARMベースが継続するか、である。モバイル時代と異なり、IOTでは、より制御の割合強くなる上、AIとの相性がよいFPGAベースになる可能性もあろう。IOTはまさに戦国時代初期である。RF系、センサー系などをどう取り込むかが注目点であろう。