ソニー側に賛成〜半導体・画像センサーは、今は切り離すべきではない

 

ソニーは17日、米ファンドのサード・ポイントが、コングロマリット・ディスカウント等を理由に、要求していた半導体の分離・上場を拒否すると発表した。理由は、①半導体は今後の成長のコア、②社内他事業とのシナジーも大きい、だ。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO50082600R20C19A9K11500/

 

 このソニー側の見方に賛成だ。

 

第一に、コングロマリットがディスカウントされるのは、シナジー効果がなく、むしろ、アナジーがあるかであり、これは、経営重心分析や3Dマップ分析から、ポートフォリオを考察することでわかる。画像センサーは、AIやクルマ、ロボット等、多くの分野とシナジーや相関がある「クロステック」である。シナジーとなるか、アナジーとなるかは、多くの場合、各事業の結合の形、組織次第だろう。業界超融合が起こっている今、コングロマリットは、むしろ、新しい可能性を生む。

 

 第二に、スピンオフすべき事業とは、技術的にも成熟している場合だが、半導体、中でも、画像センサーは、デジカメ、スマホから、クルマなど新分野が広がっており、AIなど新技術との関係も深く、イノベーションが継続的に起こっている。ここで、切り離すと、画像センサーだけでなく、ソニーの多くの事業、AVなどの家電だけでなく、ゲーム、映画などエンタメも含め、マイナスが大きいだろう。

 

第三に、サード・ポイントの考えの裏には、東芝が半導体メモリをカーブアウトしたことも参考にしていると思うが、画像センサーは単体で売るようなビジネスではない。すなわち、微細加工技術の進化によって価格を一気に下げ、員数増加も含め、需要を膨らませることができる半導体メモリ(半値でビット需要4倍、過去20年に万倍以上)と、ディスプレイ同様に、員数増加は限られ(せいぜい、1個が数個、面積も数倍程度)、価格弾性効果による需要創出効果が限られる画像センサーは異なる。すなわち、画像センサーは、スマホなどのセット部門と一緒になり、キャプティブとしないと事業は成立しにくい。これは、ジャパンディスプレイと同様である。

 

経営重心分析の視点からも、画像センサーは、ジャパンストライクゾーンの右上だが、そもそも、ソニーは、映画や音楽、ゲームも含めエンタメなど、サイクルが短く、ボリュームが大きい領域が強い。もちろん、クルマや医療向けは、ジャパンストライクゾーンの中にあるが、これは、まだ先の話だろう。