2016年10月25日 Nidecの説明会参加~永守節は相変わらずだが機嫌良さそう

 

102510時~11時半の説明会に参加、質問もした。昨日引け後に決算も発表され、日経報道もあり、日経ビジネスでも充実の特集記事が組まれている。盟友孫氏のソフトバンクのARM買収発表直後で、エマーソン買収発表直前であり微妙なタイミングだった1Q決算時と異なり、非常に快活明朗な印象。高揚感が感じられた82日のエマーソン買収発表時と比べても手応えを感じている印象。片山CTOを褒めた。説明会での恒例のアナリスト叱りは同様だが、報道でもあったように、ハードワークのガンバリズムから脱して、真のグローバル企業に向けた進展が、「景色が変わってきた」という表現なのだろう。

 

 円高を跳ね返しもさることながらFCFCCC改善が凄い

 

 業績は円高を跳ね返して上方修正、OPy/yでは107億円の円高マイナスにも関わらず増益。通期も105100/$115110/€と為替前提を厳しく変更、上方修正している。さらに注目すべきはFCFであり、上期は617億円とこれまでの100億円のレベルから大きく改善、CCC2012年に注目した当初は85日だったが前期末66日、上期末62日、2018年度末60日を目標にしている。2012年はHDD関連がまだ多く、LT、サプライチェーンが長いクルマや産機が増えてきている中で評価できよう。因みに日立は2018年度70日が目標。製造業全体で80日程度、EMSでも60日が限界と言われる。今後は、地産地消で達成を目指す。FCFは年度末では1500億円も可能だろうが、CAPEXM&Aもあり非開示。

 

働き方の意識改革、IoT活用

 

 今回、注目されたのが、これまで、「社長自ら正月以外365日フル稼働、ライバル会社と夜の消灯時間も気にすると噂までされたモーレツなハードワーク」から脱し、残業を減らすと宣言されたこと。背景には、グローバル化の中で、欧米では、日本流のやり方を持ち込めないし、日本でも中途も増え、今後は難しいことがあろう。また、同時に、IoT活用で、残業を減らしても生産性が向上、収益性もアップすることが確認できたことが大きい。スマートファクトリーを導入、海外で7500人を自然減とし、更に、7500人、計1.5万人を減らせる効果。片山CTOの指導で、MES導入で原価低減も可能。生産性向上で、CAPEXも少なくてすむようだ。今後、全世界の工場に展開。

 

モジュール化

 

 家電商業産業で注目はモジュール戦略である。モータ単体売りからモジュール化で単価は3-5倍になり、市場は10倍規模になる。材料・モールド等は内製化、数量アップによる購買値下げで変動費を削減する。インドやトルコなど新興国が多い。現在は、半導体は外部購入だが、今後はM&Aで内製化を目指す。今後、エアコン、冷蔵庫、洗濯機の回路やソフトの中堅エンジニアを大量採用。この部門ではないが、1000人規模で必要なようだ。内製化のため、エンジニア採用とM&Aでピースを埋めていく。

 

 また、今回のエマーソン買収(12月クロージング予定)で、2020年の家電商業産業の目標は、売上40006000億円となった。OPMもこれまでは段階的に、まず2年で10%、それから15%というやり方だったが、今回はいきなり15%を目指す。これは、①現場トップ意識改革あるいは15%に共鳴する人を採用、②工場の合理化や再編効果、③新製品投入で可能。シナジーも大きく、発電システムも展開が可能となり、3000社との顧客ベースの中でこれまで入れなかったところにも入れる。

 

車載では、ボッシュ・コンチに勝つ

 

 車載向けでは、自動運転市場で、次世代ブレーキ用が伸び、パワステ用も冗長化で搭載が増える。また、ここでも、モータ単体でなく、ECUやセンサー等、モジュール化を進める。その意味では、ボッシュやコンチネンタルがライバルになるが、質問に対し、必ず勝つとの宣言がされた。

 

ハプティックに再注力

 

 前年度は、トップサプライヤーとなりながらも、ユーザーに振り回されたスマホ向けのハプティックも好調のようだ。前回は、車載などと異なりリスクが高く、今後のNidecに向かない事業だと説明、減損もあったが、今回は、スマホだけでなく、クルマや医療、VRなど広く展開を考えて居るようだ。ただ、スマホ向けと、クルマや医療向けはスペックも異なり、じっくりとした戦略を期待したい。

 

その他

 

 その他事業では、機器装置光学で、サンキョーやシンポのロボット関連が好調のようであり、今の受注状況からOPM20%はいきそう。  

 景況感については、よくはなく、今後、減収減益が出るだろうとコメント。

 

M&A

 

 説明会では、相変わらずM&Aに関する質問が多い。家電商業産業の内製化、特に半導体、コンプレッサー等は、生産拠点も含め、重視しているようだ。案件は常時20~30件あるが、バリエーション重視、また、高値で売るのではなく、中期的に社員のことを考えるエマーソンのような会社が大事だとした。

 

 また、その際のマネジメントは、共感できる現地の人間に任せるべきだとした。日本人は、むしろサポート役に徹するのがいいという認識である。