JDI再建、続報と日本FPD産業の行方

 

日経44日朝刊1面に、JDIが台中連合から最大800億円の支援と報道され、また、15面にJDI7年の総括が成されている。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43308180T00C19A4TJ2000/

 

出資や支援については、内容的には、ほぼ331日報道と同様であるが、やや金額のレンジが下がり、アップルとの件では、取引条件の件は言及されず、CFIUS規制の話が出ている。JDI側は、否定はせず、海外も含め決まったら開示するとコメント。https://www.circle-cross.com/2019/03/31/jdiトップ人事と日経報道/

 

また、ロイター通信43日には、アップルウォッチ向けにJDIOLEDが供給されると報道している。JDI側からの発表ではないようだ。茂原工場の件が言及され、縦型蒸着だろうと推定できるが、JOLEDからの印刷方式だという味方もあるようだ。https://jp.reuters.com/article/jdi-applewatch-idJPKCN1RF0I4

 

同じようなタイミングの報道であることから、出資条件を詰める過程でのリーク合戦のようにも思える。もし、アップルウォッチにOLEDが供給であれば、①茂原工場の縦型蒸着が完成に近いこと、②LTPOが評価された、ことで、出資条件を有利にできるかもしれない。

 

CFIUS規制では、半導体とは異なり、安全保障上は懸念が少ない上、そそもそ、既に、アップルのiPadには、BOEのパネルも使われているし、更に、アップルウォッチに使われるのなら、アップルも問題が無いということになる。

 

仮に、JDIが台中傘下となるなら、Jではなく、他になるかもしれないし、JOLEDがどうなるか?、バックプレーン供給や工場なども含め、議論すべき点はまだ多いだろう。

 

日の丸液晶頓挫と官製再建迷走

 

 日経の報道の通り、シャープは既に鴻海傘下、JDIも台中傘下となれば、「日の丸液晶連合は頓挫」ということになるが、シャープは液晶だけでなく会社全体であるし、NECの液晶は、既に、天馬の傘下となっている。ただ、日本の液晶あるいは、Flat Panel産業は、Flat growthの平成時代に実質的に離陸し、世界を席巻したが、平成が終わる今月に、実態的には、幕を閉じつつあるともいえよう。

 

 最も大きい問題は、INCJのあり方も含め、官製再建ではあるが、シャープや電機産業全体にも通じる問題は、未だに、技術だけでイノベーションを起せると考え、また、国内工場を建設、大量生産による輸出モデルだけに固執したことではないか。

 

 ITバブル崩壊後、また、リーマンショック後に、世界のハイテク業界の産業構造は大きく変化し、新しいビジネスモデルも導入された。それにも関わらず、リーマンショック後も、産官学が、過去のあり方を踏襲した。INCJもそういう発想の中で、昭和高度成長型産業支援の色彩が強かった。

 

 かつては、イノベーション=科学技術×モノ作り だったが、

 

 今日は、イノベーション=科学技術×ビジネスモデル、になってきている。