島津の決算及び新中計発表テレコン参加~数少ない中計開示は立派

 

島津の決算及び新中計発表テレコン(2113時~1440分過ぎ)に参加、決算発表プレゼン、質疑、その後、中計プレゼン、質疑で進行。プレゼンは上田社長、質疑は三浦CFOなどが補足。サプライズは、2020年度通期見通し公表に加え、新中計の発表。2月策定のものをコロナ感染拡大の後、見直し、社内でも議論があったが、現時点で出せるものを慎重シナリオで出し、適宜修正ということになった。やや数字が慎重なので、質疑では、アナリストには不満もあったようだが、こうした開示姿勢は評価したい。

 

業績

 

2019年度は、売上3854億円、OP418億円、NP318億円、3Qまでは好調だったが、コロナ影響で売上62億円、OP42億円のマイナスインパクトが計測セグメント(売上は中国で42億円)中心にあり、失速。23月にサプライチェーンや据え付け遅れ。

 

2020年度は、売上3400億円、OP220億円、NP160億円、全セグメント減益だが、航空機が厳しく赤字へ。売上水準は2015年度が3422億円に近いが、当時はOP357億円で、140億円の差があるが、要因は人件費が148億円アップ。

 

セグメント別、地域別に、プラスマイナスがある点がリーマンとの差。計測の大学官庁や医用でもプラス。バリューチェーンは中国がほぼ戻り既に稼働率80%以上だが、米など低い。

 

 

 

中計2020-2022年度

 

 前中計2017-2019年度は、最終目標2019年度が売上4000億円、OP450億円であり、未達だが、コロナ影響大で残念。振り返りでは、外部連携やオープンイノベーションでは、VB出資、M&Aでは、試薬と消耗品ラインアップ拡充で、フランス試薬、中国消耗品を買収。

 

 今回の新中計は、顧客解決だけでなく、SDGsなど社会解決のための仕組み作りと社会実装を掲げ、そこに感染症対策プロジェクトを盛り込んだた点が鍵だろう。

 

2022年度に売上4000億円以上、OP460億円以上、は慎重で、適宜、上方修正をしたいとのコメント。CAPEXR&Dは慎重だが、海外拡充、リカーリング強化、成長4分野事業化のため、スタートアップ・インキュベーションセンター立上げ。航空機は見極め、事業再編も。

 

その中で、感染症対策を重視。新型コロナ対策だけでなく、感染症対策全般も含め、ウイルス対策、診断、感染対策ネットワークやデータベース整備、治療薬支援などのプロジェクト推進。出資した韓国のシージーン社は、売上90億円から900億円に拡大など成果も。スタートアップ・インキュベーションセンターを新設、事業育成だけでなく、審査ゲートとしての機能も担う。リカーリングも強化、課金も装置使用量に応じてなど、工夫、データプラットフォーム基盤も整備。

 

計測では、過去は、LCでは、コア製品強化から、専用システム・消耗品へと拡大したが、今回は前処理ラインアップ拡充。MCでは、代謝、疾患マーカー、感染症、環境汚染などデータベース拡充。

 

航空機は、防衛は必要なものに絞り、民需は試験関係以外見直し。

 

中期で方向性

 今回、同社が見通しや中計を出した背景は、トヨタ同様に、経営改革を進めるうえで、現時点での範囲で、内外に考えや方針をオープンにするということであろう。