ニッポン電機産業、メモリとディスプレイ、ITの困難な道

 

新年度を迎え、更に2019年は平成も終わる。この平成の後半は、日本の電機、とりわけ、デバイスでは、メモリとディスプレイ、そして、ITの没落の時代であった。

 

 メモリとディスプレイでは、ライバルはサムスン、果敢な決断と強大な設備投資、それに韓国の政策も背景にあり、これに、決断が遅くファイナンスやポートフォリオを理解できない、相対的に無能な経営者、そして、グローバル性がなくガラパゴス的な産業政策では勝てるはずもなかった。そして、さらに今後は、中国という共産主義と資本市場の好いとこ取りをする強大なライバルが登場してくる。戦いは一層苦しいだろう。唯一のチャンスは、まだ存在しているカリスマOBなどの起用と、ライバルを共有する台湾などと組み、対中戦略を、立て直すしかない。

 

 ITでは、英語の弱さ、日本語ゆえのスケール不足とプラットフォーム戦略への無知、またそういう状況を、モノ作り礼賛でよしとするガラパゴス経営センスだろう。これまでのライバルは、ウィンテルだったが、今はGAFAだ。ただチャンスは、競争政策の変化であり、これをトランプ政権と欧州と協調して、コバンザメ的戦略も含めて、うまくついていくしかないだろう。

 

 この中で、ジャパンディスプレイは風前の灯、東芝も、メモリを中に戻すなら、再び財務危機破綻か、メモリ事業が存続できなくなるか、どちらかだ。世界中で優秀な経営者、膨大なファイナンス力がある巨大企業でも、メモリと重電をコアに持つ例はゼロだ。