2017年1月26日 三種類の社史編纂のすすめ

 

ここ数年は、創立100周年などの当たり年である。100周年ともなると、立派な老舗の大企業なので、社史を作ろうということになる。あるいは、20周年、30周年、50周年など節目の年に立派なものを出す企業も多い。こうした社史は、アナリストや投資家、あるいは取引先、新入社員やリクルート活動をしている学生にも大変役立つものである。

 

記紀と万葉集

 

その上で、会社が出している「公式な」社史以外にも、二種類、計三種類の社史を編纂することをすすめている。いわば三種の神器だ。公式な社史以外では、門外不出の裏史・秘史と、名もなき社員の物語やエピソード中心のものである。日本の歴史も記紀、即ち、古事記と日本書紀がり、民衆の声としての万葉集があるが、いわば、正史が日本書紀、本音が古事記だ。かなり発想は違いがやや異なる。こうした多様な切り口で、社史を残すべきだろう。これは、社史だけでなく、業界団体などでも同様だ。また、書物でなく、記念館や企業ミュージアムの在り方にも通じよう。

 

門外不出の代取だけに引き継がれる裏史・秘史

 

第一の裏史・秘史は、本音だけでなく、トップが自ら反省や分析も含め、また、個人情報に関わる不祥事も含めての記録だ。裏史・秘史は、経営トップだけ、代取以上にのみ、閲覧可能なもので、成功失敗を正しく認識、二度と失敗を繰り返さぬためのものだ。

 

日本の電機業界の敗因分析に参考になる、ネットにあがっていない多くの情報は、まだ当時のトップの脳裏や、文書にあるだろう。これらを残すことが重要だ。これも弊社の役目である。

 

公式記録の正史はHPDVDなど最新のメディアを

 

 第二の公式な社史は立派なものが多いが、最近はDVDなどのバージョンもある。

 

名もなき社員の物語

 

 第三のエピソードや社員の物語は、社史にも掲載されている場合も、多いが、もっと大胆に、名もなき社員の話を中心にすべきだ。

 

情報も会社の真実の伝え方

 会社の情報には、公開性と重要性という二つの切り口がある。真実を知るには、非公開の重要情報入手が一番だが、それは困難だ。アンケートなどでいくら多く回答を集めても、重要性の無い公開情報を集めても無為だ(だいたい、重要性が低いから公開できるともいえ、目くらまし的になる)