8月26日15時半からアナ協での本決算(2016年6月期)説明会に参加、出席者はそれほど多くなく、大手のセルサイドアナリストは少なく、シニアの機関投資家が多い。なお決算は8月10日に発表済。鈴木社長がプレゼン、質疑は横山専務も対応。
老舗の須坂の精密金型メーカーからコネクタへ
創業は昭和8年の老舗、知る人ぞ知る名門の精密金型メーカーだが、現会社設立は1974年、JASDAQ上場が2001年であり、セルサイド時代は全く知らなかった。ファンド時代に、コネクタメーカー関連のサプライチェーンとしても重要なので、以来、注目していた。その後、2012年東証二部、2014年に東証一部となった。累積INPUTは、5-10回程度であるが、今回、久しぶりの参加だが、堅調に業績を伸ばしており、安心した。
IRは熱心であり、HPも充実している。特に、「みんなの工場見学」は素晴らしく、他社でも試みてはどうかと思う。http://www.suzukinet.co.jp/factory/index.html 本社は須坂市にあり立派な工場のようだ。なお、須坂は富士通の工場がある関係もあり、富士通関連や、モノ作り系の中堅企業が集積している。http://www.geoenv.tsukuba.ac.jp/~chicho/pub/WWW/nenpo/033/10.pdf 富士通コンポーネント、太陽誘電の工場(富士通から部門買収)、帝国通信工業、市は違うが、隣接する長野市には、新光電気、長野日本無線、安曇野には同じコネクタメーカーの本多通信がある。長野県は精密で有名だが電機や電子部品も多い。
金型、部品(コネクタ)、機械器具(装置等)の3本柱
セグメントは、コアである、①金型、その金型を使って、②コネクタメーカーへOEM供給(電子部品とで自動車電装向けに二分、後者は住友電装とのJVのS&S社が中心)、また金型やコネクタの製造技術から、③接圧機やリフロー炉など自動機器や医療組立EMSの3部門である。自社ブランドは③の自動機のみであり、あとは、OEMやEMSである。
業績は売上順調だがOPはピーク更新できず
業績は2001年のJASDAQ上場後、ITバブル崩壊の影響で2002年6月期は大幅減収減益となったが、その後は順調に拡大、2008年6月期には売上162億円、OP18億円とピーク更新。リーマンショックの2009年6月期は大幅減収で売上111億円だがOPは0.85億円と赤字は免れた。
その後、再び、増収を続け売上は2011年6月期にピーク更新、OPは10億円を超えた。売上は順調に拡大200億円を突破したが、OPはまだピークを更新できていない。
前2016年6月期も売上231億円、OP14億円、NP1.6億円。為替差損2億円、中国の生産子会社減損2.7億円があった。今期計画は売上231億円、OPは8.9億円、NP3.6億円の減益見通し。Capexが12億円から22億円に急増、Dep13.4億円から17.5億円、R&Dも1.1億円から2億円と、Depで4億円、R&Dで1億円など固定費増加が大きい。また、売上の40%以上を依存する住友電装とのJVであるS&S社がいつも慎重な見通しであることも要因。従って、実態のEBITベースでは利益横這いだろう。
最高益更新は可能だろうが、更に上を狙うかどうかが鍵
この5年間の業績推移は、粗利12%前後、SGA7%前後で安定。SGAの中では、R&Dはやや増加で6→7%、人件費は50%前後で推移。人員は671→779人に増加している中でコントロールされている。工場は、国内はほぼ須坂に集中、海外は中国、インドネシアあり効率がいい。中国は黒字化が視野に入る。今後5年間では、コネクタ業界も大きく変化しようが、その中での戦略に注目したい。M&Aなども必要かもしれない。