2017年1月25日 縦型蒸着機研究組合を〜超LSI研究組合成功に学ぶ

 

かつては世界トップどころか独占的地位だった日本のDRAMも液晶も凋落が著しく、液晶に替わって新分野のOLEDでは最初の段階から既にサムスンに遠く及ばない。

 

サムスンに勝つには、2000人とも言われるOLEDの研究者や技術者だけでなく、一声、最低5000億円から1兆円、できれば3兆円の設備投資が必要だが、これは難しく、サムスンの競争ルールを変える必要がある。その解は、縦型蒸着機とFHM等の非テンションマスクの実用化と普及である。

 

たまたま、今日はJDIの技術説明会と、IHSセミナーが同日にあったが、JDIでの有賀社長・瀧本氏のプレゼンでも、IHSセミナーでの招待講演でのVテク杉本社長のプレゼンでも、縦型蒸着機・新型マスクが話題であった。JDIでは方式は明らかにしなかったが、トッキ・DNPではない、独自技術の縦型蒸着機により、400ppiを実現、他方、Vテクでも同社独自の縦型蒸着機とFHMが紹介された。

 

日本勢がここで大同団結すべきではないか。経産省やINCJなども、パネルメーカーでなく、こうした基盤技術に資金を投じるべきだろう。また、併せてJDIも量産パネルのモノ売りモデルを脱し、エンジニアリング会社を目指すべきであり、そこでは、Vテクの方向性にも近く協業できるだろう。その契機、一つのケースとして、この蒸着技術は最適であり、公的資金などが投入され国家プロジェクトが導入されることが望ましい。

 

80年代の日本のDRAMを中心とした半導体躍進のきっかけになったのが、超LSI研究組合であり、その成功の鍵を、NRI時代に、中心メンバーだった垂井康夫先生(東京農工大教授 当時)、吉田庄一郎氏(元ニコン会長、当時は専務)に聞いたが、そのポイントはリソースを製造装置、特にステッパに集中したことだったというのが印象的だった。http://www.takeda-foundation.jp/reports/pdf/prj0101.pdf その後、半導体関連の国家プロジェクトは多いが、あまり成功したという評価はなく、それは、装置ではなく、デバイスにリソースをかけたからだという。

 

この80年代の貴重な成功例に学びたい。