半導体とコロナ対応

このコロナウイルス危機で、半導体業界の関係者は比較的うまく対応しているのではないだろうか。コロナウイルス感染と半導体業界には、幾つか共通点があるからだ。

第一に、コロナウイルスは、眼に見えず電子顕微鏡が必要だが、この微細レベルは半導体と同じであり、クリーンルームでの汚染などに神経を使うの似ており、見えない敵を意識できる。

第二に、それゆえ、半導体クリーンルームでは、白衣をきて、帽子とマスク、手袋をして、よく手洗い、エアシャワーを浴びてから入室するが、これは、医療機関でのコロナウイルス対応に似ている。実際、PCR検査でも、クリーンルームを使う。違うのは静電気対策くらいか。

第三に、スピード感である。シリコンサイクルのある半導体では、即決即断でないとタイミングを逸するが、コロナウイルス感染のスピードはそれ以上で、慎重によく検討して明日までに、などというのが命取りだ。長年、半導体業界と付き合い、同様に株の世界、ヘッジファンドにもいたので、自身の固有周期は短いが、政府の対応を見ると財務省の予算主義、重電メーカーの固有周期のようで、感染拡大に間に合わない。

おかげさまで、わがMOTでも、2月頃から対応、謝恩会など中止を決め、年度末の郵送処理も終え、ZOOM会議導入、Webカメラ購入決定も早く何とか凌ぎ、他学部と2週間か1ヶ月は先行、MOTが先導して、他が真似ているとの指摘もあったほどだ。早い対応なら、在庫もまだあるが、遅くなればなるほど、厳しくなる。

さて、今後提案したいのは、上記の1、2番目の点である。メーカーが同じでダメかもしれないが、半導体や液晶工場では、多くの白衣やマスク、手袋を使い、これを医療機関に回せばどうだろか。この4-6月は、メモリを除けば、市況も厳しく工場も低稼働だから、白衣などは融通が利くかもしれない。あるいは、止めているクリーンルームなどがあれば、減圧、エアーコントロールもでき、少し、コンタミネーションを清浄すれば、感染者用の施設やPCR検査室として使える。SEMなど電顕もあるから、ウイルスも見れないことはない。工場の作業者も、ある程度訓練すれば、看護師のサポートはできるかもしれない。コンタミネーションに対する意識は高く、白衣を着るのも慣れている。コロナウイルスをコンタミネーシ源と思えば同じである。工場稼働が低い中、失業対策にもなるだろう。

 

防護服など検討した半導体メーカーもあるが、医療では使い捨て、だったり、スペックが合わない場合もあるようだが、そこは受け入れる医療側も、臨機応変に対応してほしい。