2016年10月18日 東芝の技術戦略説明会に参加

 

101814時から技術戦略説明会&展示会に参加した。2012年以来4年ぶり。昨年春頃に説明会をするとの話もあったが、不祥事で延期になっていた。マスコミと合同、本社にて。ほぼ満員。

 

それほど広いスペースではないが、展示会を14時~15時、17時~18時。説明会を15時から17時まで。説明会は、冒頭、綱川社長の挨拶と簡潔なメッセージだが、東芝の再生、開示促進にコミットしているということが認識できて良かった。続いて、執行役専務で技術統括の西田直人氏の技術戦略に関するプレゼン及び質疑、執行役上席常務でESS社統括技師長の風尾幸彦氏のエネルギー事業における技術戦略についてのプレゼン及び質疑、であった。久しぶりでコンパクトな感じだったたが、まずまず。東芝の技術が、NANDフラッシュと原発関連以外にも、むしろ広範にあることが理解されて良かっただろう。かつては、AIでは、総合電機でも上の方であった。

 

次回はR&D全体像の定量的、またMOT的な開示が欲しい。また、基礎研究部門や、東芝に於いては非常に重要な生産技術研究所の説明、もう少し広めの展示、幾つかの技術については、短くて良いから説明を期待したい。本社での開催は便利だが川崎の総研で終日コースでも良いだろう。

 

綱川社長の発言要旨

 

東芝の再生、再成長に向け、努力するが、開示も約束通り、カンパニー別IRをしたが、技術戦略IRも毎年継続する。

 

東芝のDNAは、「からくり儀右衛門」で有名な田中久重の芝浦製作所(重電)、日本のエジソンと言われた藤岡市助の東京電気(弱電)の二つのルーツがある。白熱電球から真空管、半導体、それはNANDフラッシュとなったし、AIでも1967年の郵便番号自動読取区分機が、画像処理のVisconti、画像認識のRecaiusになった。その中で、今後、東芝は、①ストレージやエネルギー等、キャッシュ創出力のある強い技術に集中、②新しい領域の新分野を攻め、オープンイノベーションでいく、③人材維持のため、来年から新規採用を再開する。

 

あえて、創業のルーツに触れたことで、DNAの多様性(性も2種あり組合で可能になる)が幅広い技術が生まれ、それが社会課題を解決するのがミッションだが、2つのコアを中心に、それ以外の、流行のAI等も実は潜在力があることを強調したのだろう。学生の新規採用復活も宣言、再成長路線が始まった。

 

西田氏のポイント

 

R&D費は、業績が変動する中で、過去20年、ほぼ3000億円前後を維持、平均で売上比5.6%2016年度も6%である。この5年では特に電力・インフラ・デバイスに注力し、72%から90%の構成比となっている。特に2015年度は、売上R&D比率が10%と高いTMCSの売却、デジタル家電のリストラで、大きく構成比が変わった。

 

今後は、メモリや原子力などキャッシュフロー創出力のある技術に集中する一方、新成長分野の創出のため、電池(SCiB)、パワーエレ、エネルギーIoT、メデイアインテリジェンスを強化。

 

R&D体制

 

R&D組織は、この50年で大きく変わってきたが、現在は、コーポレートラボとしては、研究開発センター(RDC)、生産技術センター、デジタル家電関連で実績のある応用開発センターを、べ―スに新設のソリューション開発センターの3つ。なお、組織上は営業統括だが、デザインセンターもある。

 

カンパニーの研究開発組織としては、ESSISSに属する電力・社会システム技術開発センター、SDSに属する半導体研究開発センター、INSに属するIoTテクノロジーセンターがある。

 

これ以外に、海外R&Dとして、欧州研(ケンブリッジ研、通信研究所)、アメリカ研究所、中国研究開発センター、ソフトウェア・インド社R&D部門がある。また、カンパニー技術部門がある。

 

なお、コーポレートR&D、カンパニーR&D、カンパニー技術部門の、全社R&Dの構成比は、凡そ、12%11%77%である。コーポレートR&Dは、3~5年より先のテーマ及び全社共通のもの、カンパニーR&D5年以内でカンパニー内のもの、カンパニー技術部門は、短期のテーマである。

 

注目技術

 

注目技術としては、社会解決との関連で、①3D-NANDで注目のBiCSフラッシュ、②AIによる半導体製造プロセス改善、③画像処理技術の過去の実績、④自動運転でデンソーと共同開発で報道もあった高性能センシングプロセッサ-Visconti、⑤超電導技術により小型化成功で導入もされた重粒子線ガン治療装置、⑥フェーズドアレイ気象レーダでゴリラ豪雨を予知できる気象防災ソリューション、⑦その他のテーマとして、MRAM、量子暗号通信(英ケンブリッジ研)、自己増殖型DNA(奈良先端大と共同)、知識ベース構築(米でスタンフォードと共同)などが紹介された。

 

上記の中で、②、④、⑤、⑥は、展示もされていた。また、これ以外に、水素エネ、AP1000のモデル、東芝テックの説明会でも紹介され物流展で展示された店舗向けロボット、車やインフラ向けリチウムイオン電池SCiB、ベクトル照合による顔認識が展示されていた。

 

R&D戦略についての分析

 

風尾氏のポイント

 

 

展示の概要