企業や業界動向についての初一念

 

初一念」とは、歌舞伎の「元禄忠臣蔵」の「大石最後の一日」のテーマであり、「初志」にも近いが、むしろ、考え抜いた考えとは対照的な最初に浮かぶ純粋な思いでもあり、これは、直感にも通じ、最初にふっと浮かんだアイデアが一番ということも正しいように思う。もちろん、それは日々、十分な努力をしている上での話ではある。これを自分なりに、変調・解釈して、最初に持つ違和感について記したい。

 

東芝の件では、当時、最初にWHM&Aを聞いた時は、非常な違和感があったし、2015年の不正会計の発端でも、このブログの読者のやりとりで、1兆円クラスの話だと意見交換、認識を共有した。また、マスコミやアナリストでさえ、これはWHによる話で巨額になるのでは、という意見が多かった。その後、会社と議論したり、雑音がはいって、調和的になったが、最初の印象が正しかった。

 

セルサイドアナリスト時代も、業績予想や市況判断をする際に、自身が独自でやった方が正しく、一応、会社側と議論しておかないと考えて、やりとりしているうちに、調和的になり間違い場合が多かった。

 

自身でも、外資に転職した際の経験で、急な組織変更や突然やってきた役割不明な人間の赴任は、だいたい、何かの布石であり、数か月後に、やはり、そういうことだったかと判明することが多い。この一見、唐突に見える布石こそが、何か大きなトレンド、事件、重要な戦略なのだ。

 

継続的に、フォローし、関心をもって、ウォッチしている企業での、事件や、M&A、業績、人事など報道での違和感は要注意だ。聞くと、だいたい、言い訳のように、会社側や関係者は説明をして、一旦は納得するが、実は、「初一念」とも言うべき違和感、印象が重要であることが多い。