10月28日15時半~17時の説明会に参加、マスコミ合同。まず、30分程度、西山CFOがプレゼン、その後、30分ずつ、先にマスコミ後が投資家アナリストで質疑。内容は、業績、マクロ景況感(TPP影響、パリ協定等はマスコミ)、グループ再編など、丁寧な回答だったが、再編の件はNA、また南アフリカの重工との問題もNAであった。特に再編については、どうしてあのような記事が出るのか逆に聞きたい、という発言もあり、困惑しているようだ。
業績実態は堅調
業績は、為替、グループ再編のポートフォリオ入替があり、前年と比較しにくい。単純にはy/y減益だが、売上では為替の影響2000億円、再編(物流1420億円、空調390億円)、OPでは為替300億円、再編(物流70、空調10)があり、実態では売上微増、OP横這い。売上4.35兆円、OP2328億円、EBIT2185億円はともかく、NP1135億円の増益とFCF2037億円(1250億円増)は立派。
計画対比では、上期OP300億円上ブレ、1Qで100億円上ブレなので、2Qで200億円である。為替感応度が1円で、ドルは20億円/下期、ユーロは5億円/下期ゆえ、単純にドルを10億円/Qとすると、2Qが110→102円だと80億円であり、円高が無ければ300億円近い上ブレということになる。セグメント別では、ITがフロントの金融公共が好調で100億円、電力社会も原発前倒し等50億円、電子装置がハイテク等100億円。
修正はなし
通期は下期為替を110→100円/$、120→110円/€に変更、単純には、計250億円のマイナスだが、上期の300億円の上ブレ、Dep3000→2800億円(Capex3800→3500億円)の200億円で相殺どころか、少し余裕はある。そこは追加リストラ等があるのだろう。
グループ再編
常時、ポートフォリオ入替は考えており、個別の案件には回答できないが、ビジネスはサービス・ソリューションへ、持っていく、上場・非上場、またBU、サブBUレベルを問わず考えているとした。収益性や資本効率、コア、ノンコア、得意分野か否か、でチェックしているようだ。
資金は、中計では、3年累計で、1兆円がCAPEX、1兆円がM&Aであり、注力はLumadaやIOTでありフロントが60%、プロダクツやコンポが40%であることを再確認。
原子力、南アフリカ関連はNA
中長期でも、最も重要な原子力の統合や南アフリカでのプロジェクトの動向については、残念ながら、NAであった。前者については、東原社長が技術展で発言もあったが、そこを再確認する質問は無かった。現在、政府も、東電問題も含めて微妙なところで回答はないだろうが。また、後者は食い下がって質問者はいたが非開示だった。
あまり長期サイクル、しかも割引率が高い新興国の社会インフラは危険
この10年で、経営重心®で短サイクル大ボリュームの市況リスクがある事業から、長サイクル小ボリュームの社会インフラにシフト、業績は改善しているが、やや長期にシフトし過ぎであり、また、リスクの小さい国内からリスクの高い新興国の長期が増えている。ここは、リスクフリーレートも高く、リスクプレミアムも高く長期であるため、割引率が非常に高い。実際、南アフリカなどは、顕在化している。せっかく、短中期の事業、IT系で頑張って、CCCを改善しても、長期でキャッシュフローが危うい。しかも、長期でどこまでキャッシュがいるか不明である。大日立といえども、民間企業であり、そこは、ポートフォリオのリスク管理を徹底議論すべきであり、できれば原子力や長期の新興国エネルギーは避けるべきだろう。