2017年1月15日 東芝の再編動向

 

先週は何も発表が無かったが、今週は、何か再編の発表があるかもしれないので、少し纏めておきたい。

 

事業の特色と位置づけ

 

東芝の事業には、経営重心®の大きな差もあるが、位置づけとして、①グローバル競争の中で成長性や収益性を期待するNANDフラッシュの半導体事業(本来は、PCTVもこのカテゴリー)、②成長性収益性よりも、日本の社会基盤を支える存在であり無くなっては困るインフラ事業、③その両面を持つ原子力、テック、ICTなどがある(かつてのメディカルも)。この中で、万が一のことがあってはならず国策だろうが何だろうが守り存続させるべきは、②である。これに対し、①は成長・収益性があってこそ、であり、特にNANDは唯一健闘している半導体メモリ事業であり、成長のための施策を考えるべきである。難しいのは、③において、原子力は、成長性や収益性期待よりも、リスクが大きくなっている。また、テックやICTは、②の事業との戦略性次第だ。

 

 

 

部門価値とシナリオ

 

ここで、各部門の価値を業績や類似企業の時価総額を参考してイメージすると下記のようである。それゆえ、選択肢は、何度も指摘しているように、セミコン社の上場や事業売却で、原子力の潜在的な価値棄損を相殺することであり、その後で、B/Sを健全化、国策次第だが原子力も切り離し、売上3兆円程度、OP5001000億円だが、IOTで成長を目指すが、まずはリスクの少ない安定した「普通の会社」を目指すべきだろう。また、それが特設注意銘柄解除にもつながろう。

 

 原子力・WH関連のマイナスを、インフラ事業の中でエレベーターやテックの売却で相殺しようという考えもあるが、①規模が異なり金額的に足らない、②WH関連のマイナスは将来価値に関連するもの(割引率や成長率等)であり、やはり将来期待価値が高いNANDで相殺すべき、と考える。

 

 財務基盤強化や市況動向等もあり、順番は、まずセミコン社の上場・売却が先で、原子力は国や当局とも連携して外出しだろう。できれば、2018年の日米原子力協定失効期限のタイミングも見ながら、東電、日立なども含め、原子力国策会社を設立、その子会社として、東芝原子力・WHを位置づける。

 

その上で、日米連携で、WH買収以来、S&Wの件その他も含め、調査し、必要なら、訴訟してほしい。その中で、不当なコスト要求がある場合は、破綻処理もありえる覚悟で臨むべきだろう。

 

セミコン社の在り方〜NECエレと何が違うか

 

 セミコン社については、いろいろなスキームがあろうが、一番、近いのは、NECによるNECエレクトロニクス上場の例だろう。当時、NECエレクトロニクスの業績は、売上7000億円強、OP500億円で、時価総額5000億円〜1兆円強となり、親子上場で70%弱を保有だったが、NEC本体も株価が300円程度から1000円にまで、3倍に回復した。