2016年11月19日 上期決算を追えて景況感〜冬が来る前に

 

熊本地震に始まり、英EU離脱(Brexit)、韓国は大統領混乱、米トランプ勝利とマクロ波乱・株価乱高下、サムスンN7発火問題、円高進行(今は一巡)の中で上期決算発表・説明会もほぼ終わったところで、業績と景況感をまとめておく。http://www.circle-cross.com/2016/06/17/2016617-マクロは不透明だがハイテク市況は底打ち感/

 

多くが円高で下方修正、製造装置が一人勝ち

 

今回は、円高もあり、精密、部品が厳しく、前期のリストラの影響でイレギュラーな東芝やシャープを除いて、概ね減益、下方修正となる中で、半導体製造装置業界が一人勝ちという状況であった。また、全体的に、IFRS導入で会計基準が変わり、これまでは特損のリストラ費用が営業利益に入り過去比較、横比較が難しい。

 

総合電機では、1Qに下方修正した三菱電機が一転上方修正、Nidecが強いが、あとは横這い圏、やや弱含み、リストラ次第。家電では、ソニーもパナソニックも下方修正。精密では、OA不振やデジカメも低調、新規の医療等も貢献せず厳しい。部品も村田以下、大半が下方修正となった。これに対し、半導体製造装置は殆どが上方修正である。

 

 

業績サイクルは6-7

 

下図に電機大手8(総合電機5社と家電3)1988年度以降の営業利益推移を示すが、6-7年サイクルとなっている。なお、東芝は不祥事でリストラ費用(過去修正や減損)もありイレギュラーなので、左図はその影響を除いた(以前の日立、ソニーなどのリストラ費用はそのまま)もの、右は生の数字を示す。2016年度は現会社計画であり下ブレの可能性もあろう。

 

 2000年度以降について、影響金額が大きくなったキヤノン、富士フイルムの精密大手2社、村田、京セラの電子部品大手2社を加えた営業利益推移を示す。やはり、左側は東芝のイレギュラーな影響を除いたものである。サイクル的には、2007年度以来、20142015年度が業績の山であった可能性が高い。

 

マクロ景気サイクルもあろうし、好業績が続くと、先行投資や人件費アップもあり、コア事業や主力製品やプラットフォームのライフサイクルも影響しよう。また、多くのトップの任期が6年前後でもある。簡単に言えば、息切れするのであろう。

 

 

市況感

 

 ハイテク市況は、春先まではFPDは厳しく、メモリも底打ちはしたものの、良いとは言えなかったが夏以降は、急回復。FPDは、キャパのOLEDシフトの影響で、LCDが大型タイト大幅な値上がり、中小型も強い。http://www.circle-cross.com/2016/08/26/2016826-lcd-oled市況とスマホ-tv動向/

 

メモリは、NANDDRAM共にタイトでスポットも急騰。MLCCSAWも夏頃までは強い。

 

NANDは、データーセンター向けの安定した需要増やHDDからSSDシフト本格化に加え、トップを除き、3Dでの歩留まり向上遅れに加え、スマホの搭載容量アップが予想以上で、また、N7問題も、アップルや中国スマホ等の容量の大きいスマホ好調がプラスとなったようだ。 http://www.circle-cross.com/2016/10/15/20161015-11月から急な冷え込み-サムスンショック/

 

ただ、今後は、気になるところだろう。