東芝は大詰を迎える

 

東芝は、ベインやINCJ等を対象としたメモリー社売却契約締結予定日だった628日を既に10日以上過ぎても、状況は変わらず、WDが優位との見方も出ている。先日の経産省やINCJ人事も東芝対応シフトにも見える。また、7月に入り、WHに対する親会社債務保証のキャッシュアウトが始まる中で、主要行は6日までに資金繰りを支える姿勢を改めて示し、合計6800億円の融資枠に関連してメモリー社株式を担保に設定したようだ。その中で、会社側は主力行向け説明会を11日に開催するらしい。14日には、米カリフォルニア州の裁判所が、WDがメモリー事業売却の差止めを求めた訴訟の初審問を開く。http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ07I4P_X00C17A7TJ2000/

 

 これまで述べている「長年のパートナーに対する信義、仁義」に加え、WD側に分があるという法律専門家が多く、ゆえに、ブロードコムは入札から降りたのであり、14日にWDを支持する内容となると、かなり東芝側は厳しくなる。仮に東芝側が有利となっても、WDは諦めず訴訟を継続するだろう。そうなると、来年3月という期限に加え、メモリー市況リスクを考えると、長引けば長引くほど、東芝は不利であり、WDに妥協するしかないだろう。それは、東芝にとって、BESTでないにせよ、いわば現状維持であり、悪い選択ではない。

 

 他方、どうしてもWDが嫌なら、上場廃止・民事再生もあろうが、その場合は、現経営陣は退陣、メモリー売却も白紙だろうが、そこでのリスクは、既に10%弱は保有しているエフィッシモをはじめとする外資ファンドによる「マグロの解体ショー」により、形をとどめず、バラバラにされ、いいDNAまで無くなることだ。かつての村上ファンドの村上氏によれば、これらは50%以上を保有している可能性もある。

文藝春秋20177月号では、村上氏と池上彰氏の「年金GPIFは物言う株主になれ」の対談で、東芝本体を1兆円強で買えば、メモリー2兆円その他も手に入る、などが主張されている。これは、既にブログでもTVでも何度も述べてきたことで、ファンドの立場なら常識的な考えではある。