JDI説明会視聴〜TPK、諏訪(Suwa)コンソーシアムと資本提携

 

JDIの再建に関する説明会が4121845-19時分開催、あいにく、講義と重なり、叶わなかったが、後日、視聴した。マスコミと投資家アナリストが合同、月崎社長、大島CFO、菊岡氏が説明、その後、マスコミと投資家アナリストに分かれ、質疑多数、資本スキームに関する点、今後のリスク、経営責任などが主だった。鍵を握る縦型蒸着技術や、TPKに関する質問は無かった。

 

注目点

 

 大きな枠組みは、既にマスコミで報じられておる通りで、サプライズは無いが、注目すべき点として、①資金使途として、運転資金380億円以外に、縦型蒸着OLED150億円(R&D50億円、茂原工場での量産100億円)VRセンサーに42億円、車載量産120億円など、②Suwaコンソーシアムの名が、日本の諏訪に由来している(出資者が諏訪地方を歩き、その美しさに感動し命名したそうだ)、③コンソーシアムの割合がタッチパネルの雄TPK42%と最大、ハーベスト30%、コスグローブ等24%であること、④ハーベストがJDIの縦型蒸着OLED技術をきちんと評価していること、⑤月岡社長が、台中傘下となる批判に対し、「顧客の海外比率90%であり、もはや、日本だけの連合は古い、世界一のLTPS技術と縦型蒸着技術で、グローバル企業を目指す」と、きちんと表明した、等だろう。

 

 縦型蒸着の有効性は過去何度も記しており、説明会でも議論しており、サムスンの「横型蒸着+重いファインメタルマスク」に勝てる技術だ。量産技術は確立という。

 

https://www.circle-cross.com/2017/05/11/ジャパンディスプレイ決算-絶望の淵で見えた希望/

 

https://www.circle-cross.com/2017/01/26/2017125-縦型蒸着機研究組合を-lsi研究組合成功に学ぶ/

 

https://www.circle-cross.com/2016/11/16/20161116-oledの蒸着機-マスクの現時点での評価とoled産業離陸の条件/

 

https://www.circle-cross.com/2016/11/14/20161114-ブイ-テクノロジー-vテク-の上期決算説明会-縦型蒸着機を発表/

 

茂原での量産100億円は、まずは、ウォッチ等で試し、その上で、スマホ用へ展開ということだったろう。バックプレーンは、言及があったLTPSか、LTPOかは不明である。VRセンサーはTPKも関心があるだろう。

 

 今回の発表会は、あくまで、JDIの立場からであり、会場にSuwaコンソーシアム等がおらず、確約ではないことが疑問視されていたが、会見では、「当局のOKはあり、月内にコンソーシアムからも発表があるだろう」とコメント、TPKの決算発表が53日であることから、その前に、まず日本からということだろう。また、新聞でも指摘されるCFIUSの件や独禁法などは、それほど懸念視していないようだ。

 

有利発行や希薄化が株主総会でどうなるか

 

むしろ、618日の株主総会が問題だろう。株価50円というかなりの有利発行の上、希薄化率は99%CB転換後180%INCJ225円転換後228%であり、エフィッシモ等が既に大量保有しているようだ。JDIはこうした株主にも理解は求めているというが不透明感はある。

 

実質、TPKが筆頭株主か

 

増資後は、Suwaから800億円、INCJから1520億円により、資本は1170億円増強され、一息つくが、CB転換前でSuwa50%弱、IMCJ12%強、GS4%、日亜3%弱、転換後はSuwa65%INCJ9%弱等、更に、もしINCJ225円が転換(750億円)されれば、Suwa58%INCJ20%となる。

 

台湾報道

 

既に、台湾の有力紙『経済日報』は201942日付で、JDI194月第1週に、出資交渉の結果を公表する予定だとし、TPKSOE(淳安)、Fubon Group(富邦グループ)、中国政府系基金Silk Road Fund(シルクロード基金)、中国Harvest Fund(嘉実基金)がJDIに出資し、台・日・中連盟でアップルOLED受注を目指すと報じている。

 

アップル+台中メリット

 

 確かに、JDIが資金を得て、縦型蒸着OLEDで成功、タッチパネルの雄TPKと組めば、横型蒸着ペンタイルOLEDY-OctaのタッチパネルのサムスンOLEDの牙城を切り崩せる。また、日本がマザー工場になれば、将来は、アップルのサプライチェーン同様に、中国の大工場で量産、台中摩擦の装置問題も、緩和される可能性が出てこよう。これらは、アップルにとってもメリットが大きい。

 

ドメ忖度の日本ではなく、グローバル標準の諏訪

 

 

 今後は、グローバルの新JDI(諏訪ディスプレイ)と、日の丸経営でINCJが追加出資、印刷方式のJOLEDが、どうなっていくか、どちらに軍配が上がるかが興味深い。