2016年8月27日 第一精工の上期決算 説明会参加

 

817日の説明会に参加、これまでは時々質問するが今回はしなかった。決算は89日に発表済み。参加者はいつもより少ない。いつも通り、田篭CFOの業績説明の後、小西社長による本音のプレゼン。資料は豊富であり、一部、スライドのみもあるが、スマホやPC動向もわかり、参考になる。IRは熱心であり、HPに動画もある(質疑はなし)

 

200611JASDAQ上場だから、セルサイド時代は知らなかった。ファンド時代にJASDAQながら、精密金型技術に関心があり、アップル向けに急成長であり、フォロー、ほぼ説明会、スモールにも参加、個別取材も伏見の本社まで訪問した。累計INPUT10回以上だろう。

 

JASDAQ上場後は快進撃

 

精密金型技術を持つOEMメーカーから、細線同軸コネクタのファブレスメーカーであるアイペックスをM&Aでコネクタメーカーとして急成長、自動車や半導体装置にも多角化しているが、金型や装置を内製、垂直統合一貫型のコネクタ中心のメーカーとしては、ヒロセ電機と対照的な戦略の会社でもある。細線同軸コネクタではシェア50%以上とトップ、シェアを分けるJAEとはJVで提携。

 

業績は上場後、好調が続き、2007年の中計の「2009年度500億円、経常70億円」に対し、売上こそ未達だが、2010年度は、北米スマホの恩恵も大きいが、売上468億円、OP75億円の達成は、立派だろう。アイペックス買収やJASDAQ上場による資金調達を成長投資に振り向けたという意味では近年少ないモノ作り型企業の成功例であろう。JASDAQから一部に変わる時も、JASDAQのエースとして残って欲しいという見方もあったようだ。

 

東証一部上場後は低迷

 

 しかし、東証一部と決算期変更からは業績は一巡。2011年には東証一部上場、2010年度を最後に、決算期も12月決算となるが、その頃から、何かが変わったようだった。2015年は売上こそ487億円だが利益水準は変わってしまい、ピーク利益は更新できていない。

 

コストアップやや水膨れ気味

 

 財務数字を見ると、かつては粗利が30~35%前後、SGA20%弱、Opm10%強だったが、直近は、粗利20~30%弱、SGA25%弱である。特に人件費が89%強、R&D24%(単独では顕著で粗利が3020%SGA15%以下→20%以上)、連単共に人員増が著しい。

 

業績は足元厳しい

 

 2016年上期は売上250221億円、OP7→赤字4億円、経常利益8.5→赤字12億円、PC・スマホでコネクタが苦戦、クルマは売上過去最高だが補えず、新規も出ているがこれからだ。

 

2016年度通期は売上470億円、OP4億円、NP1億円の計画。上期から下期では、粗利の急回復をB2Bコネクタで見ており、OPH/H12億円の増益前提だが難しいだろう。円高は、1円で1300万円/月であり、110円前提が100円なら5億円程度のマイナスとなる。年間でOP黒字なら御の字だろう。

 

中期で最高益更新は容易ではない

 

 足元は別として中期で過去最高益のOP75億円を達成できるかが注目点だが容易ではない。大きな戦略転換の時だろう。