2016年9月14日 サムスンの経営重心®から複写機事業売却を考察する

 

日経新聞などによると、サムスン電子は12日、複写機事業をHP105千万ドルで売却すると発表したようだ。http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM12H9T_S6A910C1MM8000/

 

防衛や化学事業からの撤退に続き、非中核事業から手を引く方針の一環と報じている。

 

 サムスンは、90年代は、日本の日立や東芝、NEC、その後はソニーなどをベンチマーク、半導体メモリで成功、液晶でも、勝利をおさめ、TVやスマホでも日本に圧勝した。2000年以降は、総合電機や家電でなく、キヤノンをベンチマークして、OA機器でも拡大を試みたが成功しなかった。また、ストレージやサーバ、ルータ等でも努力していたが、せいぜい韓国内での事業に留まっている。

 

 サムスンの成功要因については、既に多くの論考や分析があるが、経営重心®分析では、サムスンの成功は、経営重心®マップで、短サイクル、大ボリュームのエリアに留まっており、今回の複写機の撤退も、サムスンの経営重心®、あるいは得意エリアからは外れている。また、シャープ買収で技術導入を狙っていたが、鴻海傘下となったことも大きいだろう。

 

 

経営重心®マップで、韓国などが右上の領域で強いのは下記の理由であり、トップダウンのオーナーによるスピード経営が大きい。日本は5-10年、数千~数千万台だが、これは、日本は規制や慣習で、2年以内で決断できない、社内計画でいきなり桁を超えるのは通りにくい、など、精神的自己規制があろう。逆に、サムスンは、そこは強いが、ジャパンストライクゾーンでは、その強みを生かせない(日本が弱いゆえ)のである。

 

 

サムスンの強み

 同じアジア企業で、スマホ分野で伸びてきた企業としては、オーナー系の鴻海があり、比較すると参考になる。経営重心®は近いが、今後、どう多角化やビジネスモデルを変えるかが注目される。

 鴻海にあって、サムスンに欠けているのは、M&Aであり、オープンイノベーションであろう。