2017年3月18日 JOLEDは印刷ヘッド装置会社かパネルエンジニアリング会社を目指せ

 

JOLEDの東入来CEO、田窪CTOと、印刷技術の方向性や、JOLEDのあるべき姿について意見交換をした。従来に比べ、かなり開示も進んだことはいいが、まだまだ学会誌に技術が出ておらず、オープンイノベーションのためにも、今後は考えるようだ。http://www.j-oled.com/

 

 HPには、JOLEDの技術の特徴として、RGB印刷だけでなく、バックプレーンのTAOS-TFTや、フレキシブルも掲載されている。このうち、印刷は、JOLED独自であり、パナソニックで長年研究開発を続けてきた。バックプレーンやフレキシブルは、ソニーで長年の実績があり、東浦でのハイエンドのラインもある。ただ、バックプレーンは、JDIもあり、ややこしい。

 

印刷技術のメリット

 

 印刷技術のメリットは、①真空不要、②マスク不要、③サイズスケーラブル、④材料ロスが少ない、としており、ゆえに、コストが安く、印刷ヘッド共有で切り替え時間ロスがなくリードタイムが短い、としている。ただ、注意しなければいけないのは、これらは、フロント工程の話であり、バックプレーンでは、真空やマスクは必要でサイズスケーラブルではない。マスクに関しては、一般的な蒸着OLEDでの、LTPSでは、10枚程度いるのに対し、5-6枚のようだ。蒸着前後の封止などの工程は必要で、そこも真空になる。

 

寿命、色むら、PPIの三大課題?

 

 他方、一般的に言われている印刷方式の課題は、分子粒径等に不均一性による色むら、RGB、特に、Bの寿命の短さである。また、スマホ等の高精細では、ppiも不十分である。焼き付けの主因もあり、医療やB2Bでは問題だろう。

 

圧電で滴下させる精密駆動の印刷ヘッド

 

 印刷のヘッドは、タンクからRGB粒子を送り、圧電で滴下させるが、その精密制御は不明。

 

まだ試作、実証ラインでないとコストや生産性は不明

 

 とにかく、現状は、石川の旧アモG3を改造したG4.5ラインによる試作程度でキャパは2k程度と推定され、上記の生産性などの数字も、実証ラインでは、また変わるだろうし、まだ歩留まりを言及できる段階でないようだ。

 

実証ラインでは、15k程度として、数百億円はかかるが、蒸着に比べればかなり安いようだ。ただ、蒸着機とマスク以外は、搬送や洗浄、封止などは同じはずであり、また、ライン構成、印刷装置のコスト、大きさなどは不明である。また、印刷装置の工場や生産体制も不明である。

 

TAOS-TFT

 

 TAOS-TFTについては、トップゲートで寄生容量が少ない、モビリティも10-20だが、品質がよく、これを使った方が印刷OLEDの画質もいいが、通常のLTPSを使えないわけではないし、今後は、JDIのバックプレーンを使うこともあろう。

 

JOLEDのターゲット

 

 JOLEDの応用ターゲットから、画面では1540型で高精細でない分野であり、医療、モニタ、産業、広告、そしてコストが下がればTVだろう。ただ、これらの領域は、液晶やWOLEDも強い分野ゆえ、コストで負けるので、ニッチで特性を生かせる分野から参入する戦略だ。現在は、医療など商談中のようだ。

 

 

JOLEDがとるべき道

 

 もし、JOLEDがサムスンや鴻海のように、豊富な資金と財務力があり、自身がセットをもっているならキャプティブに、じっくり、B2Bのニッチや、将来は、TV用もいいだろう。しかし、現実は、その真逆であり、実証ラインの数百億円投資すらリスクがあり、難

 

JOLEDは装置メーカー、JDIはバックプレーンのファウンドリを

 

 その中で、JOLEDは、BOELG、鴻海に売却等しないなら、パネルメーカーでなく、装置メーカー、エンジニアリング会社を目指すべきだろう。東入来CEOは、かつて装置メーカーのオルボテックのトップも歴任し経験もある。

 

また、これまでも、主張しているが、JDIは、LTPSでもLTPOでも、LTOSでもいいが、バックプレーンのファウンドリメーカーになればいい。早晩、2018年頃には、アップル向けも含めスマホ向けパネルは無くなり、現状の売上1兆円は、5000億円に半減、大赤字となり、存亡の危機を迎える。

 

 JDIJOLEDも、パネルメーカーの20世紀型の大量生産輸出モデルに拘っていると将来はなく、お互い、利益相反、カニバリ、貴重なリソースの無駄遣いであり、共倒れだ。しかし、JDIはファウンドリ会社、あるいはエンジニアリング会社、JOLEDは装置メーカー、エンジニアリング会社になれば、十分、米中とも調和して、成長が見込めよう。

 

 今後、内外とも情勢が大きく変わるなかで、あるべき正しい道を進んでほしい。