2017年1月1日 2017年を読む

 2017年の電機業界は、この2年で登場した新技術の産業化が見え始め、大きな方向性が明らかになるだろう。昨年、「2016年の電機業界は、次の10年の新しい主役と体制・ルールを模索する年になろう。ハプティックス、ヒューマンロボ、IoT5GOLED、自動運転などの新技術が登場、その兆しも見えてきた」と、技術の新旧交代、中国の存在感台頭、グローバル業界再編について記したが、概ね、そういうトレンドであった。

分水嶺は2018年、2020年に業界再編・再設計の完成に向けて

 201617年は2020年の業界再編完成への準備のため、ドメイン再定義やポートフォリオ再構築が鍵となる。分水嶺は2018年であり、液晶からOLEDHDDからSSD5Gの規格も固まり、この後で対応しても手遅れだ。また、日米原子力協定の期限をはじめ色々なイベントもある。

2016年は再編目白押しでM&Aは日常茶飯時

 M&Aは日常茶飯時となってきたが、単なるレイヤーでの統合は、アナログ半導体では多いが、装置業界などは独禁法が厳しいこともあり、むしろ、ソフトバンクのARMに代表される襷掛け、疑似垂直統合、飛び地のM&Aが出てきた。先見の明があるトップは、独禁法の先手、どんどん10手先を読み、ピースを埋め、業界によっては詰んでいるケースも多いだろう。

地産地消トレンド、水平分業は時代遅れ

 Brexitやトランプ、中国の動向は同根であり、自国優先を進める。地産地消は一層不可欠になり、大量生産品の輸出モデルは難しい。これまでのグローバル化の恩恵が大きかったEMSやファウンドリも転換点、もはや水平分業は時代遅れだ。中国のChina Challengeへの米国の警戒感は80年代の日米半導体摩擦なみで、大統領直轄のWGを結成、ウィンテル以下の主要米半導体メーカーが結束、対抗を強めるであろう。

中国がハイテクの中心

 メモリも、中国紫光グループの野望が頓挫、XMCと統合、長江となったが、17年夏にも装置搬入、マイクロンや台湾勢の動きが気になる。また、ついに、大連でインテル工場、西安でサムスン、TSMC南京、UMC厦門など、中国本土で外資系の前工程工場が一斉に立ち上がり、技術力のレベルや技術者の取り合いが注目される。今後の中国の動向は、ハイテク、経営戦略論的にも、過去の先入観にとらわれず、注目すべきであろう。そこに、新しい2017年以降のヒントがあるだろう。

新技術は新旧交代が進む

エネルギー・材料系が面白い

クルマ向けが最大の市場に

業界の業績動向

 国内では、IT業界ではマイナンバー特需は一巡。電力の自由化は、スマートメータと制御ネットワークの上、2020年のメーターの締め切りがある。オリンピックは、4K-TVなど普及促進にプラス。リーマンショック後、67期増益が続いてきたが、2014年度が実態ピークであり、全体としては踊り場だろう。

春先がハイテク市況はリスク

半導体、液晶は、2016年春以降、市況は底打ち、夏以降は、逼迫を続けてきたが、1~3月は、スマホ次第でやや軟化しよう。iPhoneは、1-3月は、y/y10%減、q/qでは半減となり、パネルもNANDなど、どの程度影響があるか注目される。メモリはデータセンター需要、液晶は、サムスン・LGのキャパ削減で、PCTV向けは不足が続き、中堅以下のメーカーには調達難もあろう。

業種別動向

 業種別には、2016年はSPEが一人勝ちだったが、2017年の前半は、その流れが継続、後半は、iPhone8などスマホ次第だが、電子部品が強いだろう。クルマ向けなど応用分野次第で優劣が分かれよう。

 それ以上に大きいのが個別要因、再編である。各社とも2018年の中計あるいは2020年に向け、ポートフォリオを再編中であるからだ。ここ数年のリストラやM&Aの成果も注目される。